
金子宗平が最終周の三段坂でアタック、独走勝利でJプロツアー2連勝|広島三原ロードレース

せいちゃん
- 2025年07月06日
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2025年7月5日、広島県中央森林公園サイクリングコースで開催された「JBCF 2025 山陽建設広島三原ロードレース」のメインレースJプロツアーで、昨年の年間王者・金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)が勝利を収めた。最終周の三段坂で鮮やかなアタックを見せ、得意の独走に持ち込んでフィニッシュラインを駆け抜けた金子は、先月の石川ロードレースに続くJプロツアー2連勝を達成した。
酷暑の中、距離短縮で開催
会場となった広島県三原市本郷にある広島県立中央森林公園は、1周12.3kmのサイクリングコースで知られる。広島空港をぐるっと囲むコースはアップダウンの繰り返しが特徴で、コース後半の三段坂と展望所への登りが勝負どころとなる。1994年のアジア大会が行われたほか、全日本選手権の会場にも10回以上選ばれている由緒ある会場だ。JBCFのレースとしては2022年の西日本ロードクラシック以来3年ぶりの開催となった。
当日は酷暑のため、当初予定されていた13周回から10周回に変更され、123kmでのレースとなった。12時にスタートしたJプロツアーには、国内トップクラスの選手たちが集結した。
序盤から動いたホームチーム

レースは1周目からホームチームのヴィクトワール広島勢が積極的に動いた。孫崎大樹(ヴィクトワール広島)、沢田時(宇都宮ブリッツェン)、そしてオープン参加の今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ)の3名が先頭に立って1周目を完了。しかし最大でも40秒程度にしかタイム差は広がらず、3周目の三段坂で吸収された。3周目完了時の周回賞は集団での争いとなり、久保田悠介(ヴィクトワール広島)が獲得した。



4周目の展望所の登りで風間翔眞(シマノレーシング)、永井健太(ヴィクトワール広島)、武山晃輔(宇都宮ブリッツェン)、宇賀隆貴(キナンレーシングチーム)という4名の逃げが形成された。5周目完了時の周回賞、他の選手は争うことなくホームチームの永井が先頭で通過。メイン集団では逃げに選手を送り込めていないマトリックスパワータグなどが先頭を牽引する場面もあったが、逃げに選手を送り込んでいるチームが巧みにペースをコントロール。決定的な追走体制が組めないまま、膠着状態が続いた。






中盤の展開と精鋭集団の形成
7周目完了時の周回賞も争うことなく武山が先頭で通過。先頭と集団とのタイム差は最大で1分50秒程度にまで広がったものの、8周目にメイン集団から飛び出した4名が先頭に追いつくと、9周目には後続も追いつき15名程度の精鋭集団となった。






ここから最終決戦が始まる。9周目の三段坂の手前で集団から新城雄大(キナンレーシングチーム)が飛び出した。そして三段坂では後方集団から金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)が精鋭集団にジャンプし合流。レース中盤、厳しい表情を見せていた金子だったが、ここから勝負への準備を整えていた。

金子の鮮やかなアタックで勝負あり
新城が単独先頭で最終周に入ったが、コースの前半区間で集団が吸収。その後はベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア)や山本元喜(キナンレーシングチーム)などもアタックを仕掛けるも、なかなか決まらない展開が続いた。

三段坂の入り口で集団が割れて6名程度に絞り込まれると、三段坂の1段目でそこから勢いよく飛び出したのは金子だった。岡篤志(宇都宮ブリッツェン)がこの動きに反応するものの、金子は岡を寄せ付けず得意の独走に持ち込むとそのままフィニッシュラインへ。昨年の年間王者らしい圧巻の走りで優勝し、石川ロードレースに続くJプロツアー2連勝を飾り、リーダージャージも獲得した。

2位にはダイボールとのスプリントを制した岡が入り、3位はホームチームのダイボールとなった。
E1では大前翔が独走勝利

朝8時5分にスタートしたJエリートツアーE1は8周の98.4km、63名の選手が出走した。2周目に本多晴飛と向川尚樹(VC福岡)、布田直也(MiNERVA-asahi)、大前翔(Roppongi Express)という4名の逃げが形成された。

レースが進むにつれて逃げの状況は変化し、7周目に入るホームストレートで大前がするすると飛び出し独走に。大前はそのまま独走で優勝を果たし、石川ロードレースに続く2連勝、E1では今季3勝目となりリーダージャージも奪還した。2位には本多、3位には追走した横塚浩平(VC福岡)が4入った。4位以降も入賞の6位まで全員がJプロツアー経験者というハイレベルなレースとなった。


E2/E3は集団スプリントで齊田海風が優勝


E1スタートから3分後の8時8分にスタートしたE2/E3は4周の49.2km、93名の選手が出走した。距離が短いこともあり決定的な逃げは決まらず、レースは大きな集団で進行。最後は30名程度の集団スプリント勝負となった。

僅差のスプリント勝負を制したのは20歳の齊田海風(バルバレーシングクラブカナザワ)。2位に杉浦孝介(Leap Hamamatsu Cycling Team)、3位に上山達也(VC VELOCE)が入った。

リザルト
Jプロツアー(10周、123km)
1位 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム) 2時間59分0秒
2位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +13秒
3位 ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島) +14秒
4位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +31秒
5位 高梨万里王(レバンテフジ静岡) +33秒
6位 内田宇海(弱虫ペダルサイクリングチーム) +34秒
7位 宇賀隆貴(キナンレーシングチーム) +37秒
8位 佐藤光(チームサイクラーズ・SNEL) +37秒
9位 山本元喜(キナンレーシングチーム) +53秒
10位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +1分1秒





JエリートツアーE1(8周、98.4km)
1位 大前翔(Roppongi Express) 2時間29分20秒
2位 本多晴飛(VC福岡) +34秒
3位 横塚浩平(VC福岡) +45秒
4位 阿部源(VC福岡) +1分0秒
5位 松木健治(VC VELOCE) +1分1秒
6位 奥田和人(VC福岡) +1分7秒
7位 中尾涼介(松山学院高等学校) +1分8秒
8位 布田直也(MiNERVA-asahi) +1分46秒
9位 木村純気(VC福岡) +1分59秒
10位 小林毅瑠(MiNERVA-asahi) +2分3秒

JエリートツアーE2/E3(4周、49.2km)
1位 齊田海風(バルバレーシングクラブカナザワ) 1時間17分42秒
2位 杉浦孝介(Leap Hamamatsu Cycling Team)
3位 上山達也(VC VELOCE)
4位 古本一樹(LT United Cycling Team)
5位 高山恭彰(MaxSpeed97) +2秒
6位 ネイサン・ハンター(フィッツ、イギリス) +3秒
7位 武井龍世(サイファアスリートクラブ岡山) +4秒
8位 北野駿(LINKVISION GIRASOLE CYCLING)
9位 山下哲平(VELONUTS RACING TEAM)
10位 小野誠也(Team hsj)
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている