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日本チャンピオン入部正太朗が使うシューズ

雨天の中おこなわれた全日本選手権ロード。最後まで残った先頭集団、新城幸也選手、そして横塚浩平選手と3人の中で勝負を決め、日本チャンピオンとなったのがシマノレーシングのエース入部正太朗選手だ。

入部選手といえばシマノレーシングで8年めのベテラン選手。若い選手を束ねながら、レースでは決して無駄な動きをせず、ときにはレースの最後尾で様子をうかがいながらも、集団内を変幻自在に動きまわり、勝負どころでは必ず前に上がっている。その冷静な判断と集団内での走りのテクニックにより結果を出してきた。

その入部選手は現在では日本チャンピオンカラーのシューズ、シマノ・RC9を使っているが、今までの使ってきたシューズ、そして今のRC9について聞いてみた。

シマノ・RC9のお薦めポイント

編集部:いままでどんなシューズをつかってきましたか?

入部:僕は所属チームがシマノレーシング一筋なんで、シマノのシューズしかはいたことないんです。いまのRC9になる前はラチェット式を使っていました

編集部:入部選手がシューズのフィットに関して求めることって、どんなことですか?

入部:僕は足幅が細いほうなんですけど、これまでシューズが合わないということがなくて、だいたいどのシューズでも大丈夫なんです。アッパーの柔らかさでいうと、昔トラックでとあるシューズをはいていましたが、これはすごく硬くて踏み切れなかったことがあったくらいです。でもシマノのシューズに関していうと、適度な柔らかさとホールド感があって、自分にはすごく合っているんだと思います。RC9ではさらにボア(Boa フィットシステム)でフィット感の微調節ができるようになり、その相乗効果が、このRC9のアドバンテージです

編集部:RC9の印象はいかがですか?

入部:以前のラチェットを使ったモデルもすごく好きだったんですけど、RC9にボアが採用されて、より微調節ができるのがよかったですね。デザイン的にもコンパクトで、好きです。

編集部:その微調節するのはどんなときですか?

入部:たとえばタイなど暑い国で200kmもの距離を走るレースだと、足がむくんでくるというか、大きくなるんです。そんなときに緩めたりします。

編集部:レースの最初は緩めにして、勝負所で締め込むなんてことはしないんですか?

入部:僕の場合は最初から締めていて、基本的には変えません。雨が降ったときとか、ちょっと窮屈に感じて緩めたりはしますが。でもほかの選手はやってますね。ヨーロッパのプロなんかでも、スプリント前にシューズを締め込む様子を見たりします。

編集部:ゴール1km手前くらいで、プロトンの選手が一斉にシューズを締め込むというシーン、ありますよね。

入部:自分はスプリンターじゃないからか、そういうことはしません。でも緩んでいないかチェックはします。ちょっと触ってみたり。それで万が一緩んでいたとしても、ボアならすぐに微調節できるという安心感があります。臨機応変に対応できるので、そういう意味でも信頼感があって、つまりストレスを感じませんね」

編集部:一応チェックするんですね(笑)。

入部:それがルーティーンっていうか、気合をいれるための儀式みたいになってるんですね。それによって気持ちも入りますし。シューズのゆるみをチェックするのは、よりホールドして靴の中に遊びがない状態の方が、ダイレクトに力が伝わるという感覚があるからです。ほかの選手も同じだと思います

編集部:入部選手はシューズをしっかり締め込んで使うタイプですか?

入部:以前はかなり締め込んでいたこともあったんですけど、足が痛くなることもあって。最近ではある程度締め込んでいれば、パフォーマンスには影響しないということがわかってきたので、そんなにきつくは締めません。でもある程度でいいというのは、それだけこのシステムに信頼を置いているということでもありますね。痛くなるほど締め込まなくても、しっかりホールドされていると感じるのは、シマノのシューズとボアのマッチングのよさだと思います。

編集部:ボアフィットシステムの感触は、それまでのラチェット式とは違うものなんですか?

入部:僕はラチェット式も好きなんですが、より微調節がきくというのが、ボアのメリットとして大きいですね。それ以上に、ラチェット式は外側に出っ張っているので、レース中に破損する可能性があるんです。でもボアだと形状がシンプルで、構造的にも壊れにくい。つまり信頼性が高いと思います。

編集部:プロが選ぶポイントは耐久性なんですね。選手はシューズをどのくらいで交換するんですか?

入部:選手は1年に2〜3足使いますね。

編集部:ということは1足でどのくらい走るんですか?

入部:人によって、時期によっても違うんですけど、プロだったら月2000〜3000km乗ってると思うんです。ということは1万2000kmから1万5000kmくらいで交換していることになりますね。でも自分は新品よりもなじんできてからのほうが好きということもあって、わりと長く履きますよ。僕らは一般の人よりずっと距離を乗りますから、耐久性はすごく大切です。どんなものでも使っていくうちに性能が落ちていくのは仕方ないんですが、そういう面でみてもこのボアは耐久性が高いと感じてます。あれだけ使っていても壊れないって、すごいなと思います」

編集部:ボアフィットシステムは不具合が生じた場合にもダイヤルなどが無料で交換できるんです。ギヤの摩耗とか、ワイヤーレースの巻き癖などによるトラブルも無償で対応してくれます。
※修理お問い合わせは【BOA フィットシステム】サイトをご参照ください。

入部:へー。でも僕くらい長く乗って使い倒しても、トラブルがない。自分の使い方で2年くらい使っても大丈夫じゃないかというくらい耐久性は高いですよ。このワイヤーも、最初見たときはちぎれるんじゃないかと思ったんですが、実際にちぎれたことはないし、そういうのを見たこともありません。そういう面でもすごいなと思います。ボアが壊れてるの、見たことありませんよ」

編集部:プロよりも一般のユーザーのほうが壊すことが多いらしいです。

入部:へー、そうなんですか。プロのほうが乗ってる距離は長いのに?

編集部:無理矢理ワイヤーを引っ張ったり無理な使い方するからみたいです。シューズ選びのポイントは微調整に加えて耐久性ということなんですね。

入部:僕らプロはシューズやウエアなど、みんな供給していただいているんで、いいものを使うのがあたりまえになってしまってるんだと思うんです。このRC9みたいな最高レベルのものが、フツーになってしまっている。悪いものを履いたことがないんです。だから足が当たって痛かったり、フィット感の調節がスムーズにできないようなシューズを履いたら、このありがたさがよくわかるんだと思います。僕がモノの良しあしに敏感じゃなくて、あまり何も感じないというのは、ずっといいものを使ってこられたからかもしれませんね。でも、気になるところが少ないってのは、つまり完成度が高くて、足の形や踏み方にかかわらず、多くの人が満足してるってことじゃないかと思います。

編集部:なるほど! ありがとうございました。

入部正太朗

奈良県出身。1989年8月1日生まれ。身長168cm 61kg。
2019年ロード日本チャンピオン。奈良県立榛生昇陽高校から、早稲田大学自転車競技部を経てシマノレーシングへ。
おもな成績。2010年トラック競技ポイントレースの日本チャンピオン、2018年UCIツール・ド・タイランドステージ優勝、UCIツール・ド・熊野で2年連続ステージ優勝など

シマノ・ エスファイアRC9(シマノ SH-RC901)

2016年に登場して以来、シマノ・サイクリングシューズのトップモデルとして君臨してきたのがこの「S-PHYRE RC9」だ。最大の特徴はソールとアッパーの一体構造にすることによりダイレクト感、そして安定性を高次元で両立している点。UCIワールドチームのトッププロ選手からのフィードバックを受け、高剛性と軽量化を両立するために先端技術を投入したハイエンドモデルだ。さらに改良された第2世代の2019年モデルでは、さらに軽く、またアッパー素材に疎水性素材マイクロファイバー合成皮革を使うことでウエットコンディションにもつよくなっている。このほかにもヒールカップとパターンによりフィット感を増すなど進化している。

SPEC
希望小売価格:42,000円(税別)
サイズ:36、37、38、39〜43(ハーフサイズ)、44、45、46、47、48
※標準サイズに加え、ワイドタイプあり
重量:243g(サイズ42)
カラー:ブルー、ホワイト、ブラック

問:シマノ バイシクルコンポーネンツ 製品サイト
https://bike.shimano.com/

問:Boaフィットシステム

https://www.boafit.com/ja-jp/cycling

 

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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