ロードバイクのディスクブレーキ時代へ!サイクリストが知っておくべき基礎知識

トモヒロ
- 2019年09月25日
ディスクブレーキとリムブレーキの比較検証
同グレードの2台で制動力と乗り味を比べてみた
ディスクブレーキとリムブレーキの違いは、どれほど体感できるのか? ローター径を変えると何が変わるのか? 同じグレードのロードバイク2台をインプレし、プロライダー目線と一般ライダー目線の双方から、ディスクブレーキの性能を考えてみる。
インプレッションライダー
管洋介(左)
競技歴25年というベテランライダーで、数々のインプレを担当。2018年からアヴェントゥーラサイクリングを立ち上げ、ライディングスクールなども手がける。プロライダー目線でインプレした。
トモヒロ(右)
メッセンジャーとして都内を駆けまわり、ホームセンターで多いときには1日100台も自転車を販売し、いまでは趣味でフレームビルドもこなすイジり派編集部員。今回は一般ライダー目線でインプレした。
メリダ・スクルトゥーラ 4000
19万9000円(2018年モデル/税抜)
■フレーム:スクルトゥーラCF2 ■フォーク:スクルトゥーラカーボンプロ ■ディレイラー:シマノ・105 ■ブレーキ:シマノ・RS561 ■タイヤ:マキシス・ドロミテ25C ■重量:8.17kg(ペダルなし/編集部実測)
メリダ・スクルトゥーラ ディスク 4000
23万9000円(2018年モデル/税抜)
■フレーム:スクルトゥーラCF2ディスク12 ■フォーク:スクルトゥーラカーボンCF2ディスク12 ■ディレイラー:シマノ・105 ■ブレーキ:シマノ・RS505 ■タイヤ:マキシス・ドロミテ25C ■重量:8.38kg(ペダルなし/編集部実測)
どのポジションでもしっかり止まれる
管:ブレーキシステムとハブが違うだけで、コンポもタイヤも、サイズも同じスクルトゥーラでの比較インプレ。どうなるでしょう?
トモヒロ:僕はレースはしないし、リムブレーキのほうが使い慣れています。でも制動力の差はたしかに体感できたし、実際、制動距離にも違いが出ましたね。
時速25kmからブレーキしたときの制動距離を比較

管:プロでなくてもわかる明確な違いがありますね。急に止まってしまう恐怖感などはありましたか?
トモヒロ:予想外ですけど、まったくありませんでした。
管:制動力が発揮されるまでが滑らかで、ブレーキへの意識と指の微妙な加減がキレイにリンクするからでしょうか。それでいて走行環境を問わない確実な制動力を発揮してくれます。
トモヒロ:スピード調整がしやすく、当て効きもしやすい印象でした。でも、効かせたいときは指1本でもカンタンに止まれるから、安心感が高い。
管:手が小さい女性などは、操作性に影響されてポジションが限定的になってしまうケースがあるけど、ブラケットでも下ハンでも操作しやすいのはメリット。ドロップハンドルの特性を生かした走りをより楽しめますね。
操作感に合わせたバイクコントロール
管:急制動はしないけど、あるラインを超えてから制動力が高くなりますね。
トモヒロ:むやみにフルブレーキすると、後輪がロックしそうな気はしました。たとえば濡れた路面で走ってみると……あ!ロックした!
管:もしフルブレーキするなら、スピードや体重に合わせて後ろ荷重しないと、後輪がロックして滑ってしまいますね。
トモヒロ:制動力が大きいから、リムブレーキよりもカンタンにロックしちゃうということでしょうか。
管:雨の下りでブレーキをするときは、強くブレーキングするよりも、軽い引きで微調整するほうがいいですね。不安要素ではないですが、少し慣れが必要かもしれません。
おすすめのローター径の組み合わせ
トモヒロ:ローター径の違いによる差も気になりますね。山路さんによれば、ローター径が1インチ大きくなると制動力は約15%上がる。さきほどのテストでは前後160mmでロックしやすかったですが、リアだけ140mmに替えるとどうでしょう?
ローター径の違いによる制動距離の比較

管:おぉ!より自然なフィーリングに!相対的に前ブレーキの制動力が高くなって、リムブレーキの感覚に近づいたイメージです。フレームサイズや好みにもよると思いますが、個人的にはこの感覚のほうが好きですね。
シーンによる使い分け
トモヒロ:レースでの使用についてどう思いますか?
管:レーサーはまわりの挙動(加減速など)を予想しながら集団のなかでブレーキするので、挙動が違うと予想がつかなかったり、コントロールがしづらかったりする側面はあります。でも、ディスクブレーキロードが増えて、ライダー側も操作に慣れてくれば、こうしたイメージも変わってくるでしょう。
トモヒロ:ツーリングにもオススメできそうな気がします。
管:少ない力でブレーキできるので、ロングライドや長い下りでも手が疲れにくくなるし、雨が降っても制動力が低下しにくい。初心者や手の力が弱い女性にもおすすめですね。
重量と剛性、今後の展望は
トモヒロ:実測値での重量差は210gでした。イメージとしては、ディスクブレーキのほうがガチッとした硬い印象でした。
管:僕もです。でもこれ、重量差じゃなくてフレームとフォークの剛性によるものではないでしょうか。
トモヒロ:同じグレードでも、リムブレーキとディスクブレーキでは全然変わるんですね。
管:モデルによりけり、としか言えませんが、高負荷がかかるシステムなので必然的に高剛性になりがちだと思います。太めのタイヤにしたり、空気圧を少し落としたりして調整するのがおすすめですね。
トモヒロ:ブレーキが変わることで、バイク全体のバランスが変わる。それに合わせたパーツアッセンブルが必要ということですね。
管:高剛性が好きな人はそのままでいいかもしれませんし、だからこそレース機材としては望まれているのだとも思います。
トモヒロ:電動コンポもいまでは普及しましたし、時間がかかるとしてもディスクブレーキ化は必須でしょう。操作がしやすくなることで、ロードバイクユーザーの間口が広がるのはすばらしいことです。
管:ホイールの進化も見逃せませんね。完成したと思われたロードバイクを、変えるキッカケになってくれたらおもしろいですね。
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