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ロックダウン明けに待遇が分かれた、スペインでのプロとアマ自転車選手の差

新型コロナウイルスによる自宅待機が徐々に解けつつあるスペイン。3月中旬から室内でトレーニングしていた自転車選手たちも、5月からは屋外を走ることができるようになった。しかし、屋外でトレーニングについては「プロ」サイクリストと「アマチュア」サイクリストの間には、異なる条件が指定されている。

今回の記事ではスペインにおける、「プロ」サイクリストと「アマチュア」サイクリストの違いと、「プロ」になるための道のりについて、スペイン在住の對馬由佳理がレポートする。

ロックダウン解除で屋外トレーニング再開
そのとき「プロ」と 「アマチュア」差は?

Photo by Yukari TSUSHIMA

3月から始まった新型コロナウイルス蔓延によるロックダウン(自宅待機)期間も、終わりが見えてきたスペイン。自転車選手たちも、5月上旬から屋外でトレーニングできるようになりました。6月1日現在、地方によっては少人数でのグループライドが認められているところも少なくありません。

5月4日のトレーニング再開時に自転車選手のトレーニングに関して、スペイン政府は次の2つの条件を課しました。※1

  • スペイン自転車連盟に所属しているプロサイクリストおよび国が定めた重要なサイクリストは、5月3日以降は時間帯の制限なく屋外でのトレーニングすることを認める。
  • 上記以外のスペイン自転車連盟に所属しているサイクリストおよびスペイン自転車連盟に所属していないサイクリストは6:00~10:00および20:00から23:00の間、屋外でトレーニングすることを認める。※2

このように、スペインでは「プロサイクリスト」はほかのサイクリストとは異なる条件下での対応が認められています。

このことは、スペインではプロサイクリストは職業として法律的にも公式に認められていること、そして、彼らの練習は「職業活動の一環」として認知されていることを意味するものです。

スペインの場合、税制をはじめとする法律上において、プロサイクリストは「自営業者(autónomo)」として扱われます。そのため、レースへの出走はもちろん、日常のトレーニングも「職業活動の一環」となるのです。

「プロサイクリスト」と「アマチュアサイクリスト」の違いとは

では、「プロサイクリスト」と「アマチュアサイクリスト」の違いは、一体どのようなものなのでしょうか。

両者の最大の違いは、ずばり「所属チームからのサラリーの支払いがあるか否か」ということになります。

「プロサイクリスト」には所属のチームからサラリーが支払われることになりますが、その場合の最低賃金はUCIの規定により決められています。この最低賃金はプロ1年目の選手と2年目以降の選手では金額が異なります。また、選手が社会保障費(公的年金や公的医療費を負担する)社会保障を支払うか否かという場合でも、金額が変わってきます。また、選手の性別でも金額が異なります。

参考までに、最近4年間の男子ロードレースのプロチームおよびワールド・ツアーチームにおける選手の最低賃金は、次のようになっています。

表1 男子ロードレース・ネオプロの選手の最低賃金

 

表2 男子ロードレース・プロ2年目以降の選手の最低賃金

つまり、表1と表2より正確に表現すると「プロの男性サイクリストとは、2020年現在で、ネオプロの選手であれば年間26,849ユーロ以上のサラリーを、2年目以降の選手であれば年間30,250ユーロ以上のサラリーを所属チームから受け取っている選手」となります。

「プロ」サイクリストになるための道のり

Photo by Yukari TSUSHIMA

スペインでプロのサイクリストになるまでの道のりは、まず、各地にある「自転車学校」がその始まりとなります。この「自転車学校」はかつてプロの世界で活躍していたサイクリストが地元の自転車店などと協力して運営していることが多く、6歳~15歳ぐらいまでの子供たちが習い事の一つとして通います。この学校子供たちは、遊びを交えて楽しみながら、自転車で安全に「走る・曲がる・止まる」ための技術や道路マナーなどをを学びます。

こうした子供たちの中から、自転車レースに興味をもった子供たちが15歳以降から「チーム」に所属します。15歳から16歳のサイクリストが所属するカテゴリーを「カデーテ」、17歳と18歳の選手のカテゴリーを「ジュニア」とよびます。カデーテとジュニアでは、選手がレース使うギア比などが決められており、選手に身体的な負担をかけることなくレースができるようになっています。

19歳から22歳の選手のカテゴリーを「サブ23」と呼びます。そして、23歳以上のサイクリストが所属するカテゴリーを「エリート」と呼びますが、多くのエリートのチームはサブ23のチームと合同チームとなっていることが多いのがスペインの現状です。

スペインのアマチュア・カテゴリー

表は筆者作成

上記のカテゴリーはすべて「アマチュア」と呼ばれます。つまり、各チームにはスポンサーがついていますが、チームから選手にサラリーが支払われることはありません。そのため、特にアンダー23/エリートのカテゴリーの選手は大学生であったり、あるいは社会人として働きながら、競技を続けています。

基本的に、選手たちはこうした「アマチュア」の段階を経てプロサイクリストになりますが、最近はアンダー23を経ずにプロ契約を結ぶ若い選手も少なくありません。

その一方で、他のスポーツを経験した後に自転車ロードレース競技に転向した選手の中には「アマチュア時代に所属していたのはサブ23のチームだけ」という人も珍しくはありません。

また、例えば20歳ぐらいでプロ契約をした選手が、アマチュアのアンダー23やエリートのカテゴリーでレースを走ることはありません。ヨーロッパでは、アマチュアのレースとプロのレースが明確に分かれているのです。

「プロ」と「アマチュア」の明確な違いが生む、「プロ」としての自覚

Photo by Yukari TSUSHIMA

スペインにおいて、アマチュアのレースはプロサイクリストになるための重要なルートではありますが、プロとアマチュアが同じレースを走ることは基本的になく、両者の間には明確に違いが存在します。

そして、プロサイクリストたちは、自分たちがアマチュアサイクリストを育てる責任があることを強く自覚しています。例えば、新型コロナウイルスの自宅隔離条件が緩和され、スペイン国内でプロサイクリストが時間に縛られずトレーニングができるようになると、プロの間から「せめてアンダー23の選手までは時間制限なしでのトレーニングを認めてほしい」という要望がスペイン政府へ出されました。

前述の通り、スペインでは「プロ」と「アマチュア」のカテゴリーには明確な違いがあります。それ故に、「プロ」になった選手にはそれ相応の責任があることを、多くのプロ選手は理解しているのです。

参考資料

https://www.zikloland.com/ciclistas-profesionales-salarios-2017-2020-subida/

※1、2
https://rfec.com/index.php/es/smartweb/seccion/noticia/rfec/home/42082-Comunicado-de-la-RFEC-y-sus-FFAA-respecto-a-la-Orden-publicada-el-16-de-mayo

著者紹介

對馬由佳理
スペイン在住。当地で10年以上ファンとして自転車レースを追いかけた後、ジャーナリストへ転向。スペインで開催される男子のレースはもちろん、女子のレースやパラサイクリングも取材経験あり。
Twitter: @TsushimaYukari
Instagram:yukaritsushima1

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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