NINER(ナイナー)・MCR9 RDO|ニューモデルインプレッション
管洋介
- 2020年03月30日
注目の最新モデルを徹底インプレッション! 今回は未舗装路にとどまらず、シングルトラックトレイルでさえも走れるグラベルロード、NINER・MCR9 RDO(ナイナー・MCR9 RDO)に管洋介が乗った。果たしてその乗り心地は?
MTBのテクノロジーを生かした
フルサスグラベルロード「MCR9 RDO」
その名が示すとおりMTBの29er(トゥーナイナー)からスタートしたナイナー。29erの黎明期にシングルスピードMTBからスタートしたアメリカンブランドは、現在はグラベルロードバイクもラインナップ。グラベルやシクロクロス、ツーリングなど幅広い用途で使用できる遊び心をもったRLT9シリーズは、スチールとアルミ、カーボンの3種類からフレーム素材を選べる。
まったく新しいグラベルロードとして登場したMCR9 RODは、フルサスペンションを採用したモデル。同社がこれまでに培ってきたMTBの技術をフィードバックし、前後のサスペンションについても、40mmストロークのフォークと、リア50mmのストロークに最適化したユニットをサスペンションメーカーと共同開発している。
これにより未舗装路にとどまらず、シングルトラックトレイルでさえも走れるグラベルロードが誕生した。
あえて意地悪な言い方をしてしまうと出てくるのが、フルサスMTBにドロップハンドルを取り付けたバイクではないのか? という疑問だ。だが現代のMTBではXCレーサーでも100mm程度のストロークをもつサスペンションを装着しているのに対して、MCR9の場合は約半分。
ドロップハンドルのバイクが必要とするフルサスを突き詰めたものであり、XCレーサーとグラベルロードの大きな違いを考えると、その中間となる存在は十二分に意義がある。具体的な例をあげると、グラベルバイククラスが増設されたSDA王滝がターゲットイベントになるだろう。
ただし正直に言って、現状でこのバイクを必要とするライダーは多くはないだろう。それでも誕生させられたのは、ニッチなセグメントを突き詰めて創業したナイナーだからこそだ。ニーズに合ったバイクを作るのではなく、むしろMCR9の存在こそが、新たなニーズを生み出す原動力となる。
リアサスペンションユニットはシートチューブによって保護される。
ロングツーリングでの使用も考慮して、トップチューブ上部にはバッグを取り付けできるボトルケージ台座を設けた。
同社のRIP9やJET9と基本的な構造が同じリアサスペンションを採用。MTBとは異なり、ユニットをシートチューブとリアホイールの間にコンパクトに配置。リアサスペンションはハンドルに取り付けたレバーによってロックアウトが可能だ。リアフェンダーを標準装備する。
FOXと共同開発した40mmストロークのフロントフォークを採用する。剛性も十分でシングルトラックでも安定したハンドリングが可能だ。タイヤは700Cであれば50Cまで、650Bホイール使用時は、2.0まで使用できる。
ナイナー
MCR9 RDO
46万円(フレーム&フォーク/税抜)、39万円(フレームのみ/税抜)
■フレーム:RODカーボン、Xフュージョン・マイクロライトRL 50mmリアサスペンション ■フォーク:FOX・32SCフロートAX 40mm ■コンポーネント:シマノ・GRX ■ハンドル:日東・M137AA-SSB ■ステム:トムソン・エリートX4 ■シートポスト:トムソン・エリート ■サドル:SMP・ニンバー ■ホイール:スタンズノーチューブ・グレイルMK3 ■タイヤ:コンチネンタル・テラスピード700×40C ■サイズ:53、56、59cm ■カラー:オリーブグリーン×オレンジ、ブラック×マグネティックグレー ■試乗車実測重量:11.1kg(53cm/ペダルレス)
※付属品以外のパーツはテストバイクのスペック
フルサスペンションが走るフィールドを無限に拡張する
管洋介がインプレッション
舗装路はもちろんのこと、未舗装路からMTBで走るようなトレイルのシングルトラックまで、ライディングフィールドを広げたフルサスペンションバイク。これまでのグラベルロードよりも圧倒的にハードな環境でも、的確にコントロールでき、エキサイティングかつスピーディに走破できるスペックが集約されている。
29erを中心に数々のMTBをプロデュースしてきたナイナーだから開発できたバイクといえ、フレーム素材にRDOカーボンを使用することで、重量の増加を抑えた。同時にリアサスペンションのロックアウトがハンドル側のレバーで操作でき、舗装路ではロードバイク的な軽い走りが維持される。
40㎜ストロークのフロントサスは、このバイクの使用方法にマッチした印象で、路面環境が刻々と変わるような状況でも、安定した操舵性を確保できる。リアサスについても、路面からの突き上げが続く状態でも衝撃を吸収しつつ常に良好なトラクションが得られる。最初は身構えてしまったところもあるが、サスペンションによるロスは少なく、ペダリングリズムも崩れない。シートアングルも後輪に荷重を残し、トラクションを生かせるように寝かされている。オフロード主体のグラベルライドでは強い味方になってくれるバイクといえる。
インプレッションライダー
管洋介
競技歴23年のベテランライダーで自身のチーム、アヴェントゥーラサイクリングの代表も務める。長年の経験を生かした的確なインプレッションが持ち味。身長168cm。
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問:ミズタニ自転車
www.mizutanibike.co.jp
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