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ベンジャミ・プラデスが逃げ切りスプリントを制す|ツアー・オブ・ジャパン 相模原ステージ

5月24日(土)、神奈川県相模原市で開催された「NTN presents ツアー・オブ・ジャパン2025」第7ステージ AMANO相模原ステージは、最終周回までもつれ込む激しいアタック合戦の末、ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン)が小集団スプリントを制し、ステージ優勝を飾った。個人総合時間賞リーダージャージは、アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア)が堅守した。

新緑の相模原で熱戦スタート、序盤から各賞ジャージ争いが活発化

大会7日目の舞台は、相模原市緑区の橋本公園をスタートし、4.8kmのパレード区間を経て旧小倉橋を通過した後にアクチュアルスタート。鳥居原ふれあいの館前を発着点とする1周13.8kmの周回コースを7周する、総距離107.5kmで争われた。コースには3回のKOM(山岳ポイント)と3回の中間スプリントポイントが設定され、各賞ジャージの行方を占う重要なステージとなった。猛暑に苛まれた大会前半と異なり、この日は曇り空で、スタート時の気温は16℃、湿度77%と、肌寒さを覚える気候の中、レースはスタートした。

この日の注目は、2ポイント差でスタートを迎えたポイント賞争い。総合リーダージャージのアレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア)がポイント賞でもトップに立っており、2位につける岡篤志(宇都宮ブリッツェン)は逆転を期してレースに臨んだ。

また、総合3位のベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア)と総合4位のマーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イギリス)のタイム差は僅か13秒と、総合表彰台争いも熾烈を極める状況だった。

レースは開始直後から様々なチームの思惑が交錯し、激しいアタックの応酬となる。集団が一つのまま1周回目完了時に設定されたこの日最初のスプリントポイントへ。岡が先頭で通過を果たし、目論見通りポイントを加算。ファンチェルを擁するJCLチーム右京はスプリントに参加せず。一方でダイボールとスチュワートがボーナスタイムを狙ってのスプリント勝負を繰り広げ、ダイボールが2位で通過。3位で通過したスチュワートから1秒を奪った。

この周回には山岳ポイントも設定され、山岳賞ジャージを着るニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京、イタリア)が先着。逆転山岳賞を狙うテグシュバヤール・バッサイカン(ルージャイ・インシュアランス、モンゴル)を抑え込んだ。JCLチーム右京はポイント賞ジャージには執着しないが、山岳賞ジャージは守る構えを見せた格好となった。

2周目に入りなおも集団の動きは激しく、落ち着かない。下りコーナーで新人賞ジャージを着るマクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ、ベルギー)が単独で落車し、集団から遅れをとるアクシデントが発生。ドクターカーから治療を受け、チームカーの車列を使い1周以上かけて集団に復帰したが、苦痛に表情を歪ませた。

3周目に設定された中間スプリントポイントでは再び岡、ダイボール、スチュワートの争いとなるが、ここはスチュワートが先着。ダイボールが2番手で入り、この日のボーナスタイム争いはプラスマイナスゼロのイーブンに。岡はフィニッシュのスプリントに備えるため3位でこのポイントを通過する。

3周目完了時に設定された山岳ポイントでは再びガリッボとバッサイカンの争いとなるが、ガリッボが先着。この時点で今大会の山岳賞を決定づけた。

中盤、13名の強力な逃げグループ形成

4周目に入り、ようやくこの日最初の本格的な逃げが形成される。バッサイカン、トマ・ルバ(キナンレーシングチーム、フランス)、本多晴飛とプラデス(共にVC福岡)、レナルト・フェーゲとヨン・クノレ(共にレンベ・ラド・ネット)、香山飛龍と風間翔眞(共にシマノレーシング)、ルーク・ブレナン(チームブッファーズ・ジェスチョン・ド・パトリモワンヌ、フランス)、アラステア・クリスティージョンストン(シーキャシュ・ボディラップ、オーストラリア)、ジョルジェ・ジュリッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、セルビア)、菅野蒼羅(宇都宮ブリッツェン)の12名。総合上位選手が入っていないことでメイン集団はこの逃げを容認。そして、この逃げに後から今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ)が追いついてきて、先頭は13名の大きな集団となった。

残り3周に設定されたこの日最後の中間スプリントポイントは逃げのメンバーが争うこと無くルバを先頭に通過。残り2周回に突入する際に設定された最後の山岳ポイントは逃げからバッサイカンが先着し、山岳賞2位を確定させる。逃げる選手たちと集団のタイム差はおよそ30秒。

メイン集団はヴィクトワール広島がコントロールして最終周回へ。ダイボールの総合3位を守りたいチームは先行する逃げグループに追いつく必要がないため、タイム差は1分10秒まで拡大する。逃げ切りが濃厚になった先頭グループからは、クノレがアタックして揺さぶりをかける。

一度吸収されたクノレ選手だが再びアタック。この動きに追いつけたのはプラデスと今村のみだった。勝負は3名でのスプリントに。ハイペースを刻むクノレの後ろから先に仕掛けた今村の動きを冷静に見極めたプラデスが、最終コーナーで先行しそのままフィニッシュラインまで駆け抜けた。

プラデス、10年ぶりのTOJ勝利に歓喜。各賞ジャージの行方と選手コメント

ステージ優勝を果たしたプラデスは、「腰に痛みを抱えていて、レース中に休めるタイミングのある相模原ステージを狙っていました。今日の集団はどこが主導権を握るのか、よくわからないまま進みました。スプリンターを擁するチームがコントロールするかと思っていましたがそうはならず、数名が飛び出したのを見て直感的に私も追いかけました。この種のフィニッシュは私の得意とするところです。明日ポイント賞ジャージを守るのは正直難しいでしょう。そもそも、このジャージは今日の目的にはなかったことです。とはいえ、せっかくの機会ですし多少リスクを冒してでも明日は最後のスプリントに懸けてみたいと思います」と、10年ぶりのツアー・オブ・ジャパンでの勝利、そしてかつてチーム右京時代に2年間住んでいた相模原での勝利の喜びを語った。

3人での勝負に敗れた2人はそれぞれに敗因を振り返る。積極果敢なアタックで最後の展開と逃げ切りの立役者となったクノレは、「幸運にも総合勢のいない逃げができ、自分もそこに入れましたが、正直フィニッシュまで逃げ切れるとは考えていませんでした。そして最終局面で飛び出せるとも思っていなかったんです。誰もが様子見をしていたのでアタックを重ねましたが、2回目のアタックで3人で抜け出すことになりました。すごく脚に調子の良さを感じていて、登りでは先頭でペースを作りました。しかしそれが失敗でした。自分に自信を持ちすぎたことが今日の敗因でしょう……チームはTOP5に2人が入ったのはいいことですが、勝てなかったことには少しがっかりしています」と反省の弁を述べた。

一方で2位になった今村は、より早い段階でのミスを悔やむ。「(4周目に)少し出遅れてしまいましたが、追いつかなければ仕方ないという気持ちで12人の逃げにブリッジしました。逃げグループの中ではベンジャミン(プラデス)が余裕ありそうだと感じていました。3人で飛び出してからはクノレがハイペースを刻んでいて、ベンジャミンに勝つには先に仕掛ける必要があると思いスプリントを開始しました。けれどフィニッシュラインが遠かったです。今日の敗因は逃げに乗るのが遅れたこと。あれで足を使ってしまいました」と、序盤の判断が響いたことを明かした。

プラデスの他に、この日の勝者となったのは山岳賞を確定させたガリッボ、そして総合3位を堅守したダイボールだろう。ヴィクトワール広島はステージ優勝よりも総合3位を守る走りに徹し、総合表彰台に王手をかけた。チームの孫崎大樹は、「ベンさん(ダイボール)の総合3位はもちろんですが、レオ(キンテロ)の総合6位を守ることも意識して、逃がしていい選手を選別しました。逃げグループの中で総合成績の脅威はプラデス選手だったのですが、集団で余計なアタックがかからないようにまとめてフィニッシュできれば総合6位も3位も守れるということで、最終盤はチームで集団コントロールに入りました。今日は(ボーナスタイムのかかる)中間スプリントポイントにも注意していました。総合4位のマーク・スチュワート選手がボーナスタイムを狙ってきましたが、ベンと僕とで連携して、2回のポイント通過でプラスマイナスゼロに持っていけました。今日のベンさんは位置取りから走りから、スプリンターでしたね(笑)」とチーム戦略を明かした。

個人総合時間賞リーダージャージは、メイン集団でフィニッシュしたファンチェルが堅守。「今日は思っていたよりもハードな一日でした。スタートからたくさんのアタックがあり、正直に言うと少しナーバスにもなりましたが、チームがコントロールしてくれました。自分とラッカーニで総合1位2位につけて、残すはあと1日です」とコメント。

ポイント賞は、このステージ優勝でポイントを大きく加算したプラデスがトップに立った。山岳賞はガリッボがジャージを確定させ、「山岳賞ジャージを獲得できて自分にも、スポンサーのためにも嬉しく思います。山岳賞2位の選手との直接対決になりましたが、自分一人でも状況をコントロールできました」と語った。

新人賞(ホワイトジャージ)はプラスが落車しながらも守り抜き、「序盤は逃げを試みましたが、抜け出せませんでした。コーナー出口で前の選手の車輪に接触し、バリアに突っ込みました。地面に叩きつけられて、これで終わりだと思いました。ものすごく痛くて……でもその後自転車に乗り、最後まで懸命に走りました。肩を痛めたのでこの後レントゲンを撮ります。あと1日ですから、レースを続行できればいいのですが」とコメントした。

RTA賞(将来有望なU23日本人選手に贈られる賞)は、橋川丈(愛三工業レーシングチーム)が4度目の受賞。プレゼンターの浅田顕氏は、「橋川選手は、昨日の富士山ステージでメカトラブルにより一度遅れてしまい、前を追いかけるために多くの力を使ったことで、本来の実力を十分に発揮することができませんでした。しかし本日のステージでは、チームをしっかりとアシストする頼もしい走りを見せ、U23カテゴリーの中で最上位となる好成績を収めました。橋川選手は、自転車王国ベルギーで育ち、常に世界トップレベルのプロ選手を目指して日々努力を続けています。今年はU23カテゴリーの最終年である4年目となりますが、これからさらに飛躍し、世界で活躍する選手へと突き抜けていってほしいと、心から願っています。さて、このツアー・オブ・ジャパンですが、過去にはオーストラリアの選手たちがこの大会で好成績を収め、それを足がかりにステップアップを果たし、最終的には世界の頂点であるツール・ド・フランスでも活躍するようになりました。まさに、若手選手にとっての登竜門といえる大会です。橋川選手をはじめ、ここから多くの若手選手たちが世界へと羽ばたいていってくれることを願っています」と、その将来性に期待を込めた。

熱戦はいよいよ最終日、東京ステージへ

個人総合時間賞と山岳賞の大勢は決したが、ポイント賞の行方は最終日まで持ち越しとなった。この日を終えてブルージャージに袖を通したのは、AMANO相模原ステージを制したプラデス。中間でポイントを加算した岡だがフィニッシュスプリントに絡めず、プラデスから3ポイント差の3位で最終日に臨む。プラデスはジャージキープは難しいと明日を予想するが、2ポイントビハインドの4位につけるスチュワートの存在が岡にとっては脅威になるかも知れない。ツアー・オブ・ジャパン2025も残すは最終日の東京ステージのみ。誰が最終日を制するのか、そしてポイント賞ジャージの争いに注目が集まる。

第7ステージ リザルト

1位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン) 2h24m29s
2位 今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ)+01s
3位 ヨン・クノレ(レンベ・ラド・ネット、ドイツ)
4位 キャメロン・スコット(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア) +06s
5位 レナルト・フェーゲ(レンベ・ラド・ネット、ドイツ)
6位 マーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イギリス)
7位 ジョルジェ・ジュリッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、セルビア)
8位 ディラン・ホプキンス(ルージャイ・インシュアランス、オーストラリア)
9位 アラステア・クリスティージョンストン(シーキャッシュ・ボディラップ、オーストラリア)
10位 ニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京、イタリア) 

個人総合成績(第7ステージ)

1位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCLチーム右京、イタリア) 16h32m17s
2位 シモーネ・ラッカーニ(JCLチーム右京、イタリア) +21s
3位 ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア) +1m09s
4位 マーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イギリス) +1m22s
5位 マティアス・ブレンホイ(トレンガヌサイクリングチーム、デンマーク) +1m54s
6位 レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島、ベネズエラ) +2m07s
7位 ヨハネス・アダミエツ(レンベ・ラド・ネット、ドイツ) +2m46s
8位 アドネ・ファンエンヘレン(トレンガヌサイクリングチーム、オランダ) +2m51s
9位 マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ、ベルギー) +3m04s
10位 金子宗平(日本ナショナルチーム) +3m25s

ポイント賞(ブルージャージ)

ベンジャミ・プラデス(VC福岡)

山岳賞(レッドジャージ)

ニコロ・ガリッボ(JCLチーム右京)

新人賞(ホワイトジャージ)

マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ)

RTA賞

橋川丈(愛三工業レーシングチーム)

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せいちゃん

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稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

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