サイクリングダイエットで痩せる!?脂肪燃焼のメカニズムと知っておきたい基礎知識
Bicycle Club編集部
- 2019年09月05日
ロードバイクを活用してダイエットすることはできるが、効率よく痩せるためにはメカニズムを理解することが重要だ。消費カロリーや活動代謝を上げることで、いつもより体脂肪を多く燃焼できる。ここでは脂肪燃焼のメカニズムのほか、効果的なトレーニングを紹介する。
INDEX
太った体の原因は「栄養不足」にある?
食事量を減らしても、じつはやせない
消費カロリーが摂取カロリーを上まわればやせられる。ただし、摂取カロリーを制限すればいいと短絡的に考えるのは厳禁。
身体が必要とする必要最低限のカロリーを摂取しなくては、栄養不足に陥るからだ。栄養不足になると、生体は生命を維持するうえで重要な組織への栄養供給を最優先にするため、筋肉や髪、骨への栄養供給は後回しにされる。筋組織を分解して、不足分をまかなうときすらある。
正しくやせるには消費カロリーを増やすのが正解
そのまま運動をすれば、傷んだ筋組織の修復ができず、筋肉量は激減してしまう。筋肉は基礎代謝量中20%を占める組織のため、筋肉量減少は基礎代謝量の低下に直結してしまう。
また、脳は栄養不足を察知すると体を省エネモードに切り替えて、エネルギーを節約して体脂肪として貯蔵しようとする。身体が省エネモードになると、体脂肪を減らすのに膨大な時間がかかってしまうのだ。
きちんと食べて走ることこそが、やせるための大原則ということは覚えておいてほしい。
「活動代謝」を上げれば消費カロリーは増える
代謝とは、外部から取り入れたエネルギーを消費すること。基礎代謝、活動代謝、DIT(食事誘導性体熱産生)の3つのタイプがある。
基礎代謝とは
基礎代謝は呼吸や内臓を動かしたりと、生体活動において消費されるエネルギー。
活動代謝とは
活動代謝は、運動などの動きを伴った生活をするときに消費されるエネルギー。
DIT(食事誘導性体熱産生)とは
DITは食べた物を消化するときに使われるエネルギー。
筋肉量などによって差は生じるものの、基礎代謝70%とDIT10%という代謝割合はある程度固定されてしまっているのですぐには増やせない。つまり、摂取カロリーを余剰分を出すことなく使い切るには、活動代謝割合が最低でも20%を占める必要がある。運動不足などで20%以下になってしまった場合はカロリー過多となり、太ることになる。活動代謝を20%以上に上げていこう!
脂肪を燃やす運動がキモ!
基礎代謝量を増やすことで筋肉量を増大させることは可能だが、筋肉1㎏あたり5kcal/日が増える程度なので、基礎代謝量を飛躍的に増大させることは難しい。
一方の活動代謝量の場合は、運動量を増やすことで簡単に増加させることができる。体脂肪をためず、燃やせる身体を作るうえでは、この活動代謝量を上げていくのが最も効果的だ。きちんと食べて、しっかり走ろう。
摂取カロリーのバランスも意識したい
三大栄養素と呼ばれる「炭水化物(糖質)」「脂質」「タンパク質」は、生命維持に不可欠。糖質は身体を動かす燃料に、脂質は細胞膜を強くするとともに燃料としても使われ、タンパク質は身体のあらゆる組織の材料となる。
三大栄養素は代謝を正常に保つうえでも重要な役割を果たす。三大栄養素のバランスが崩れると身体は飢餓モード=省エネモードになり、やせにくくなる。
PFCバランスとは
食事全体のエネルギー量を100としたとき、三大栄養素がそれぞれどのくらいの割合で占めるべきかの指標がPFCバランス。タンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の頭文字をとった言葉で、摂取の目安(PFCバランス)は炭水化物:脂質:タンパク質=60%:25%:15%とされている。PFCバランスを維持すれば、身体が栄養不足を感じることはないと考えられている。
ミトコンドリアの増量&活性化がカギ
筋肉は基礎代謝量を高める働きがあるものの、筋肉のエネルギー消費量は、筋肉1㎏あたり25kcal/日と、思ったほど多くはない。つまり、筋肉量の増量に伴う基礎代謝量の増加が、やせる身体作りに大きく貢献するとは言い難い。
やせるために筋肉は必要か?
その答えはミトコンドリアにある。筋肉内には、ミトコンドリアが多く存在するからだ。ミトコンドリアとは細胞の中にある小器官で、食事から得た炭水化物(糖質)や脂質、タンパク質などの三大栄養素を利用してATP(アデノシン三リン酸)という、エネルギーとして使われる物質を産生する発電所、エネルギー産生工場のような器官だ。そのため筋肉量が増えればミトコンドリアの量も増え、運動をしたときのエネルギー消費量も増えることになる。これがやせるために筋肉が必要な理由ということだ。
さらにミトコンドリアが活性化されることで、エネルギー消費効率は高まる。つまりミトコンドリアを活性化させれば、どんどん体脂肪を燃やすことができる身体だけではなく、スタミナのある身体も手に入れられることになる。
体脂肪燃焼プラント「ミトコンドリア」
三大栄養素である糖、脂質、タンパク質は、それぞれ糖はグルコース、脂質は遊離脂肪酸、タンパク質はアミノ酸に分解された後、細胞内のエネルギー産生工場であるミトコンドリアに取り込まれて酸素と結合する。その結果、ATPというエネルギーの源が産生される。このミトコンドリアを活性化させるのに最も効果的なのが、ロードバイクを使った有酸素運動だ。
インターバルトレーニングがおすすめ
ミトコンドリアを活性化させるのに有効なのが、高強度と低強度の運動を繰り返すインター足と感じたときに活性化して、エネルギーを作り出そうとするからだ。3食をきちんと食べて間食を控え、腹がグーッと鳴るような状態を1日1回作るようにするだけでもミトコンドリアを活性化される。
また、ミトコンドリアは背筋や大腿筋、でん筋など、ライディングの際に使われる筋肉に多く含まれているため、自転車はミトコンドリア増量と活性化には効果的だ。ミトコンドリアは弱い負荷を長時間かけ続けることで発達する、遅筋に多く存在することもわかっているため、スピードを上げすぎない、強度の低い運動強度で行うロングライディングもミトコンドリアの活性化を促し、増量させる効果が大きいといえる。
ちなみに不規則な生活、喫煙、過度の飲酒といった悪い生活習慣によって、活性が失われた質の悪いミトコンドリアが増加することがわかっている。
背筋&大腿筋がポイント
ミトコンドリアは筋肉、とくに背筋や大腿筋などの大きな筋肉に多く含まれていることがわかっている。ロードバイクでのライディングは、ミトコンドリアの活性化には最適。また、日常的生活で背すじを伸ばして正しい姿勢で過ごすだけでも、ミトコンドリアを活性化させられる。こまめにスクワットをしたり、片脚立ちをしたりするのも効果的だ。
有酸素運動で体脂肪をバンバン燃やそう
酸素が必要だから、ゆったりペースで
ミトコンドリアがエネルギーを作り出すうえで、欠かせないのが酸素。三大栄養素を酸化(燃焼)させることでATPは産出されるからだ。ただし、糖は燃焼時にそれほど多くの酸素を必要としないが、脂肪は多くの酸素を必要とする。そのため、体内の酸素が不足すると、ミトコンドリアは脂質ではなく、糖を使ってしまう。つまり体脂肪を燃やすには、体内に必要十分量の酸素を取り入れる必要があるのだ。
脂肪燃焼ゾーンをキープしよう
体内に酸素をとり入れられる運動が、有酸素運動。有酸素運動域を維持する目安は、会話ができる程度のスピード。そのスピードを維持してできるだけ長く走れば、体脂肪をどんどん燃やすことができる。
一方、息があがるほどの強度の運動は無酸素運動のため、脂肪より糖の燃焼割合が高くなってしまう。腹を凹ませる、体重を減らすことを第一の目標とするなら、スピード控えめ、長時間ライドを習慣化するのが理想だ。
Myペースの心拍数を計算してみよう
運動強度が高くなり、心拍数が上がると有酸素運動域から無酸素運動域へとスイッチされ、筋肉内の酸素と二酸化炭素とのガス交換効率も落ち、筋肉も酸欠状態となる。結果、全身への酸素循環も滞って息も苦しくなってくる。さらに体脂肪の燃焼効率が低下する。心拍数を計測し、下記で算出された心拍数を維持して走れば、体脂肪燃焼効域をより確実に維持できる。
サイコンを使うと便利
スポーツウォッチやサイクルコンピューターを活用すれば、脂肪燃焼効率が高いゾーンを維持することが簡単にできる。
監修
伊藤重範先生
心臓病や生活習慣病の運動療法、心臓病や生活習慣病を抱えた人たちのスポーツの取り組み方などの研究に取り組む、循環器内科専門医。ランニングをはじめとしたスポーツの愛好家でもある
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