SCOTT(スコット)・アディクトRCプロ|ニューモデルインプレッション
管洋介
- 2019年11月25日
注目の最新モデルを徹底インプレッション! 今回は、前作から5年の時を経てフルモデルチェンジを果たした、SCOTT・ADDICT RC PRO(スコット・アディクトRCプロ)をベテランライダー管洋介がテスト。果たしてその乗り心地は?
高剛性カーボン採用の軽量レースバイク
「アディクトRCプロ」
ツール・ド・フランスの直前に発表され、ミッチェルトンスコットにより複数のステージ優勝を果たしたアディクトRC。軽量バイクを得意とするスコットがディスクブレーキ専用モデルとして投入した意欲作だ。ステアリングまわりのケーブル類が完全に内装され、フレームの形状もエアロロードのフォイルで培ったF- 01エアロフォイルデザインとするなど、軽量バイクながら平地の巡航性能も高められた。
フレーム素材はハイエンドのアディクトRCアルティメイトのみ超軽量のHMX-SLカーボンを採用。その他のモデルは、今回試乗したアディクトRCプロをはじめとして、全グレードに軽量かつ高剛性のHMXカーボンを採用する。前作で下位グレードに用いられたHMFカーボンは廃止された。
リムブレーキよりも重量面で不利なディスクブレーキ専用モデルとして生まれ変わったことで、徹底的に追求したのが各部の軽量化だ。これによりハイエンドのH MX-SLカーボンモデルでは、チューブラータイヤ仕様に変更することでUCI規定の6.8kg以上に収まるスペックを与え、アディクトRCプロにおいても試乗車の実測値が7.1kgの軽さを実現。
この軽さを実現するのがエンドやフォーク先端部分まで、ほとんどの部分で中空構造とするホローストラクチャーの技術であり、ドロップアウトもサンドイッチ構造を採用した。
そのほかシートクランプもわずか12gに抑えるなど、随所に軽量化のためのテクノロジーが盛り込まれる。
軽量モデルながらディスクブレーキ専用モデルとしたことで、クライミング後のダウンヒルでのコントロール性能を向上。さらにシートステーからブレーキキャリパーを廃したことで、振動吸収性も高められた。
前作から5年の時を経てフルモデルチェンジを果たしたアディクトRC。あらゆる面から軽量バイクの理想に挑んだモデルだ。
スコット
アディクトRCプロ
87万8000円(完成車/税抜)
■フレーム:アディクトRCディスクHMX ■フォーク:アディクトRC HMX ■コンポーネント:シマノ・デュラエース ■ハンドル/ステム:シンクロス・クレストンIC SLカーボンコンボ ■シートポスト:シンクロス・ダンカンSLエアロ ■サドル:シンクロス・ベルカラ ■ホイール:シンクロス・キャピタル1.0 35ディスク ■タイヤ:シュワルベ・ワンVガード、700×28C ■サイズ:XXS/47、XS/49、S/52、M/54、L/56 ■試乗車実測重量:7.2kg(54 /ペダルレス)
車重の軽さと安定感が両立する上質な乗り味
管洋介がインプレッション
新型アディクトRCを試乗してまず感じられた大きな進化は、やはりコクピット部のケーブルをすべてインテグラル化させたことだ。ステム一体型で高剛性を実現したシンクロスのコンボバーは、滑らかな曲線や厚みに加えて、細かな溝が設けられていることで、指先がかかりやすく操作しやすいのが特徴といえる。フロントまわりの高剛性化にも貢献しており、優れたエアロダイナミクスとともにバイクの走行性能を見事に向上させている。
信頼のおけるステアリングと剛性はボリュームのあるヘッドとフロントフォークから生まれ、大きなパワーを受け止めるダウンチューブのしなりを引き立ててくれる。走行感はスピードの巡航力が際立つ。BBドロップを70mmとして重心を下げたことにより、マイルドで踏みやすいペダリング特性で、伸びていくスピードともイメージが同調する。
それでいて何よりも軽量な車体を常に感じることができるのは大きい。回転数が下がるヒルクライムでもこの特性が大きく生かされ、トルクフルにダイナミックなモーションで山を駆け抜けることができるだろう。
ここまでの評価でレーススペックに思われるだろうが、車重の軽さをピーキーに演出しすぎない安定感があって、ソロライドでもバイクに大きな信頼を寄せられる。
インプレッションライダー
管洋介
競技歴22年のベテランライダーで自身のチーム、アヴェントゥーラサイクリングの代表も務める。長年の経験を生かした的確なインプレッションが持ち味。身長168cm。
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問:スコットジャパン www.scott-japan.com
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