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ポガチャルがツール前哨戦ドーフィネで圧勝、ヴィンゲゴーは本番で巻き返し狙う|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス前の重要な一戦、クリテリウム・デュ・ドーフィネが6月15日に全日程を終了。8ステージで争われた大会には、昨年のツール上位3選手が集結。直接対決が大きな見ものだったが、ふたを開けてみると王者タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)の圧勝に。順調な仕上がりをアピールした。2年前のツール覇者ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)、パリ五輪2冠のレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)らは追う立場として本番での巻き返しを図る。

ポガチャルが山岳でライバルを圧倒

6月8日に開幕し、フランス南部を駆けてきたドーフィネ。個人総合争いが本格化したのは第4ステージ。17.4kmの個人タイムトライアルで、レムコが快走。コース中盤の登坂区間も難なくクリアすると、この日ただひとり平均時速50kmオーバーとなる20分50秒で走破。この種目の世界王者が強さを発揮して、ステージ終了時点で首位の証であるマイヨ・ジョーヌに袖を通した。

レムコに続いたのがヴィンゲゴー。両者に20秒差がついたものの、それでもステージ2位とまとめて総合力の高さを示す。一方で、ポガチャルがタイムを伸ばせず。レース後に「ペース配分に失敗した」という走りは、レムコから48秒差となるステージ4位。首位レムコから総合タイム差でヴィンゲゴーが16秒、ポガチャルが38秒として、大会後半戦へと向かうことになった。

© A.S.O./Tony Esnault

しかし、ただでは起きないのがポガチャルである。1日はさんで迎えた第6ステージ。ここから3日間は連続で本格山岳となるが、その初日に動いてみせた。

126.7kmに5つのカテゴリー山岳が詰め込まれたコースは、最後に2.4km(平均勾配8.6%)と2.7km(同8.2%)の2級山岳を連続して上る。最後の上り勝負に向けて、ヴィンゲゴー擁するヴィスマ勢がペースメイクし、続いてUAE勢も主導権争いに加わる。すると、本格的な勝負区間を前にレムコが遅れる。前日にフィニッシュまで落車に巻き込まれており、その影響もあるものと見られた。

そして、フィニッシュまで7km以上を残したところでポガチャルがアタック。ヴィンゲゴーがすかさず反応したものの、ポガチャルのペースに対応しきれず付き切れ。逃げ残りの選手もパスしたポガチャルはそのままフィニッシュまで突き進み、第1ステージに続く今大会2勝目。2位で終えたヴィンゲゴーに1分1秒差をつけ、個人総合でもトップに立った。

© A.S.O./Tony Esnault

これで完全に勢いを取り戻したポガチャルは、3つの超級山岳を上った第7ステージも席巻。獲得標高5000mに迫ろうかというコースでは、ヴィスマ勢が主導権を握り、ポガチャルはアシストを失いながらも冷静に対処。ヴィスマはマッテオ・ジョーゲンソンやセップ・クス(ともにアメリカ)が断続的に仕掛けたが、UAEはアシストで唯一残ったパヴェル・シヴァコフ(フランス)が懸命にチェック。そして、最終登坂ヴァルマニエ1800を上っていた残り12km、クスのアタックを引き戻したところでポガチャルがカウンターで飛び出した。

この日もやはりヴィンゲゴーは付き切れず。独走に持ち込んだポガチャルが最後までトップを守って、2日連続のステージ優勝。ヴィンゲゴーも粘って14秒差にとどめたが、両者の総合タイム差が1分以上に広がった。

© A.S.O./Tony Esnault

ヴィスマは総力戦でヴィンゲゴー押し上げへ

ポガチャルは最終・第8ステージ(133.3km)も盤石。逃げにヴィスマがクスを送り込んだほか、マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)ら強力メンバーが入ったが、ポガチャルの戦況には直接は影響せず。最後の上りとなった1級山岳でレムコがアタックすると、ポガチャルとヴィンゲゴーがチェック。さらにヴィンゲゴーも踏み込んだが、ここもポガチャルはしっかりと反応した。

この日はレニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)の逃げ切りとなり、34秒後にヴィンゲゴーとポガチャルがフィニッシュへ。ポガチャルがタイムを失うことなく走り切って、個人総合優勝を決めた。

© A.S.O./Tony Esnault

ポガチャルは意外にも、これがドーフィネ初優勝。ステージ3勝を挙げてポイント賞にも輝いている。前哨戦ドーフィネとツール本番を連続して勝っているのは、歴史上11人しか存在していないが、ポガチャルは果たして。今大会を終えて「もちろんツールが最大目標。ドーフィネでの勝利でさらにモチベーションが高まっている」とコメント。「タイムトライアルの改善は必要だが、全体的に見れば準備をそこまで急ぐ必要はないと思う」と自信も見せている。

© A.S.O./Tony Esnault

かたや、追う立場のヴィンゲゴーも「走り自体は悪くなかった」と述べつつも、ここからポガチャルとの差を埋める作業が必要になる。「ツール開幕までの3週間で少しでも前進できればうれしい。タデイには弱点が見つからない。あとは僕の準備次第だと思う」と、開幕に向けて集中していく姿勢。ヴィスマはドーフィネを走ったジョーゲンソンやクスに加えて、先のジロ・デ・イタリアを制したサイモン・イェーツ(イギリス)も合流の予定。チーム力だけで見ればナンバーワンになることが見込まれ、総力戦で打倒ポガチャルに臨む。

© A.S.O./Tony Esnault

なお、最終成績はポガチャル、ヴィンゲゴーに続き、個人総合3位にクリスティアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)が入賞。今年のパリ~ニース個人総合2位の24歳がドーフィネでも力を発揮。ツール本番でもダークホース的存在となりそうだ。

© A.S.O./Tony Esnault

クリテリウム・デュ・ドーフィネ 最終成績

個人総合成績

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)29:19:46
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+0’59”
3 クリスティアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+2’38”
4 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+4’21”
5 トビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)+6’12”
6 マッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+7’28”
7 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+7’57”
8 ポール・セイサス(デカトロン・AG2Rラモンディアール、フランス)+8’25”
9 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+8’57”
10 ギヨーム・マルタン(グルパマ・エフデジ、フランス)+10’01”

ポイント賞

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)

山岳賞

ブルーノ・アルミライル(デカトロン・AG2Rラモンディアール、フランス)

ヤングライダー賞

クリスティアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)

チーム総合成績

チーム ヴィスマ・リースアバイク

各ステージ優勝者

第1ステージ タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)
第2ステージ ジョナタン・ミラン(リドル・トレック、イタリア)
第3ステージ イヴァン・ロメオ(モビスター チーム、スペイン)
第4ステージ レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)
第5ステージ ジェイク・スチュワート(イスラエル・プレミアテック、イギリス)
第6ステージ タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)
第7ステージ タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)
第8ステージ レニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス、フランス)

ツール2025は7月5日開幕

ツール・ド・フランス2025年大会は、7月5日にフランス北部の街・リールで開幕。全21ステージ・総距離3338.8kmで、今回は他国へ足を延ばさない「100%フランス」の大会に。ドーフィネで活躍した選手たちのほか、同じツール前哨戦のツール・ド・スイスを走っている選手たちも乗り込んでくる。「世界最大の自転車レース」の呼び名にふさわしい戦いが見られるはずだ。

※ツール・ド・フランス関連の情報は、トピックがあり次第随時お届けします。

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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