
米軍がベトナム戦時に採用した、ジャングルファティーグは5つのタイプに分けられる。

2nd 編集部
- 2020年09月30日
INDEX
ミリタリーファッションのなかでも定番となっている「ジャングルファティーグ」。年代によって5つのタイプに分けられることはご存じの通り。ではその違いとは? まずはどういった位置づけのものなので、どんな変遷を辿ったのか見ていこう。
初採用は1963年。米軍がベトナム戦時に採用。熱帯地用開発した野戦服。
べトナム戦争こと第二次インドシナ戦争は、一次戦争後、南北に分裂したベトナム周域で展開され、1960年代半ばにはアメリカが本格的に介入し、1975年に事実上終結した。
通称ジャングルファティーグと呼ばれる熱帯地域対応戦闘服は、そんなベトナム周域の高温多雨な気候に合わせて開発され、正式名称は「コンバット トロピカル」。基本的には無地OD(オリーブドラブの略)が中心であり、最初期は薄手のコットンポプリン、’68年頃からリップストップコットンへと変遷している。

また、1948年に設立された米陸軍技術研究開発試験所によって開発された迷彩パターン、通称グリーンリーフ(初期との説あり)や、ブラウンリーフ(後期との説あり)なども稀に見られるが、それらは特殊部隊への支給が優先され、一般部隊へは限定的であったと言われている。

戦後’81年に正式採用されたM81迷彩、通称“ウッドランドパターン”が開発されるまで、アメリカ陸軍における主要迷彩のひとつであったが、現存数が非常に少なく、世界的なコレクターも存在するヴィンテージ激戦区のカテゴリーであることも末尾に記しておきたい。
では続いて、時代によって異なる5つのタイプについて見ていこう。
【1963–1964】ジャングルファティーグジャケット 1st type
米軍での採用後すぐの1963年から1964年、約1年間しか生産されなかった事もあり希少となる1stタイプ。4つのポケットのフラップを留めるボタンがすべて表側に出るディテールが最大の特徴。
特徴
フラップを留めるボタンが剥き出しであることが、1st タイプのみに見られる最大の特徴。肩のエポレットや、ウエストを絞るアジャスタボタンは、2ndタイプまで採用された。
【1965–1966】ジャングルファティーグジャケット 2nd type
1965年から1966年頃まで生産された2nd タイプ。ポケットフラップを留めるボタンは隠れたが、エポレットが残るので判別が容易。前開きの内側にフラップが施されるガスフラップの仕様も残る。
特徴
背にヨーク切り替えが入らない事やウエストのアジャスタボタンが付くのは2ndタイプまで。ボタンは1stモデルのツヤありからツヤなしに変更された。
【1967】ジャングルファティーグジャケット 3rd type #1
エポレットやウエストアジャスタボタンも省略され見た目がシンプルに。3rdタイプには2種類あり、こちらは、1st タイプからのハンガーループも襟下に付く1967年製。
特徴
この3rdタイプから肩の補強として背にヨーク切り替えが施される。また縫製もダブルステッチで耐久性が向上。4thタイプからはインターロック縫製に変更される。
【1967後期】ジャングルファティーグジャケット 3rd type #2
3rdタイプを判別する大きなポイントは通称ノンリップのコットンポプリン地が使用されている事。3rdタイプの後期型とされる、こちらは襟下のハンガーループが省略。4thタイプへの移行期モデル。
特徴
左右の胸ポケットには1st タイプよりペン差しと呼ばれるディテールが存在する。この後の4thタイプからは左ポケットのみに変更される。
【1968】ジャングルファティーグジャケット 4th type
より通気性と強度を高くしたリップストップ地を採用した4thタイプ。格子状に補強糸が織り込まれているのが外見からもはっきりと判る。袖口のV 型ガゼットの仕様は5thモデルでは変更。
特徴
雨によってポケットに入った水を逃す為に施されたドレインホール。3rdタイプで一時的に省略されていたが、4thモデルでは復活している。
【1969–1970】ジャングルファティーグジャケット 5th type
1969年から1970年の最終型と呼ばれる。4thタイプとの違いはほぼないが、袖口のアジャスタボタンを開けるとわかるポイントが。V 型のガゼットの仕様がなくなり、シンプルなつくりとなる。
特徴
肩から袖付けまで、以前のダブルステッチよりインターロック縫製へ変更し軽量化。また、袖口のガゼットがシンプルなつくりに変更されたことが、5thタイプ最大の特徴。
ジャングルファティーグパンツの変遷もチェックしよう。
1st type|パンツも剥き出しボタンの仕様。
ジャケットの最初期と同様にパンツの最初期もポケットのフラップを留めるボタンが剥き出しとなる。ボタンフライ内側のガスフラップの仕様も1st タイプのみ装備される。
2nd type|アジャスタボタンで調節。
ポケットフラップを留めるボタンが隠された。サイドアジャスタボタンが残るのが2ndタイプの特徴。膝の動きをスムーズにするプリーツの仕様が新たにプラスされた。
3rd type|ノンリップ地を使用する最終型。
ウエストサイズを調節するサイドアジャスタがボタンからベルト式に大きく変更。ノンリップのコットンポプリン地を使用するのはこちらの3rdタイプまで。
4th type|リップ地でより軽快に。
3rd タイプとの相違点は1967年に生地がリップストップ地に変更された事。1stモデルから受け継ぐボタンフライの前合わせ仕様がまだ残るので、4th タイプとなる。
5th type|使い易さを追求した最終型。
1968年頃に前合わせがボタンフライからジッパーフライに変更された。このジッパーフライの仕様がジャングルファティーグパンツの最終型。その使い易さから人気も高い。
SHARE
PROFILE

2nd 編集部
もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。