外出自粛の週末は一人で走るライドソロを!|世界の自転車事情・ドイツ【#RideSolo】
山口
- 2020年04月04日
日本国内でも新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大するなか、都市部を中心に外出自粛が呼びかけられている。もはや楽観的な状況でないことは間違いない。
編集部では世界各国で「自転車乗りはいまどうしているのか?」、「どんな対策しているのか?」を紹介していく。
キーワードは“RideSolo”(ライドソロ)
あらかじめ言っておきたいのが、「ロックアウト(都市封鎖)していない自転車に乗れる国や地域」では、社会的距離をとるために「一人で走る“#RideSolo”(ライドソロ)」が自転車に乗る上でキーワードとなること。
今回紹介するドイツでは、一人もしくは同居家族なら一緒に走ることを認めていているが、これは社会的距離(SOCIAL DISTANCE)を確保することで、感染拡大を防ぐという意味がある。
この先、各国、地域ごとの事情。そして刻一刻と変化すると状況のなか、この“ライドソロ”がいつまでベターな方法かはわからない。ただ、今(4月4日現在)、感染が広がりつつあつる地域でできることは集団ではなく、一人で安全に自転車に乗ることだ。
いままでクルマ、自転車、そして歩行者の間は安全のため距離1.5mが求められてきた。そしてCOVID-19の感染拡大対策として、さらに人と人と社会的距離(SOCIAL DISTANCE)も求められる。そのキーワードが”#RideSolo”だ。
ドイツではサイクリングは可能、ただし3人以上はNG
中村達人さん。長年ドイツに住んでおり、ヨーロッパ各地のグランフォンドに出場し上位へ食い込む強豪アマチュアとして地元でも知られる存在だ。Youtube チャンネル「達人チャンネル ドイツで自転車」 https://www.youtube.com/channel/UCK0u_WyLWgMBEFxNemjcBvw
ドイツでは8万人を超える感染者、そして1000人を超える死者も出ている予断を許さない状態だ。ただし、同じヨーロッパでも現状イタリアやスペインのようなロックダウン(都市封鎖)は行われていない(4月3日現在)。ロックダウンが行われている地域、例えばフランス、パリでは自転車に乗ることは、あくまでも移動手段として許可証がある場合のみ認められる可能性があるだけだ。いっぽうドイツではエクササイズとして自転車に乗ることは、社会的にはばかられる雰囲気ではないという。
ドイツ、フランクフルト在住の中村達人さんに話を聞いてみた。
ドイツでは家族以外の集団行動が厳禁
「営業しているのは、スーパー、肉屋などの生鮮食料品店、銀行、ガソリンスタンド、パン屋、キオスクですね。学校やオフィスは閉鎖、工場も同じくです。ただし、工事現場や道路工事は行われてます。ドイツ(ヘッセン州)は、外出OKです。ただし、集団行動が厳禁で家族以外で集まっているのを警察が見つけたら怒られます。なので、スポーツクラブ、フィットネススタジオ、プール、体育館、運動場(おもにサッカー)も閉鎖されています。それから教会、モスク等、宗教の集まりも厳禁ですね。むしろ、自転車での移動は推奨されているので2人以下なら、問題なしです」
ドイツでは自転車が推奨されている
ドイツでは保健省イェンス・シュパーン大臣が自転車に有用性について認めており、そのコメントが雑誌に掲載されている。
「『社会的距離』をとるという意味で、誰もが公共交通機関を使用する代わりに、ウォーキングか自転車に乗ることができるかどうか検討すべきです。そうすれば感染のリスクを減らせます」
(引用:DER SPIEGEL(デルシュピーゲル)
というコメントを出している。さらに同記事では、サイクリングによるエクササイズによって、高血圧や糖尿病を抑え、予防効果についても期待できることが書いてある。
週末にはソロライダーたちが山の上に集まる
撮影したのは4月2日は朝が寒かったので人は少なめ、12時前に到着したのでシートを広げて食事してる家族もいた。
ただし、クラブやチーム単位はもちろん、誘い合ってのライドも基本禁止されており、警察から解散するように注意を受ける。ただ、家族で走っている分には、全く問題なく、現実には2人なら問題ないという雰囲気だという。このため、週末にはフランクフルトから30km弱にあるフェルドベルク山頂には多くのサイクリストが集まる。
「ドイツは、長い冬がやっと終わり、この日曜日から夏時間に変わり、まだ肌寒い風が吹いてますが、晴天の日が続いています。これで自宅待機なんて命令出したら、暴動起こりますね。先週の土曜日(3月28日)は17度まで気温が上がり、近くの山の上は満員御礼でしたね」
この4月3日時点ではドイツでは集団にならないことさえ守れば、屋外でのエクササイズとしての自転車は認められている。
写真はフェルドベルク山頂。遊具には使用禁止の張り紙があり、使えないようにしている。モノに触れることで感染を防ぐのが目的だ
最後に、基本は健康で安全であること。住んでいる国や地域の自治体からの要請、指示に従うことが前提であることをあらかじめ付け加えさせていただきたい。編集部でもひきつづき#RideSoloをキーワードにヒントとなる情報をアップデートしていく。
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PROFILE
バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。