
【ファッション用語辞典】迷彩柄(実物)の種類・名称

2nd 編集部
- 2020年10月02日
INDEX
着用する地の植生や色彩感覚、戦地によりパターンが異なる迷彩柄。目的は同じながら、国により柄の違いがあるのが面白いところ。知っておきたい世界各国の迷彩柄を、すべてイラストではなく実物の写真で紹介!
【アメリカ】
古着市場でも見かけることの多い米軍の迷彩柄だが、’40年代の登場を皮切りに、活動環境の変化や迷彩効果の向上のため幅広く発展を続けてきた。米軍の迷彩は、その変遷と一緒に紹介する。
【イギリス】DPM
[Disruptive Pattern Material(分裂模様素材)]の略。評価の高い迷彩柄であり、この生地自体を他国がそのまま採用することも。
【フランス】中央ヨーロッパ迷彩
オーソドックスなウッドランドとデザートパターン。汎用性が高く、諸外国が参考とするあたりに完成度の高さを垣間見れる。
【ドイツ】フレック迷彩
大戦中のナチスに端を発するドットで構成される迷彩。別称、フレクター迷彩。フレック[Fleck]とは独語で「染み」の意。
【フランス】リザード迷彩
ブラッシュパターンの代表格インドシナ紛争で採用された迷彩柄。後に登場するタイガーストライプの開発に影響を与えた。
【東ドイツ】レインドロップ
まるで雨が降っているような細かな線が配された迷彩模様。縦横がはっきり異なるパターンのひとつ。他国では見ない特異な柄。
【イタリア】サンマルコ海兵隊
ベーシックな配色ながら、曲線の美しいパターン。サンマルコとはイタリア海軍に所属する海兵隊で正式名称はサンマルコ両用戦連隊。
【イタリア】ウッドランド迷彩
米軍のウッドランド同様、アーシーな4色で構成されたカモフラージュパターン。この柄に、イタリア軍の証、星印が映える。
【ベルギー】空挺部隊
空挺部隊、つまりパラシュート部隊の迷彩。独特の色の掛け合わせと、垂れ下がるような文様が特徴的なパターン。
【オランダ】アフガン迷彩
アフガニスタン派兵に際し、生まれた迷彩柄。5色使いの彩度の高い色使いが特徴の森林用のカモフラージュ。
【スウェーデン】ウッドランド迷彩
北欧の国らしいスカンジナビアンデザインを感じさせる、大柄で幾何学的な折れ線を駆使したグラフィカルな迷彩柄。
【スイス】ライバーマイスター
ナチスドイツが採用したまだら模様の迷彩柄。[Leibermeister(ライバーマイスター)]は開発者の名に由来するとされている。
【オーストリア】ドットパターン迷彩
世界的に見てもかなり早い時期から迷彩柄を取り入れた国のひとつ。現在は迷彩柄を採用していないというのも興味深い。
【チェコ】ウッドランド
スロバキアと分裂後のチェコ軍の迷彩柄。4色使いながら、比較的ダークな色味の掛け合わせとなっている点が特色。
【チェコスロバキア】デザート迷彩
チェコスロバキア時代の迷彩。単調ともとれる柄構成は、湾岸戦争に際して突発的にデザインされた迷彩として有名。
【スワジランド】リザード迷彩
周囲を南アフリカ共和国とモザンビークに囲まれるアフリカ南部の立憲君主制国家。淡いパープルがベースという特異な迷彩柄。
【南アフリカ】KZN
南アフリカ共和国の民兵組織KZNが採用するパターン。植生を反映するがごとく、ネイティヴなパターンで構成される。
【南アフリカ】トランスカイ軍
南アフリカ共和国にかつて存在した自治区(ホームランド)のひとつ、トランスカイの軍隊が開発した迷彩柄。
【南アフリカ】シスカイ軍
右と同様、ホームランドであったシスカイの迷彩柄。隣り合う両自治区の迷彩柄が異なる点にも注目したい。
【ポルトガル】リザード迷彩
フランス軍のものとは異なる色味の濃いリザード迷彩柄。後の南アフリカ共和国の迷彩に影響を与えたと言われる。
【ブラジル】リザード迷彩
南米・ブラジルのカモフラージュパターンは、濃淡のはっきりしたリザードタイプ。構成の細かさに植生の特異性を見て取れる。
【オーストラリア】DPCU
ダックハンターを彷彿させるクラシカルな迷彩柄を採用。DPCUとは[Disruptive Pattern Camouflage Uniform]の略。
迷彩にまつわる、知っておきたいキーワード8。
1.スノーカモ
迷彩には複数の色を用いる分割迷彩と、オリーブドラブに代表される単色迷彩がある。スノーカモは雪上での迷彩を狙った白一色の単色迷彩。左は’50sのオーバーパンツ。
2.スプレーカモ
迷彩柄の効果が実証されていながら、迷彩服が普及していなかった’40年代ごろ、兵士が独自にスプレーで戦闘服やヘルメットを塗装した迷彩柄。現在でも一部の米軍特殊部隊では、迷彩目的に限り、銃器への塗装が許可されている。
3.タイガーストライプ
フランスのリザード迷彩を参考とした南ベトナム軍の迷彩柄の効果を評価したアメリカ軍が、一部の部隊での着用を黙認したストライプパターンの迷彩柄。プリントは沖縄やタイで行われ、バリエーションも多く存在する。写真はシールズのスイムパンツ。
4.ダズル迷彩
イギリス人芸術家ノーマン・ウィルキンソンにより発案された艦船に施される迷彩塗装。明確な配色の複雑な幾何学模様により敵に艦船の大きさ・速力・進行方向や距離などを誤認させる。日本では幻惑迷彩とも呼ばれる。
5.デジカモ
デジタルカモフラージュの略。別名ピクセル迷彩。’80年代に旧ソ連で空挺部隊用に開発された迷彩カバーオールに始まり、近年アメリカやカナダなど採用国が増えている。
6.トライアル
迷彩効果の高い柄を開発・採用すべく、軍では積極的に民間企業や、独自に開発した迷彩柄を一部の部隊で採用しテストしている。一番上は、米・クオーターマスター社の試作柄。
7.ハンティングカモ
迷彩柄の発展に欠かせないのがハンティング市場。ハンティングが盛んなアメリカでは、ハンティングメーカーが開発した柄が一部の特殊部隊で採用された例もある。
8.リバーシブル
環境に合わせ最大限の迷彩効果を発揮するために、衣服の表裏で異なる迷彩柄を配すること。海上から森林へ移動する場合、砂浜ではデザートカモ側で着用し、森林では服を裏返しウッド柄を表地とする。写真はダックハンターのリバーシブル。
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2nd 編集部
もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
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