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松浦まみのエタップ紀行「旅するエタップ、ツール・ド・フランス」最終回

最後はやっぱりツールフィナーレの地、パリ・シャンゼリゼへ

パリの前にシャンパーニュ地方を訪れる

ツール観戦の最後はパリへ。

と、その前にシャンパーニュ地方へ足を伸ばします。シャンパーニュはジュリアン・アラフィリップが独走逃げ切りで優勝した第3ステージの舞台。
葡萄畑の丘陵地帯をプロトンが駆け抜ける美しい映像を記憶されている方も多いでしょう。

 

第3ステージの舞台となったシャンパーニュの丘陵

スポーツ競技の勝利を祝う場面に欠かせないシャンパーニュはフランスが誇る食文化の象徴であり、一方ツールは伝統的なフランスの国民的行事。

フランスの二大カルチャーが一つになったまたとないあのステージを、あの丘をどうしても走ってみたかったのです。

「シャンパーニュは勝利の時に飲む価値があり、敗北の時には飲む必要がある」とはナポレオンの言葉ですが、自分への敗北感で一杯だった私にはどうしてもこの地を訪れる必要がありました(←単に飲みたいだけ)。

コース上にある美しいホテル

そしてパリ、シャンゼリゼ

凱旋門を周回する選手達

いよいよエタップの旅の締めくくり、シャンゼリゼのフィナーレ。

選手達がやってくるのは夕方なのに、当日パリは朝から規制が始まり、昼前には完全封鎖。

自転車レースのために首都を封鎖って、ツール・ド・フランスはもはや自転車レースという枠を超え、「国民の祝祭」という位置付けなのでしょう。午前中から沿道はすでに人で埋め尽くされています。

レースはあっという間でも、この祝祭は一日中続きます。

お気に入りの選手を応援しに各国から集まった色とりどりの観戦客たち。

黄色い旗を大きく翻しているコロンビアの人々の姿が目立ちました。コロンビア人選手・エガン・ベルナルの優勝がほぼ決まり、祖国の若き英雄の誕生に皆さんそれは幸せそうな表情。

歓喜に沸くコロンビアの人々

私たちが観戦したのは、パリで最も夜景が美しいコンコルド広場に設営されたVIPエリア。

巨大なオベリスクを背に、シャンゼリゼ通りを挟んで凱旋門まで見渡せる特等席です。

広々としたスペースにテラス席、スタンド席、展望台、ビュッフェラウンジ、ゲームコーナーなどが設けられ、17時から21時までの4時間を楽しく気ままに過ごすことができます。

完全封鎖されたコンコルド広場とシャンゼリゼ大通り
正面に凱旋門を望むVIPスタンド席の最前列に陣取る私
国内チーム・那須ブラーゼンの若杉厚仁代表も一緒に観戦!
VIPエリアのテラス席。ワインや食事を片手に寛ぐ人々

嵐の前の静けさに包まれたコンコルド広場と、夕日に輝くシャンゼリゼ大通りの石畳。

大型ビジョンには刻々と近づきつつあるプロトンの姿が映し出され、ルーブル宮を通り抜ける頃には興奮は最高潮に達し、先頭集団の選手達がリヴォリ通りからコンコルド広場に飛び込んでくるや、大歓声はピークに達します。

夕日に輝くシャンゼリゼ大通りを駆け抜ける選手たち

なんたる熱狂。

折しも夕日が逆光で選手達のシルエットを浮かび上がらせ、その様は神々しく幻想的で映画のワンシーンのよう。

一周7km×8周回のレースを観衆は一周ごとに熱狂で迎え、全ての選手を讃えて声援を送り続け、21日間の壮絶な闘いの証人たらんとその行方を見届けます。

コンコルド広場を疾走するプロトン

総合優勝はマイヨ・ジョーヌ史上最年少の22歳、コロンビア人選手による初のツール制覇。

花の首都パリに祖国の旗が翻る光景を、コロンビアの人々がどんなに誇らしく感じていることか。

自転車レースが貧困と絶望から子供たちを救い出す希望の象徴となり、長く内戦の続いた遠い彼の国のことを想像すると、その笑顔にすら胸が締めつけられる思いがします。

パリには伝統的に外国人を寛容に受け入れる、深い懐があります。ヘミングウェイ、アポリネール、マックス・エルンスト、ブランクーシ、ブニュエル、ディアギレフ、シャガール、ピカソ、フジタ…まだ無名の若者に過ぎなかった彼ら異邦人達を受け入れ、庇護し、リスペクトしました。

ヨーロッパ全土で外国人排斥の風潮が広がる中、スポーツはそんな風潮を払拭してくれます。

国籍、出自などはどうでもいいこと。

ツールの覇者も、然り。

コロンビアの若き王者はフランスでもヒーローとなり、翌日の新聞の一面を覆い尽くしたのでした。

優勝後、家族に祝福のキスを贈るエガン・ベルナル選手

なごり惜しいフランスとの別れ

これでようやくエタップの旅は終わりです。おつきあいくださってありがとうございました。

アルプスから始まって南仏のニーム、ポン・デュ・ガール、仏北部のシャンパーニュ、そしてパリとフランスを駆け抜けた旅。エタップを走ることも、ツールを追ってフランスを駆け巡ることも、共にツール・ド・フランスという伝説に参加し、その一部と化すことに他なりません。

なぜツール・ド・フランスが単なる自転車レースではなく、唯一無二の文化たりうるのか、自ら体験することでそれを感じられると思います。

この素晴らしい体験を、皆さんもぜひいつか。

それではまた。

 

松浦まみ

宮澤崇史マネージャー&TEAM BRAVO協働仕事人

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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