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ロードシューズのクリートの位置、迷いのない基準ができる|IDmatt

イタリアのサドルメーカー・セライタリアグループのシンクタンク企業としてフィッティングサービスIDマッチ。専用の什器で足のサイズや踏み込んだときのひざの動きを計測し、専用ソフトでクリートの取り付け位置の目安を決める「クリートフィット」と、バイク型の什器を使ってサドルの位置やハンドルなどのポジションだけでなくセライタリアのサドルの中からどのタイプのサドルがマッチするかという提案までしてくれる「スマートバイク」がある。今回はすべてのフィッティングのベースとなるクリートフィットを体感した。

クリート位置はすべてのフィッティングの基本

 

クリートのフィッティングは、あらゆるフィッティングの基本になるものだ。クリートの位置が決まるとサドルの高さや前後位置が決まり、ハンドル位置も決まるからだ。つまり建物で言えば基礎であり、クリート位置が理想とはほど遠い場所に着いていては理想的なフォームの実現はできないのだ。

 

では、理想的なクリート位置とは何を基準にすればいいのだろうか? よく言われるのが足の親指の付け根である母趾球のあたりを基準にすることだが、母趾球といっても球状のポイントなので前後に1センチ程度の幅が出てしまう。すると一発ではなかなかクリート位置が決まらなかったり、調子に左右されながら経験則でなんとなく位置を決めるなんてことになりがちだ。

 

「プロ選手でも自分の経験でクリートを着けている人は多く、IDフィットの理想とするポイントとは大幅にずれていることもある」と株式会社ダイナソアでIDマッチを担当する安立喜一さん。

 

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IDマッチで重要視する「バランスポイント」

 

IDマッチではクリート装着の基準になる位置を「バランスポイント」と呼んでいる。

 

バランスポイントとは、体勢を安定させるのに不要な力を使わず、必要なときにすぐ動ける足のポイントのこと。具体的には第1中足骨の先頭から少し後ろ、5つの中足骨の先端が作る弧の中央部分(すなわち足の中指の中速骨の先端あたり)にある。ここにクリートを着けることで、最もスムーズなペダリングができるという。具体的には、巡航時など筋力を温存すべきシーンでは無駄な力を使わず、アタックやスプリントの時など必要なときにはすぐに最大の筋力を発揮できるのだ。

 

つまり、バランスポイントの真下にクリート軸の中心が通るようにクリートを着けるのがIDマッチにおける理想的なクリート位置ということになる。

 

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IDマッチでバランスポイントにクリートを着ける

 

しかし、バランスポイントにクリートを着けるのは至難の業だ。足の中指の第1中速骨は、外からは分からないためだ。そこで役に立つのがIDマッチのクリートフィットだ。

 

クリートフィットは、専用の什器を使って「足幅」と「足の長さ」、「かかとから足の親指の中足骨までの長さ」を計測して、専用アプリにこれらのデータを入力することでバランスポイントが分かるシステム。さらにひざを曲げたときのひざの軌道をチェックしてクリートの取り付け時にカントを着ける必要があるかをチェックしたり、シューズにクリートを装着するための専用の什器を使って被験者のバランスポイントに合わせてクリートを正確に着けることができるようになっている。

 

バランスポイントの位置である足の中指の中足骨先端の位置ではなく、親指の中足骨の先端を計測するのは、足の指を持ち上げたときに位置を特定しやすいから。IDマッチのアプリは、NASAが持っているさまざまな人種の身体のデータを元にアルゴリズムが作成されていて、「足幅」と「足の長さ」、「かかとから足の親指の中足骨までの長さ」を計測することでかなり正確にバランスポイントが推計できるようになっているそうだ。

 

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クリートフィットの具体的な流れ

 

1.専用の什器を使い、足の長さ、幅を調べる。さらにフィッターが足の親指を持ち上げ、谷になっているところから踵までの距離(=かかとから中足骨までの距離)を調べる。これを左右同じように行う。測定はレーザーを使って行うため、かなり正確に測れる。

 

IDマッチ専用のアプリにこれらのデータを入力すると、バランスポイントにクリートを合わせるための数値(踵からクリートのペダル軸の真上に来る位置までの距離)がわかる

 

2.ティルトメーターと呼ばれる機器を使い、一方の足を前にしてもう一方の足を後ろに引く。その状態で前後つま先立ちし、ひざを20度ほど曲げる。このときにひざが外や内に傾くかどうかをチェック。傾くようならクリートに角度を付ける必要がある。

 

ペダル軸は常にまっすぐだが、足はショパール関節(横足骨の関節)の前後で足がねじれている場合があり、ねじれているとペダリング中にひざが内側または外側に傾く。この工程では足がねじれてひざがまっすぐ曲がらないケースに当てはまるかを見ていて、ひざがまっすぐ曲がらない場合はクリート装着時にカントを付ける必要があると判断する。

 

3.シューズを専用の什器に設置し、つま先からかかとまでが最も長くなる距離をシューズがまっすぐに履けている状態とする。ここにIDマッチ専用アプリで導き出されたクリート位置のデータに合わせてクリートを装着する。

 

クリート装着の際は、各ブランドに合わせたアタッチメントにクリートをはめて、レーザーに合わせて前後位置や角度を調整。基本的にはシューズの前後方向の位置に対して角度を付けないようにまっすぐ取り付ける。ティルトメーターの計測で角度を付けた方がいいと判定された場合は2度に満たない範囲でわずかに角度を付ける。

 

シューズの多くは欧米人の足を基準に考えて作られている。日本人は欧米人に比べて足の指の長さが短いため、シューズによってはIDマッチの理想のクリート位置に着けられないケースもある。日本人の多くは足指が短いため、バランスポイントが前の方に来がち。そのため、クリートも前寄りに着ける必要があるが、欧米ブランドのシューズはクリート位置がかなり後ろ側になっているモデルがあるためだ。このため、IDマッチはクリート位置が出るシューズを選ぶという使い方もできる。

 

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体験してみての感想

「経験に頼っていたクリートの位置決めがスムーズにできるのは画期的」

――ライターアサノ

 

自分はロードバイク歴20年近くなるが、クリートの位置を決めるにあたっては、古典的な母趾球の位置に合わるのを基本としながら、その後実際にペダリングしながら微調整していくという作業を繰り返してきた。同じシューズとクリートの組み合わせで使っているうちは、シューズの裏にマーキングすればベストなクリート位置に調整することはできるが、問題はシューズを交換したり、ペダルを変えたときだ。またゼロからやり直しになってしまうし、クリートの取り付け方ひとつでパフォーマンスに影響もある。このクリートを調整する時間は、個人的には面倒で無駄な時間だと感じていた。

 

IDマッチはバランスポイントを基準にクリート位置を合わせるが、一度足を測定してしまえばシューズやクリートを変えても正確にバランスポイントに合わせたクリート位置を再現できる。今まで経験則に頼ってきた部分が正確に基準に合わせられるのは朗報と言えるだろう。

 

逆にパフォーマンスがいいときのクリート位置をIDマッチで調べ、それを次回から反映するという方法も考えられる。日本人は欧米人より足の指が短いのでクリートを前寄りに付けることになりがちだが、そうなると欧米ブランドのシューズでは理想的なクリート位置に付けられないことも考えられる。シューズ選びの際に自分の理想のクリート位置が再現できるシューズかどうかを選ぶというIDマッチの活用方法も考えられる。いろいろな形でシューズとクリートに関する問題を解決してくれる画期的なツールだと思う。

 

(プロフィール)

教えてくれた人●安立喜一さん

株式会社ポディウムの専務取締役で海外のサイクリング事情に詳しくIDマッチにも精通する

試した人●浅野真則

自転車専門誌やWEBなどで活動する自転車ライター。ロードバイク歴は20年ほどで、ペダルはずっとタイムを愛用。クリートは基本的に母趾球付近の踏み込んだときに力の入りやすいポイントに合わせ、勘と経験を頼りに微調整してきた

問:フカヤ
www.fukaya-nagoya.co.jp

問:日直商会
nichinao.jp

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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