
埼玉県「彩くるルート」が国のモデルルートに初選定 サイクリング観光を推進

Bicycle Club編集部
- 2025年04月16日
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埼玉県が推進する広域サイクリングルート「彩くる(さいくる)ルート」のうち、「荒川リバーサイドCity」と「秩父札所・長瀞」の2件が、このほど国土交通省が選定する「サイクルツーリズム推進モデルルート」に埼玉県内で初めて登録された。豊かな自然や歴史・文化資源を自転車で巡る旅の魅力を全国に発信し、国内外からの観光客誘致と地域活性化を図る狙いだ。県は今後、関係市町や観光事業者と連携し、情報発信や受け入れ環境の整備を加速させる方針。
国の後押しで魅力発信強化
国土交通省は、地域の魅力向上や観光振興に資するサイクリングルートを「モデルルート」として選定し、国内外への情報発信や環境整備を支援している。埼玉県は、2018年に施行された自転車活用推進法に基づき、自転車の利用促進と安全な環境整備に取り組んできた。今回のモデルルート選定は、県のこれまでの取り組みが評価された形となり、サイクルツーリズム推進の大きな弾みとなることが期待される。
県は、選定された2つのルートについて「それぞれ異なる魅力を持つ、埼玉を代表するルート」と位置づけている。
【荒川リバーサイドCity】 武蔵野の風を感じる、都市近郊ネイチャールート(約86km)
さいたま市、川越市、戸田市、上尾市の4市と川島町を巡る「荒川リバーサイドCity」ルートは、総延長約86キロメートル。「武蔵野の自然と歴史に触れてみよう!」をテーマに、雄大な荒川の流れや、緑豊かな公園、歴史的な街並みを満喫できるのが特徴だ。
ルートの核となるのは、整備された「荒川自転車道(さいたま武蔵丘陵森林公園自転車道)」や「入間川自転車道」。信号が少なく、平坦な区間が多いため、本格的なサイクリストはもちろん、サイクリング初心者や家族連れ、ゆっくり景色を楽しむ「ポタリング」にも適している。
具体的な見どころとしては、水辺の憩いの場である戸田市の「戸田公園」や調節池「彩湖」、さいたま市大宮区の「氷川神社」とその緑豊かな「氷川参道」、近代的な都市景観が広がる「さいたま新都心」などが挙げられる。また、”小江戸”として知られる川越市の蔵造りの町並みや、川島町の「農産物直売所」などもルート上にあり、グルメやショッピングも楽しめる。通過市町が連携し、案内表示の設置や休憩スポットの整備を進めており、安全・快適な走行環境が整えられている。
【秩父札所・長瀞】 山岳美と霊場巡る、走りごたえ満点の文化探訪ルート(約149km)
一方、秩父市、横瀬町、長瀞町、小鹿野町の1市3町を舞台とする「秩父札所・長瀞」ルートは、総延長約149キロメートル。「秩父路の 山河と文化を 観てんべぇ!」(見てみよう、の意)をキャッチフレーズに、秩父地方の雄大な自然と深い歴史・文化に触れることができる本格的なルートだ。
このルートの最大の魅力は、日本百観音にも数えられる「秩父札所三十四観音霊場」を巡礼できること。点在する古刹を自転車で訪ねることで、車では味わえない達成感と、それぞれの寺社の持つ独特の雰囲気を肌で感じることができる。また、国の名勝・天然記念物に指定されている「長瀞」の渓谷美や、四季折々の花々やアートを楽しめる「秩父ミューズパーク」などもルートに含まれる。
秩父地域は山がちな地形のため、ルートにはアップダウンが多く、相応の脚力と経験が求められる区間も多い。しかし、走りごたえのあるヒルクライムや、山々を見渡す絶景ポイントは、挑戦意欲をかき立てる本格派サイクリストにとって大きな魅力となるだろう。一方で、札所周辺の比較的平坦なエリアや、長瀞の街中などは、初心者でもサイクリングを楽しむことが可能だ。
さらに、秩父鉄道の「SLパレオエクスプレス」や、自転車をそのまま持ち込める「サイクルトレイン」(秩父鉄道・西武鉄道)を活用すれば、体力に合わせて行程を調整したり、アクセスを容易にしたりすることもできる。
ウェブ情報充実、安全利用呼びかけ
県は今回のモデルルート選定を受け、ルートの詳細情報や見どころ、立ち寄りスポットなどを紹介するウェブコンテンツのさらなる充実を図るとしている。各ルートの経路は、県ウェブサイト上のリンクや、広報資料に掲載されたQRコードからGoogleマップで確認できる。
県土整備政策課の担当者は「これらのルートが、埼玉の新たな観光の柱となることを期待している。国内外から多くのサイクリストに訪れていただき、埼玉の多様な魅力を体験してほしい」と語る。同時に、「サイクリングを楽しむ際は、交通ルールとマナーを必ず守り、特に走行中のスマートフォン操作は絶対にやめてほしい。安全第一で、素晴らしい景色と体験を満喫していただきたい」と、安全利用を強く呼びかけている。
自転車道の維持管理や補修については、県道路環境課が担当しており、今後も安全な走行環境の確保に努めていくとしている。
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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