與那嶺選手も参戦した、ツアー・オブ・グアンシーレポート

1月から始まった自転車ロードレースのシーズンも、秋風が吹く頃には終りを迎えます。そんな10月中旬に、中国でシーズン最後のワールドツアーのレースとなるツアー・オブ・グアンシー (Tour of Guangxi)が開催されました。今回の記事では、この中国でのレースのレポートをお送りします。

ツアー・オブ・グアンシーって、どんなレース?

選手たちの後ろには中国のお寺。ツアー・オブ・グアンシー第4ステージにて

ツアー・オブ・グアンシーは2017年から始まった、今年で3回目の開催を迎えたワールドツアーの自転車レースです。レースの舞台となるのは、広西チワン族自治区。ベトナムとの国境を接する、中国でも最も南に位置する自治区です。

この地域は、中国の中でもトップクラスの観光地です。最高気温は冬でも22度を下回らず、南国特有の植物が生い茂り、山水画の風景そのままの山河があるこの地域。中国の、特に北京や上海といった大都市からの観光客を数多く受け入れている地域でもあります。
この地にホテルをはじめとする観光・文化事業を展開する中国の一大企業集団であるワンダ・グループ(万达集团)が中心となって国際自転車連盟(UCI)と協定を結んだ結果、このレースが開催されるようになりました。

過去の総合優勝者は2017年のティム・ウエレンス選手(ロト・スダル)と、2018年のジャンニ・モスコン選手(チーム・スカイ)。総合優勝に名を連ねるのは比較的登りに強い選手ですが、6ステージ中4ステージは平坦コースであるため、スプリンターが活躍するレースであることが特徴の一つです。
平坦コースのゴール地点はすべて、広西チワン族自治区の大都市です。桂林・北海・南寧といった、日本人にも聞き覚えのある街の目抜き通りがスプリントのゴール地点となります。

「ツアー・オブ・グアンシー」各ステージレポート

ボーラ・ハンズグロエの選手と、同チームをエスコートする男の子。ツアー・オブ・グアンシー第1ステージにて

北海市がスタート及びゴールとなった第1ステージでは、フェルナンド・ガビリア選手(UAEエミレーツ)が久しぶりにステージ優勝します。ガビリア選手曰く、「自分でも勝てたかどうかすぐにはわからなかったぐらい、きわどい勝負だった。」とのこと。

ガビリア選手のゴール直後。ツアー・オブ・グアンシー第1ステージにて

第2ステージは北海市をスタートし、欽州市がゴール地点。ラスト1.2kmは道幅の広い直線道路がスプリントの舞台となったこの日のステージを制したのは、ダニエル・マックレイ選手 (EF エデュケイション・ファースト) 。

ダニエル・マックレイ選手の表彰式。ツアー・オブ・グアンシー第2ステージにて

第3ステージは南寧市内のサーキットコース。前日までの2ステージと比較すると若干のアップダウンがあったものの、この日のステージを制したのは、当時リーダージャージを着ていた、スプリンターのパスカル・アッカーマン選手(ボーラ・ハンズグロエ)。

レース後インタビューに応えるアッカーマン選手。ツアー・オブ・グアンシー第3ステージにて

クイーン・ステージとなった第4ステージは、今年のツアー・オブ・グアンシー唯一の山岳ステージ。南寧市から弄拉景区という風光明媚な山岳地帯へと向かうこのコースの獲得標高は約1100m。ゴール前20km地点からはひたすら登り続けるこの日のコースに、ベテランサイクリストのフランシスコ・ベントソ選手(CCCチーム)も「かなりきつい登りだったよ」とレース後に話したほどでした。この山岳ステージをエンリク・マス選手(ドゥクーニンク・クイックステップ)が制し、同時にリーダージャージも獲得しました。

ステージ優勝と同時にリーダージャージも獲得したマス選手。ツアー・オブ・グアンシー第4ステージにて

第5ステージは今年のツアー・オブ・グアンシーの最長ステージ。柳州市から桂林市へと向かう212kmのコース上には3級山岳が2カ所、2級及び1級山岳がそれぞれ1カ所ずつありました。しかし、このステージを制したのは、スプリンターのガビリア選手。

ガビリア選手のシャンパンのコルク栓が開かず、アッカーマン選手がお手伝い。ツアー・オブ・グアンシー第5ステージにて

最終第6ステージは桂林市がスタート・ゴール。レース中に雨が降る生憎のコンディションにも関わらず、この日のステージは再びアッカーマン選手が制します。

最終ステージを制したアッカーマン選手。ツアー・オブ・グアンシー第6ステージにて

結局、今年のツアー・オブ・グアンシーは、第4ステージを制したマス選手が総合優勝に輝きます。一方で、スプリンターのガビリア選手とアッカーマン選手のシーズン終盤での調子のよさが際立ったレースとなりました。

並行開催の女子レースには、與那嶺恵理選手が出走

チームメイトの勝利に笑顔を見せる與那嶺恵理選手。後方でマイクを持っているのが、この日優勝したクロエ・ホスキング選手。ツアー・オブ・グワンシー・ウィメンズ・ワールドツアーにて

ツアー・オブ・グアンシーでは男子のレースの最終日に合わせて、女子のレースも開催されます。ツアー・オブ・グワンシー・ウィメンズ・ワールドツアーと名付けられたこのレースに、今年は女子のトッププロチーム17チームが参加しました。

今回このレースに、アレ・チッポリーニ所属の與那嶺恵理選手が出走しました。チームメイトのクロエ・ホスキング選手やソラヤ・パラディン選手、カーリン・スウインケル選手、そしてマルフォーレン・バントゲルフ選手とともに、この日のレースに挑みます。

途中に2カ所の山岳があるものの、最後の山岳を超えた後には平坦な道が40km以上続くこの日のコース。ゴールとなる桂林市内の道幅は大変広く、スプリンター向きのコースとなりました。そのため、アレ・チッポリーニは、ホスキング選手を中心に作戦を組み立てます。

朝10時のスタート時点では、太陽が顔を出していたものの、徐々に天候は悪化。スタートしてから2時間程経過した時点で、とうとう雨が降り始めます。幸い雨が本降りになる前に、選手たちは最後の山岳を下り終わっていたため、この時点で雨の影響はほとんど見られませんでした。

しかし、選手たちが桂林市内の入ったころ、再び雨脚が強まります。路面は濡れて滑りやすくなりました。そのような状況の中、アレ・チッポリーニをはじめとするスプリンターを擁するチームが、レースをコントロールしようと動き始めます。

しかし、ゴール前約1㎞地点で落車が発生し、メイン集団は分裂。集団の前方に位置していた選手を中心にスプリント勝負が繰り広げられました。
雨の中のスプリントを制したのは、與那嶺選手のチームメイトのホスキング選手。最後は両手を上げる余裕もあるゴールシーンとなりました。この結果に、與那嶺選手も大満足。大喜びでほかのチームメートやスタッフ達と喜びを分かち合いっていました。

ホスキング選手の勝利の瞬間。ツアー・オブ・グワンシー・ウィメンズ・ワールドツアーにて

男女のレースとも、今年で3回目の開催となったツアー・オブ・グワンシー。最も新しいワールド・ツアー・レースとしてどのように歴史を刻んでいくのか、来年以降も注目すべきレースであるといえるのではないでしょうか。

 

著者紹介
對馬由佳理
スペイン在住。当地で10年以上ファンとして自転車レースを追いかけた後、ジャーナリストへ転向。スペインで開催される男子のレースはもちろん、女子のレースやパラサイクリングも取材経験あり。
Twitter: @TsushimaYukari
Instagram:yukaritsushima1

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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