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Still Steel〜まだまだスチール【革命を起こしたいと君は言う……】

人気モデル、スティッキー

われわれケルビムを支える人気モデルがいくつかある。そのなかでもスチールフレームの利点を最大限に感じて欲しいと設計した「スティッキー」というモデルがある。そのニューモデルを発表することとなった。

ここでスティッキーひいては自転車フレームの設計理念について説明させていただきたい。この理論がすべての自転車設計者はもとよりライダーにとって有益な情報となることを願っている。

強いフレームは正義か

設計者としての課題。パイプ構造で成り立っているフレームの場合その「しなり」すなわち「たわみ」を理解し設計をすることとなる。

結論からいえば「強い」フレームを作るにはパイプ径を太くすれば、簡単に強いフレームは完成する。これはすべての素材にいえる。建築、乗り物、すべての設計において常識的な考え方だ。

構造学では「素材の性質」と「形状」の2方向からたわみを計算するが、素材の性質よりも形状の要素が強く外径が2倍になれば、強さは8倍にもなる。

ではなぜフレームはもっと太く作らないのか。それは、強いと乗り難いから、すなわちスピードが出ないからだ。

そこで設計者はその素材で可能なかぎりのバランスを追求してフレームを設計する。やみくもに強いフレームを設計しているわけではないことを理解してほしい。

強いフレームは決して正義ではなく、強さはライダーの脚質、競技、用途によって決定されるものだ。むしろ「たわみ」に重点をおく。これはトップアスリートでもまったく同じだ。

究極のバネ感とは

ではどうすれば、しなりのポイントを制御できるのか。まずは設計する各素材のウイークポイントを理解しなければならない。

スティッキーののダウンチューブは直径25.4mm、肉厚0.5mmという驚異的な細さと肉厚で設計されている。端的にいえばこれがバネ感、シルキーな乗り心地を実現する。

クロモリであればスティッキー以外にも似たような構成で製作されているフレームはたくさんあるが、他素材では存在しない。

なぜスチールだけが細いシルエットを持つことができ、さらにはしなやかに作れるのか。そしてスチールの乗り心地がしなやかという理由とは何かを説明しよう。

2007年発表のスティッキー。ダウンチューブは直径25.4mm、チェーンステーは14mmを採用。しなやかさ、バネ感を極限まで追求

比重のからくり

自転車フレームはアルミ、カーボンフレームは硬く、クロモリフレームはしなやかという意見が多くある。不思議だと思わないだろうか?

材料の体積に対して重さをくらべたときの目安に「比重」という物がある。鉄、チタン、アルミ、カーボンの順に軽くなる。

素材単体でくらべたときには、アルミやカーボンは柔らかく鉄は硬いというのが常識だ。しかし自転車となったときの印象はまったく逆となる。「強さ」は材質その物より外径が支配している。単純に太ければ「強く」細ければ「しなやか」なのでバネ感が得られる。つまりスチールは細く作れるので、しなやかとなる。ではなぜスチール以外の素材でしなやかさを実現できないかというと、ほかの素材は細く作ると壊れてしまうからだ。

素材の特質を知りフレームを観察すると、その素材の限界の細さで設計されていることが見えてくる。製作者の関心は「強さ」より「バネ感」を追求していることが明らかに見て取れる。

あらゆるパイプ素材のしなりの数値化は簡単だ。素材の比重や弾性率から求められる。あとはライダーの脚力がわかれば最適なしなりを導ける

Cherubim Master Builder
今野真一

東京・町田にある工房「今野製作所」のマスタービルダー。ハンドメイドの人気ブランド「ケルビム」を率いるカリスマ。北米ハンドメイド自転車ショーなどで数々のグランプリを獲得。人気を不動のものにしている
今野製作所(CHERUBIM)

 

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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