クロモリロードバイク完全ガイド!フレーム素材や特徴からオーダーメイドまで徹底解説

トモヒロ
- 2019年07月13日
知っておきたいクロモリパイプブランド
TANGE(タンゲ)
パイプやラグ、フォークなども手がけるタンゲは、1920年に大阪・堺で創業したという長い歴史をもつ。現在は生産拠点を台湾に移したものの、積極的なラインナップを展開し続けている老舗ブランドだ。代表的モデルのプレステージをはじめ、チャンピオンシリーズのNo.1やNo.2といった定番モデルも人気。2014年からはエンマバイシクルワークスが代理店となり、日本国内での安定供給を開始。プロビルダーだけでなく一般人も購入できるブランドとして知られる。
KAISEI(カイセイ)
タンゲと双璧をなす日本ブランドにして、いまも福島県で生産しているパイプメーカー。もとは1944年に創業したフレーム素材の総合メーカー、石渡(いしわた)製作所。かつてあった海野(うんの)に次いで2番めにシームレスパイプの生産に成功した。90年代に倒産したが、当時の企画部長が事業と設備を引き継ぎ、福島県に移ってカイセイを興したという経緯をもつ。019や022といった石渡時代から続くモデルを基本として、ニッケルクロムモリブデン鋼の軽量パイプ8630なども展開。
REYNOLDS(レイノルズ)
稀代の名作531や、近年はステンレスパイプなども注目されているイギリスの老舗、レイノルズ。バーミンガムに本拠を置くパイプメーカーで、1890年に世界初のバテッドパイプを量産し、その7年後に特許を取得したことでも知られる。スチールパイプのなかでももっとも有名なパイプ531は、1930年代に開発されたマンガンモリブデン鋼。その他のラインナップも豊富で、クルマなど自転車業界以外の分野にも幅広く展開されており、名実ともに信頼されたクオリティをもつ。
COLUMBUS(コロンブス)
ハトのマークでおなじみのコロンブスは、1919年にイタリアで創業したパイプメーカー。1931年にシームレスパイプの生産に成功し、その後バイクやクルマ、航空機の世界でも大きく活躍。モトグッチや初期フェラーリのフレームにもコロンブスのパイプが使われた。自転車部門として独立したのは1977年。エアーやSLXといった名パイプを世に放つだけでなく、アルミパイプでも世界を席巻した。最近はステンレスパイプやカーボンパイプ、フォークなども展開している。
パイプブランドの記事はコチラからも。
歴史で見るクロモリバイクの変遷
いまでこそ「細くて美しい」と言われるクロモリバイクだが、その歴史をひも解くと、時代や国によってさまざまなスタイルが隆盛を誇っていたことがわかる。
1940年代~イギリス・ライトウェイト黄金期~
日本ではイタリアやフランスのバイクが有名だが、じつはそれ以前に盛り上がりを見せていたのがイギリス。戦前から続く最先端の自転車製造技術はすばらしく、レース場まで走ってからドロヨケとバッグを外し、レースをするという独特の英国スタイル「ライトウェイト」を極めた。戦後のガソリン難による自動車規制がハンドメイドバイクの市場を大きくさせた要因でもあった。
1950年代~フランス・ツーリング黄金期~
戦後から1960年代に最盛期を迎えたフランス。当時開催されたコンクールマシンでは、ハンドメイド工房が軽さと工作技能を競い合った。なかでもルネ・エルスはハンドメイド界の帝王として世界中に多大な影響を与え、ツーリング車の体系を確立。いまや伝説的ブランドとして知られるが、モータリゼーションの波による自転車産業の衰退とともに消えていった。
1960年代~イタリア・レース黄金期~
現在のロードレーサーの礎を築いたのがイタリアで、1960年代以降から1980年代半ばまで、ロードレース界でもスチールバイク全盛の時代に。多くのブランドが名を馳せたが、チネリやカンパニョーロの存在は大きかった。1964年に開催された東京オリンピックにおいて、日本自転車界に強烈なインパクトを与えたのもこのイタリアンレーサーたちだった。
東京オリンピック1964で活躍した「片倉シルク号」の記事はコチラから。
1970年代~日本・ハンドメイド黄金期~
東京オリンピックでの衝撃を受け、それらに負けないレーサーを作ろうと動き始めた。ケルビム、三連勝、ナガサワなど、数々の名門が生まれたのもこの時期で、その技術は今日の競輪に受け継がれている。いっぽう、1975年の米国サイクリングブームによって日本の自転車産業(マスプロメーカーやパーツメーカー)は大成長を遂げるが、1985年のプラザ合意による為替ショックで凋落する。
1990年代~スチールバイク衰退期~
1986年のツール・ド・フランスでグレッグ・レモンがカーボンバイクに乗って優勝を果たし、スチールは終焉の時代へと突入。その後入れ替わるようにアルミバイクが台頭し、2000年ごろからはカーボンバイクが勝利を量産していく。また、自転車産業の拠点は中国や台湾に変わっていき、製法も大きく変化していく。
2000年代~クロモリブーム再来期~
一時社会現象にもなったメッセンジャー(ピスト)ブームをきっかけに、アメリカのスチールバイクブームが日本にも流れてくる。この時期にスタートしたNAHBS(北米ハンドメイドショー)も注目を集め、消えかけていたハンドメイドバイク文化に再び火が付いた。日本では若手ビルダーが増え始め、新しいスチールバイクの在り方が模索され始めている。
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