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ラッカーニ、飯田の激坂制し総合首位奪取|ツアー・オブ・ジャパン 綿半 信州飯田ステージ

5月22日(木)、長野県飯田市で開催された「NTN presents ツアー・オブ・ジャパン2025」第5ステージ綿半 信州飯田ステージは、終盤の激しいアタック合戦を抜け出したシモーネ・ラッカーニ(JCLチーム右京、イタリア)が、力強い走りでステージ優勝を飾った。この結果、ラッカーニは個人総合時間賞でもトップに立ち、グリーンジャージを獲得。JCLチーム右京は前日のアレッサンドロ・ファンチェル(イタリア)に続き、チーム内でのリーダージャージ移譲という圧倒的なチーム力を見せつけた。

新緑の飯田で熱戦スタート、序盤は逃げと追走の攻防

ツアー・オブ・ジャパン後半戦の幕開けとなる大会5日目の綿半 信州飯田ステージ。同時に、総合優勝争いの本格的な始まりを告げる重要な一日でもある。飯田市立下久堅小学校前をスタートした選手たちは、オープニングラップ後に設定された1周12.2kmの周回コースを9周する、総距離120.9km(パレード区間11.1km含む)の起伏に富んだコースに挑んだ。コース中には「TOJコーナー」や「焼肉ポイント」といった名物地点も健在で、最大勾配10%を超える厳しい登りが選手たちを幾度となく苦しめる。この日は朝方に雨が降った影響で路面の一部はウェットな状況だったが、スタート時には曇り空となり、気温24℃、湿度59%と、前日までの猛暑に比べると比較的過ごしやすいコンディションとなった。

個人総合首位の証となるグリーンジャージはアレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア)が着用。ポイント賞はファンチェルがグリーンジャージを着用するため、ポイント賞ランキング2位の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が代理でブルージャージを、山岳賞はニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京、イタリア)がレッドジャージ、新人賞はマクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ、ベルギー)がホワイトジャージをそれぞれ身にまとい、パレード走行の後、レースの火蓋が切られた。

周回コースに入り、リアルスタートが切られると同時に、集団からは積極的なアタックがかかる。1周目途中ではメトケル・イヨブ(トレンガヌサイクリングチーム、エリトリア)が単独でアタックを試みるが、これは長く続かない。メイン集団からフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ、スペイン)とテグシュバヤール・バッサイカン(ルージャイ・インシュアランス、モンゴル)の2名が追走をかけ、イヨブを捕らえると、そのまま追い抜いて先行。さらに、この2名を追ってリアム・ウォルシュ(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア)が集団から単独で追走し、先頭グループに合流。こうして、レース序盤の逃げはバッサイカン、マンセボ、ウォルシュの3名となった。

メイン集団は、総合リーダージャージを擁するJCLチーム右京がコントロールし、この3名の逃げを容認。タイム差は順調に開いていき、3周目には最大で3分25秒まで広がった。

中盤、追走劇と激しい山岳ポイント争い、そしてラッカーニのアタック

この日3度設定される山岳(KOM)ポイントは、登坂の難度が高いため、通常のステージよりも高いポイント(1位通過7ポイント)が与えられる。逃げグループに入ったバッサイカンは、2周目と5周目に設定された山岳ポイントを連続で先頭通過。山岳賞ジャージを着るガリッボに対し、暫定で1ポイント差にまで迫り、山岳賞争いを面白くする。

レースが後半に入り、残り5周となったところでメイン集団が活性化。ダヴィデ・バルダッチーニ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)、カーター・ベトルス(ルージャイ・インシュアランス、オーストラリア)、ミゲル・ハイデマン(レンベ・ラド・ネット、ドイツ)の3名が集団からアタックし、逃げの3名を追走。さらに、ケイン・リチャーズ(ルージャイ・インシュアランス、オーストラリア)もこの動きに加わり、4名の追走グループが形成された。

この強力な追走グループは、前を逃げる3名とのタイム差を急速に縮め、残り4周で逃げの3名を吸収。こうして7名の新たな先頭集団が誕生した。

勝負どころとなったのは、この日最後の山岳ポイントが設定される7周目。先頭7名とメイン集団とのタイム差が44秒まで縮まったところで、数を揃えるルージャイ・インシュアランスは、バッサイカンに3度目の山岳ポイントを取らせ、山岳賞ジャージを獲得させるべく、一丸となって逃げグループを牽引する。しかし、後方のメイン集団から、まるで獲物を狩るかのように鋭い登坂を見せたのは、山岳賞ジャージを着るガリッボ。山岳ポイント直前でバッサイカンを鮮やかに追い抜き、先頭で山岳ポイントを通過。バッサイカンは山岳賞ジャージ獲得を目前で逃すこととなり、ガリッボがその座を確実なものとした。

なおもJCLチーム右京の猛攻は止まらない。山岳ポイント通過後、集団から再び飛び出したリチャーズやウォルシュを単独で追いかけたのは、シモーネ・ラッカーニ(JCLチーム右京、イタリア)。チームメイトで総合リーダーのファンチェルから48秒遅れの総合14位につけるラッカーニは、8周目の登坂で先行する2名を軽々と抜き去り、単独先頭へ。総合リーダーチームのこの積極的な攻撃に、メイン集団は後手を踏む形となり、マーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イギリス)が下りを利用して単独で飛び出し、ラッカーニに追いつき、先頭は2名となった。

ラッカーニとスチュワートの一騎打ち、そして総合首位奪取

先頭2名で迎えた最終周回。直前のツール・ド・熊野で総合優勝を飾っている実力者、スチュワートはこの時点で44秒遅れの総合6位。一方のラッカーニは、後方にチームメイトで総合リーダーのファンチェルがいるため、無理に先頭交代に加わらず、スチュワートに前を引かせることでプレッシャーをかける巧みなレース運びを見せる。

メイン集団からは組織立った追走の動きは生まれず、勝負は完全にこの2人によるマッチレースの様相を呈した。そして、ゴール手前、最後の登りを利用し、残り300mでラッカーニが満を持してスプリントを開始。1周以上をほぼ先頭固定で走り続けたスチュワートに、もはや追う足は残っていなかった。2秒差をつけてラッカーニが力強くフィニッシュラインに飛び込み、ステージ優勝の栄冠を手にした。

メイン集団は47秒遅れでフィニッシュ。そのスプリントを制したのは、ヴァレリオ・コンティ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)だった。地元長野県飯田市出身の山田拓海(シマノレーシング)は、メイン集団の8位でフィニッシュラインを通過したが、スプリント時の斜行が認められ、25%のポイント減点と罰金、そして集団最後尾への降格という厳しいペナルティが科された。

この結果、ステージ優勝によるボーナスタイム10秒を獲得したラッカーニが、個人総合時間賞でもトップに浮上。前日総合首位だったチームメイトのファンチェルからグリーンジャージを引き継ぐことになった。いなべステージに続き、この飯田ステージでもJCLチーム右京所属選手の個々の力の高さ、そしてチームとしての戦略遂行能力が際立つ結果となった。総合首位にラッカーニ、9秒差の総合3位にファンチェル、44秒差の総合5位にガリッボがつけ、それぞれグリーンジャージ、ブルージャージ、レッドジャージに袖を通している。

各賞ジャージの行方と選手コメント

ステージ優勝・個人総合時間賞(グリーンジャージ)を獲得したラッカーニは、「今日はレースの終盤に自分で勝負に出て、グリーンジャージを獲得できました。明日は富士山の最難関ステージ。ジャージを守るベストな走りができるか、私とチーム双方が試されることになります。私だけでなく、チームメイトがこのジャージを守れればいいと思います。ジャージを東京で着ることは大きな目的ですし夢でもあり、このレースで勝ちたいという思いもありますが、まずは続くステージのことを考えることにします。そう簡単なステージにはならないはずです」と、冷静に喜びと今後の抱負を語った。

個人総合ポイント賞(ブルージャージ)を着用するファンチェルは、「今日はアタックが多く、ハードな一日でした。レースの前半は私たちのチームがコントロールして、終盤にラッカーニと他の選手がアタックして飛び出していきました。重要なことはグリーンジャージをチームでキープしたことです。明日は短く厳しいステージになると思いますが、みんなでジャージを守れるように走ります」と、チームとしての勝利を強調した。

個人総合山岳賞(レッドジャージ)を堅守したガリッボは、「レースはハードでした。チームとして噛み合わない部分もあったかもしれませんが、ステージを勝ち、リーダージャージをキープできたのは良かったと思います。明日のステージは自分には厳しすぎるので、チームに総合優勝をもたらせるように走ります」と、チームへの貢献を誓った。

新人賞(ホワイトジャージ)を着用するプラスは、「今日は不思議な展開でした。残り3周まではとても平穏だったのに、そこからペースが上がり爆発しました。2人が集団から飛び出してからは、集団内は協調がとれず、逃げ切られてしまいました。展開が生まれることを期待して何度かアタックをしましたが、差をつけるには最後の登りはちょっと短すぎたかもしれません」と、悔しさを滲ませながらレースを振り返った。

RTA賞(将来有望なU23日本人選手に贈られる賞)は、橋川丈(愛三工業レーシングチーム)が今大会3回目の受賞。プレゼンターの浅田顕氏は、「今日の厳しいレース展開の中でメイン集団先頭に残っての7位。ここ飯田出身、飯田風越高校に通っていた山田拓海選手による3位争いのスプリントも素晴らしかったですが、山田選手を1順位上回っての7位が授与理由です」と語った。

表彰式の最後には、TOJ組織委員会の栗村修委員長から、2005年の南信州ステージ立ち上げから20年にわたり大会の発展に尽力してきた熊谷秀男実行委員長に対し、感謝状と花束が贈られた。

熱戦はクイーンステージ富士山へ

JCLチーム右京が圧倒的なチーム力を見せつけ、総合ワンスリー体制を築いた綿半 信州飯田ステージ。大会はいよいよ佳境を迎え、翌23日にはクイーンステージとなる第6ステージ富士山(静岡県小山町)へと舞台を移す。標高差1000m以上を駆け上がる厳しい登坂で、総合優勝争いはクライマックスを迎える。

第5ステージ リザルト

1位 シモーネ・ラッカーニ(JCLチーム右京、イタリア) 3h06m01s
2位 マーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イギリス)+02s
3位 ヴァレリオ・コンティ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア) +47s
4位 ウィリアム・ヘファナン(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア)
5位 レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島、ベネズエラ)
6位 ディラン・ホプキンス(ルージャイ・インシュアランス、オーストラリア)
7位 橋川丈(愛三工業レーシングチーム)
8位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア)
9位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン)
10位 ヨハネス・アダミエツ(レンベ・ラド・ネット、ドイツ)

個人総合成績(第5ステージ)

1位 シモーネ・ラッカーニ(JCLチーム右京、イタリア) 11h57m39s
2位 マーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イギリス)+02s
3位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア)+09s
4位 マティアス・ブレンホイ(トレンガヌサイクリングチーム、デンマーク) +25s
5位 ニコロ・ガリッポ(JCLチーム右京、イタリア) +44s
6位 ヴァレリオ・コンティ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)+52s
7位 ディラン・ホプキンス(ルージャイ・インシュアランス、オーストラリア) +54s
8位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン) +55s
9位 金子宗平(日本ナショナルチーム) +56s
10位 マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ、ベルギー)

ポイント賞(ブルージャージ)

アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア)

山岳賞(レッドジャージ)

ニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京、イタリア)

新人賞(ホワイトジャージ)

マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ、ベルギー)

RTA賞

橋川丈(愛三工業レーシングチーム)

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せいちゃん

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稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

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