ピーダスンが歴史的快挙、新生デルトロ誕生！ 波乱に満ちたイタリア路｜ジロ・デ・イタリア序盤戦

108回目を迎えた伝統のサイクルロードレース「ジロ・デ・イタリア」は、序盤から激しい戦いが繰り広げられている。デンマークの英雄マッズ・ピーダスン（リドル・トレック、デンマーク）が歴史的なマリア・ローザ（総合リーダージャージ）着用とステージ3勝を挙げる鮮烈なスタートを切った後、総合争いは目まぐるしく変動。第9ステージ終了時点で、21歳の新星イサーク・デルトロ（UAEチームエミレーツ・XRG）がメキシコ人初のマリア・ローザを獲得し、自転車界に衝撃を与えている。

ピーダスン、デンマーク初の栄光と圧倒的スプリント

大会初日、アルバニアのティラナで幕を開けたレースは、元世界王者マッズ・ピーダスンの独壇場となった。チーム一丸となった戦略でライバルを消耗させると、最後は「ストロングマン・スプリント」と称される力勝負でワウト・ファンアールト（チーム ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー）を僅差で下し、ステージ優勝。同時に、デンマーク人として初めてマリア・ローザに袖を通すという歴史的快挙を成し遂げた。「計画が完璧にいった勝利だ。チームにこの勝利を捧げたい」とピーダスンは語った。

その勢いは止まらず、第3ステージでも集団スプリントを制し2勝目。続く第5ステージの登りスプリントでも強さを見せつけ、早くも3勝目をマーク。「夢以上の結果だ。チームの献身に誇りを感じる」と、マリア・ローザを着て戦う喜びを噛み締めた。第4ステージでは落車に見舞われるアクシデントもあったが、マリア・ローザを堅守した。

総合争いは混沌、日替わりリーダーの激戦

ピーダスンの快進撃の一方で、総合優勝候補たちは虎視眈々と機会を窺う。第2ステージの個人タイムトライアルではプリモシュ・ログリッチ（レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア）がピーダスンからマリア・ローザを奪取。しかし、ピーダスンは第3ステージの勝利で再び首位に返り咲く。

山岳ステージが始まると、総合争いはさらに激化。第7ステージでは、フアン・アユソ（UAEチームエミレーツ・XRG、スペイン）がグランツール初勝利を挙げ、ログリッチが再びマリア・ローザを獲得。翌第8ステージでは、ルーク・プラップ（チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア）が独走勝利を飾る中、35歳のベテラン、ディエゴ・ウリッシ（XDSアスタナ・チーム、イタリア）がキャリア初のマリア・ローザを獲得。地元イタリアでの快挙に、ウリッシは「言葉にならない。家族に感謝したい」と感極まった。

白き道で歴史動く！ デルトロ、21歳でメキシコ初の快挙

そして迎えた第9ステージ、トスカーナ名物の未舗装路「ストラーデ・ビアンケ」を含む難コース。経験豊富なワウト・ファンアールトが巧みな走りでステージ優勝を飾ったが、この日最大のドラマは総合争いで起こった。UAEチームエミレーツ・XRGの21歳、イサーク・デルトロがファンアールトに次ぐステージ2位でフィニッシュ。前日マリア・ローザのウリッシやログリッチがタイムを失ったことで、デルトロが総合首位に躍り出た。

これはメキシコ人ライダーとして初のマリア・ローザ獲得であり、今世紀最年少での総合リーダー誕生という歴史的瞬間となった。「信じられない。子供の頃からの夢だった。言葉で表現するのは難しい」と、若き新リーダーは興奮を隠せない。チームメイトのフアン・アユソが総合2位につけ、UAEチームエミレーツ・XRGが1-2体制を築いた。

各賞ジャージの行方

第9ステージ終了時点で、マリア・ローザはイサーク・デルトロ。マリア・チクラミーノ（ポイント賞）はマッズ・ピーダスンがリードし、ワウト・ファンアールト（第1、2ステージ）、アレッサンドロ・トネッリ（第3ステージ）、オラフ・コーイ（第4～6ステージ）が代理着用してきた。マリア・アッズーラ（山岳賞）はロレンツォ・フォルトゥナート（XDSアスタナ・チーム、イタリア）、マリア・ビアンカ（新人賞）はデルトロが獲得し、アユソが代理着用している。

波乱と感動に満ちたジロ・デ・イタリア序盤戦。若きデルトロは歴史的ジャージを守り切れるのか、それとも経験豊富なライバルたちが逆襲を見せるのか。中盤戦以降も目が離せない戦いが続く。