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ドゥシャン・ラヨビッチ、衝撃の2分58秒台で優勝!|ツアー・オブ・ジャパン 堺ステージ

5月18日(日曜日)、日本最大級のステージレース「NTN presents ツアー・オブ・ジャパン2025」が、大阪府堺市の仁徳天皇陵古墳に隣接する大仙公園周回コースで華々しく開幕した。第1ステージは、2.6kmの個人タイムトライアル。天候は曇り、気温26℃と初夏の蒸し暑さが残る中、国内外から集結した16チームの精鋭たちが、8日間にわたる熱戦の火蓋を切った。このオープニングステージを制したのは、ドゥシャン・ラヨビッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、セルビア)。ただ一人2分台となる2分58秒91という驚異的なタイムを叩き出し、ステージ優勝と共に個人総合時間賞リーダージャージ、ポイント賞ジャージの3賞を手中に収めた。大会公式発表によると、この日の来場者数は45,800人にのぼり、多くのファンが熱戦を見守った。

熱気と期待に包まれた大仙公園、午前中にはクリテリウムも開催

大会27回目、堺ステージとしては24回目を迎えるこの日、会場には朝から多くの自転車ファンが詰めかけた。午前中には「堺国際クリテリウム」なども同会場で行われ、3人でのゴールスプリントを制した風間翔眞(シマノレーシング)が優勝を飾るなど、一日を通して自転車レースの興奮が会場を包んだ。

ツアー・オブ・ジャパンの第1ステージが始まる午後には、スタート前にチームプレゼンテーションが行われ、各チームの選手たちがステージに登場すると、観客からは大きな拍手と声援が送られた。

レースは、1チーム5名編成(一部チームを除く)の全96選手が、30秒間隔で1人ずつスタート。大仙公園内に設定された2.6kmのコースは、タイトなコーナーが連続し、古墳の緩やかなアップダウンも含まれるなど、選手のテクニックと爆発的なパワーが試されるレイアウトだ。

序盤から好タイム続出、若武者たちが火花を散らす

第1ブロック、1番スタートの望月蓮(チームブッファーズ・ジェスチョンドパトリモワンヌ)が3分12秒25でフィニッシュし、基準タイムを刻むと、すぐに山田拓海(シマノレーシング)が3分7秒87という好タイムを叩き出し、暫定トップの座(ホットシート)へ。山田は、所属するシマノレーシングの地元・堺での活躍に笑顔を見せた。

その後も各チームの1番手走者たちが次々とフィニッシュ。マティアス・ブレンホイ(トレンガヌサイクリングチーム、デンマーク)が3分5秒62をマークし、トップタイムを更新。第1ブロック終了時点では、このブレンホイのタイムがトップとなった。

第2ブロックに入ると、森田叶夢(日本ナショナルチーム)が躍動。中間計時をトップタイムで通過する積極的な走りを見せ、フィニッシュタイムは3分9秒10。この時点でアンダー23のトップタイムを記録し、新人賞ジャージ獲得へ向けて好位置につけた。

中盤戦、トップタイムは目まぐるしく入れ替わる

レースが進むにつれて、コースコンディションを掴んだ選手たちによるタイム更新が相次ぐ。第3ブロックでは、石原悠希(シマノレーシング)が3分7秒39で暫定3位に食い込む走りを見せれば、ウィリアム・へファナン(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア)が3分6秒59をマークし、森田のアンダー23トップタイムを塗り替えた。

そして第4ブロック、コースに衝撃が走る。ヨン・クノレ(レンべ・ラド・ネット、ドイツ)が3分4秒23という驚異的なタイムを叩き出し、ブレンホイのタイムを1秒以上も上回り、暫定トップに躍り出た。しかし、その興奮も冷めやらぬ中、リアム・ウォルシュ(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア)がさらにその上を行く3分00秒51を記録。ついに3分切りまであとわずかという大台に乗せ、ホットシートの主となった。この時点で、同じくシーキャッシュ・ボディラップのキャメロン・スコット(オーストラリア)も3分1秒02で暫定2位につけ、トラック競技でも活躍するオーストラリアチームがワンツー体制を築いた。

ラヨビッチ、異次元のスピードで2分台の壁を破る

最終盤の第5ブロック、この日最大のハイライトが訪れる。セルビア・クラリエボ出身の27歳、ドゥシャン・ラヨビッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)がスタート台を飛び出すと、力強いペダリングでコースを疾走。中間計時を1分37秒という圧倒的なタイムで通過すると、フィニッシュラインでは時計が2分58秒91を示した。ついに達成された「夢の2分台」。会場からは大きなどよめきと割れんばかりの拍手が沸き起こった。このタイムは、それまでトップだったウォルシュを1秒6も上回る、まさに異次元の走りだった。

ラヨビッチは、UCIワールドサイクリングセンターからスロベニアのコンチネンタルチームを経て、2020年にNIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスからプロデビュー。その後、昨年まではバーレーン・ヴィクトリアスに所属し、新城幸也とは2023年からチームメイトだ。今シーズンはツアー・オブ・シャールジャとイストリアン・スプリング・トロフィーでステージ優勝とポイント賞を獲得。さらに、ベオグラード〜バニャ・ルカではステージ2勝を挙げて総合優勝し、日本へ。来日後も和歌山城クリテリウムで優勝、ツール・ド・熊野でステージ2勝とポイント賞を獲得するなど、絶好調を維持してのツアー・オブ・ジャパン参戦となった。

日本勢も存在感、岡篤志が4位と健闘

最終第6ブロックでは、2019年の堺ステージ覇者でもある岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が登場。安定した走りで3分1秒791をマークし、総合4位、日本人選手トップの成績を収めた。また、山本哲央(日本ナショナルチーム)も3分3秒81で7位と健闘を見せた。

この日、3分12秒90で54位だった新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)は、チームメイトのラヨビッチの勝利を喜び、「先ずは1勝目!ドゥシャンは短いプロローグ得意だが、今回はオーストラリアのチームで去年まで、自分と同じバーレーン・ヴィクトリアス所属だった、キャメロン・スコットが出場していて、彼はツール・ド・ロマンディのプロローグでも2位になっていて、得意種目なので簡単でなかった。終わってみれば、一人だけ3分を切る快走だった。ドゥシャンは今シーズン10勝目を飾った!チームは明日からもリーダーチームとしてしっかりと走らないといけない、しかし、富士山ステージある以上、ドゥシャンのリーダー確保よりもステージ優勝の方を優先することになるだろう」とコメントした。

一方、優勝を狙っていたという岡篤志は、「きょうは優勝を狙ってスタートしたが、勝てなくて悔しい。タイムトライアルは自分との戦い。自分より速い選手が3人いたという結果を素直に受け止めたい。短いタイムトライアルだったのでペース配分を意識せずに全開で突っ込んでいったが、そのため失速したかもしれない。その点はミスだったかなと思う。あすからは本格的なロードレースが始まるが、コンディションが良いことは確認できた。京都、いなべ、飯田ステージでは成績を残したことがあるので、1ステージずつ優勝を狙って走っていきたい。頑張ります!」と悔しさをにじませながらも、今後のステージへの意気込みを語った。

華やかな表彰式、ラヨビッチが3冠に輝く

全選手がフィニッシュし、熱戦が幕を閉じると、ステージでは表彰式が行われた。ステージ優勝、個人総合時間賞(グリーンジャージ)、ポイント賞(ブルージャージ)の3冠に輝いたラヨビッチは、地元の小学生たちから花束やだるまを贈られ、笑顔を見せた。

ラヨビッチは、「チームのスポンサーが日本企業ということもあり、私もチームも高いモチベーションで今日のレースに臨み、レース中は自分を信じてとにかく全力で踏みました。テクニックよりもパワーが必要とされるコースだったと思いますが、この定番コースで勝利することができ嬉しく思います。明日はこのリーダージャージを守ると共に、スプリントでステージ優勝も狙っていきます」とコメントした。

新人賞(ホワイトジャージ)は、カイエ・ソレン(ワンティ・NIPPO・リユーズ、オランダ)が3分6秒46で獲得。

そして、今年から新設されたRTA賞(将来有望なU23日本人選手に贈られる賞)には、森田叶夢(日本ナショナルチーム)が選ばれた。プロジェクトマネージャーの浅田顕氏は「今日のタイムトライアルでU23日本人選手の中で最も優秀なタイムだった。京都産業大学に在籍し、昨年の東京ステージでも果敢な走りを見せてくれた。これから厳しいステージが続くが、得意なステージも多いと思うので、世界を目指して頑張ってほしい」と激励の言葉を送った。

熱戦の舞台は京都へ

初日から波乱と興奮に満ちたツアー・オブ・ジャパン2025。圧倒的な力を見せつけたドゥシャン・ラヨビッチが幸先の良いスタートを切った。しかし、戦いはまだ始まったばかり。翌19日には第2ステージ京都(京田辺市普賢寺ふれあいの駅周回コース)が行われ、選手たちは新緑の京都で新たな戦いを繰り広げる。8日間にわたる長く厳しい戦いは、最終日5月25日の東京ステージまで続く。

 第1ステージ リザルト

1位 ドゥシャン・ラヨビッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、セルビア) 2m58s91
2位
リアム・ウォルシュ(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア) +1s60
3位 キャメロン・スコット(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア) +2s11
4位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +2s88
5位 アンドレア・ダマト(JCLチーム右京、イタリア) +4s28
6位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア) +4s54
7位 山本哲央(日本ナショナルチーム) +4s90
8位 ケイン・リチャーズ(ルージャイ・インシュランス、オーストラリア) +4s99
9位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン) +5s29
10位 ヨン・クノレ(レンべ・ラド・ネット、ドイツ) +5s32

個人総合成績(第1ステージ)

1位 ドゥシャン・ラヨビッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) 2m58
2位 リアム・ウォルシュ(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア) +02s
3位 キャメロン・スコット(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア) +03s
4位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
5位 アンドレア・ダマト(JCLチーム右京、イタリア) +05s
6位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア)
7位 山本哲央(日本ナショナルチーム)
8位 ケイン・リチャーズ(ルージャイ・インシュランス、オーストラリア)
9位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン) +06s
10位 ヨン・クノレ(レンべ・ラド・ネット、ドイツ)

ポイント賞(ブルージャージ)

ドゥシャン・ラヨビッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、セルビア)

新人賞(ホワイトジャージ)

カイエ・ソレン(ワンティ・NIPPO・リユーズ、オランダ)

RTA賞

森田叶夢(日本ナショナルチーム)

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せいちゃん

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稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

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