【ファッション用語辞典】チェック 柄の種類・名称

服に用いられる生地・素材で表現される柄は、プリントを除けば基本的には無地、ドット柄、縞模様、格子模様に分けられる。中でも格子模様の持つバリエーションは、他にない圧倒的な数の呼称が存在する。

英語ではチェスの盤面になぞらえてチェックと呼ばれるこの柄は、そもそも織りの製作工程において自然発生的に生まれた模様と推測される。色味の異なるタテ糸とヨコ糸が交差することで現れる規則的な仕切りが織りなすパターンがそれだ。そこにファッション性が加わることで数限りない種類のチェックが生まれた。

単純な仕組みにも関わらず、独自色が表現できるチェックは、いつしかグループや階級のアイデンティティとしての機能を果たすようになる。その代表例がタータンチェックである。ひと目で違いの分かるチェック模様の服を身に着けることが、氏族を伝える役目を果たしている点で、タータンチェックは日本での家紋のような存在であったと伺える。

別の例では威嚇の機能を持ったバッファローチェックなど、模様でありながら意味・機能を擁するチェックも。その出自を知り、ファッションに取り入れよう。

代表的なチェック柄のデザインや由来を知ろう

糸と糸が織り合わさるパターンによって作りあげられるチェック柄の数々。織り方や、そのルーツを知ることで、お気に入りのあの服が、いままで以上に誇らしく見えてくるだろう。

ハウンドトゥース

白場が猟犬の歯に見えることに由来する白×黒の格子柄。大柄のものはシェパードチェックと呼ばれ、和名では千鳥格子

ガンクラブチェック

狩猟そのものの文化はイギリスから伝えられたものだが、1874年に結成されたアメリカ東部の猟銃クラブの制服に採用されたのが発祥とされる柄多色使いのハウンドトゥース

オーバーチェック

チェックの上にチェックを重ねて構成される。ベースとなるチェックが小柄で、その上に重ねるチェックが大柄になっていることが多い

グレンチェック

細かいチェックと大きいチェックを縦・横に組み合わせた柄。発祥であるスコットランドの地名グレン・アーカートに由来する

バスケットウィーブ

「パジャマチェック」とも呼ばれる、カゴの目のような状態になった織り。織りの手法だが、格子状の表情を成す

ウィンドウペーン

日本語では窓枠格子と呼ばれる単色・単線で構成される格子の柄。ひと枠3~4センチ程度のものがベーシック

タッタソール

日本語では乗馬格子とも呼ばれるチェック柄で、白地に2色の線が交互に入っている。シャツ地によくみられるパターン。発祥は、18世紀にイギリスの騎手リチャード・タッタソールがロンドンに創設した馬市で、馬に掛けられた布のチェックに由来する

シャドーチェック

影格子とも呼ばれる。一見無地に見えるほどに近しい2色で構成されるチェック。光線の具合によって浮きたって見えるのが特徴

ブロックチェック

縦・横同じ幅の線で構成される格子模様。日本では市松格子と呼ばれるもの。狩猟に使われるハンティングウエアにも多く見られるパターン

バッファローチェック

赤×黒、黄×黒のブロックチェック。イギリス文化が色濃く反映されるアメリカ北東部において狩猟の際の誤射からの防衛、相手への威嚇の意図を持たせた柄といわれる

グループドチェック

群格子。数本の線がグループになって格子を形成。色を混ぜて使ったものはファンシーグループドチェックとも呼ばれる

サッカーチェック

糸を張った部分とたるませた部分を交互に織ることで凹凸が現れるサッカー(しじら織り)のチェック柄。夏の清涼素材として知られるシアサッカーは、この凹凸によって、肌との設置面積を減らすことで、べたつきや通気性を高めている

ギンガムチェック

白と異なる色との2色を組み合わせて作る格子柄。語源はマレー語「gingan」(縦縞の布の意)といわれている

ピンヘッドチェック

針先のように細かなチェックを指す。遠めにはほぼ無地に等しく、白との掛け合わせで淡い色味を表現することが可能だ

マドラスチェック

本来は草木染によって染められ、にじみの効果とその持続が特徴の織物。名前の由来は発祥の地、インドの港町マドラスより

氏族を表すタータンチェックの役割

言葉としても馴染み深く、普段の生活から気軽に用いられているタータンチェックだが、この言葉はクラン(氏族)が擁した独自の格子模様の総称であり、特定のチェック柄を指し示すものではない。

その発祥はスコットランドに定住したケルト民族によるもので、血縁関係の団結を重視する独自の社会システム「氏族制度(クランシップ)」と密接に結びついている。部族間の争いも絶えず、常に隣接する強国イングランドの脅威にさらされたスコットランドではタータンが、戦場では敵と味方を見分ける役割を果たした。また、ひとつのクランのなかでも、シチュエーションによりタータンを使い分けていたそうだ。

日常的にはクラン・タータン、正装用のドレス・タータン、狩猟用のハンティング・タータン、喪に服する際のモーニング・タータンなど種類も豊富だ。

使用できる色の数にも規約があり、農民や兵士は1色、将校で2色、族長で3色、貴族は4~5色、王族は7色を使用している。

タータンチェックは16世紀に一度、その使用が禁じられたことがある。1745年にスコットランドのスチュアート一族がイングランドに対して王位奪還の反乱を起こし、その争いが鎮圧され使用を禁止されることとなったのだ。

しかし19世紀に入りタータン禁止令が解除され、再び使用が許可された後には、タータンはファッションブランドとしても再評価を受けるようになった。

やがて、こうしたファッションブランドを象徴するチェックはハウスチェックと呼ばれるようになり、バラクータなどウエアのライニングにも使用されている。

タータンチェックの代表的なパターン

フレイザー

ノルマンディー出身とされるフレイザー家のタータン。英国を代表するウエアブランド「バラクータ」がジャケットのライナーに用いているのはこのチェック柄

ブキャナン

スコットランド最古のクラン(スコットランドの氏族のこと)と呼ばれるブキャナン家のタータン。赤×青×黄×緑×白で構成されている

ブラックスチュアート

12世紀にスコットランドに渡ってきたノルマン人を先祖に持つ、スチュワート家のタータンチェック模様

ロイヤルスチュアート

本家イギリスでも最も由緒ある家柄として知られるスチュワート家には、数十種類のタータンが存在する。その最高峰に君臨するのがこの柄

ブラックウォッチ

18世紀に警察機能を担っていたハイランド連隊のために生まれた濃紺×緑×黒のチェック。闇に紛れる色味とされる

ローズハンティング

数あるローズ家のタータンのなかでハンティングの際に用いられた柄。ハンティングタータンは目立たない色味で構成されている

ドレスゴードン

ゴードン家の正装用として用いられるタータンチェック柄。黄×緑×青×白×黒で構成されている

アーガイルチェック

アーガイルとはスコットランド西部の地域の旧名。この地の名家、キャンベル家のタータンとして生まれたチェック柄を指す菱型格子の一種。ダイヤモンド柄をモチーフに、細いラインと菱型を組み合わせた格子模様。セーターや靴下によくみられる

プリンスエドワード

18世紀中頃から始まるイギリス人の移住の際、タータンチェックと同様に島のアイデンティティを表す柄として生まれた

アメリカでの別称は、プラッド

格子柄をチェックと呼ぶことが日本では一般的だが、アメリカでは[plaid]と書いてプラッドやプレードとも呼ばれている。また米語のためアメリカ発祥のブロックやガンクラブといったチェック柄に用いられることが多い。

厳密にはプラッドは線で、チェックは碁盤縞のものを指すが、今日ではその区別はほとんどなくなっている。他に大柄のチェックを表現する際に使われることもある。

 

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もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。

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