S1NEO(S1ネオ)・699D|ニューモデルインプレッション
管洋介
- 2020年03月24日
注目の最新モデルを徹底インプレッション! 今回は高い評価を得ていた前作のDNAを受け継ぎながらフルモデルチェンジを果たしているエアロオールラウンダー、S1NEO・699D(S1ネオ・699D)をベテランライダーの管洋介がチェック!
フルモデルチェンジを果たしたエアロオールラウンダー「699D」
創業からわずか10年と新興ながら、トラック競技の世界記録保持者であるフランソワ・ペルヴィスが開発に参加するなど、確かな品質を武器に急成長しているS1ネオ。フランスの自社工場で塗装を行うことで、豊富なストックカラーに加えて、カラーオーダープログラムのマイS1ネオを展開するなど、それぞれのユーザーにとって唯一無二のバイクを供給する体制を整えている。
S1ネオのロードバイクラインナップは、699と599の2つのシリーズにカテゴライズされる。699シリーズはエアロダイナミクスを高めたモデルであり、599シリーズが快適性を備えたモデルだ。両者ともオールラウンダーとして使用できるロードバイクだが、多様化するライダーのニーズに合わせてストロングポイントを特化させている。
今回インプレッションするのはエアロオールラウンダーの699シリーズであり、高い評価を得ていた前作のDNAを受け継ぎながらフルモデルチェンジを果たしている。
直線的なラインを多用した前作のシルエットを一新し、流麗な曲線美を描くものに変更、各部の剛性を最適化した。ブレーキについてもディスクブレーキの699Dを追加するとともに、リムブレーキも699として展開する。先代ではリアのリムブレーキキャリパーによる風の乱流を抑制するために外側に張り出していたシートステーを、ディスクブレーキモデルの登場に合わせて直線的な形状に変更。さらに細身の形状とすることで振動吸収性を高めている。フレームの性能を生かすために、ステム一体式の専用ハンドルを用意するなど、コンポーネントの部分からも性能向上が図られた。
サイズ展開についてもトップチューブ長が510mmの2XSから2XLまでの7サイズを用意。女性や小柄なライダーも選択肢に入れることができる点が、大きな魅力と言っていい。
幅広のプレスフィットBBにより、大径のダウンチューブなどのボリュームを確保して動力伝達性能を高めた。
ディスクブレーキの制動力に対応する剛性を確保し、駆動効率を最適化するため、チェーンステーは角断面形状を用いる。
シートチューブとダウンチューブにはカムテール形状を採用してエアロ効率を高めた。振動吸収性を高めた細身のシートステーをトップチューブとの集合部よりも下側にオフセットして接続。シートポストのフレックス性も同時に高めている。
中間部の横幅を広げたストレートフォークにより、フロントまわりの剛性を確保して、ハンドリング性能を高めている。フォーク裏側のブランドロゴからはデザインに対するこだわりが垣間見える。
S1ネオ
699D
41万9000円(フレームセット/税抜)
■フレーム:T800HMカーボン ■フォーク:カーボン ■コンポーネント:シマノ・デュラエースDI2 ■ハンドル・ステム:コックピットグラール ■シートポスト:専用カーボン ■サドル:プロロゴ・ディメンション ■ホイール:マヴィック・コスミックプロカーボンSL ■タイヤ:コンチネンタル・スプリンター 700×25C ■サイズ:2XS、XS、S、M、L、XL、2XL ■試乗車実測重量:7.6kg(S /ペダルレス)※付属品以外のパーツはテストバイクのスペック
トルクに呼応するレスポンスのいい加速性能
管洋介がインプレッション
カムテールの丸みを帯びたチュービングが描くエアロフォルムは滑らかさが際立つとともに、メタリックの艶が高級感を引き立てるバイクだ。大径のダウンチューブとヘッド、チェーンステーがフレーム全体を剛健に支え、ライダーが生み出したトルクを逃がすことなく優れた直進力に変換する。
トルクを加えたその瞬間から吸い込まれるように足が流れていく感覚は、ハイケイデンスで走るライダーには相性がいいだろう。さらにペダリングのたび飛びつくように追従するリアバックの反応の速さに驚かされる。シャープなペダリングから繰り出される鋭い加速に酔いしれてしまうほどだ。
オーバル形状のフロントフォークとそれを支えるヘッドのボリュームで、フロントまわりに頼もしさを感じる。高剛性に仕上がったカーボンエアロハンドルとのマッチングもよく、ダンシングが小振りにまとまる印象で細かなアップダウンを高速で駆け抜けることができる。
エアロのキーワードから巡航性能の高さばかりが着目されてしまうが、どちらかというと運動性能の高いオールラウンドバイクにエアロのテイストを加味したバイク。あらゆるレースシーンでこのバイクのパフォーマンスは発揮される。まさに飛び道具となる一台だ。
インプレッションライダー
管洋介
競技歴23年のベテランライダーで自身のチーム、アヴェントゥーラサイクリングの代表も務める。長年の経験を生かした的確なインプレッションが持ち味。身長168cm。
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