BISYA(ビシャ)・フルカーボンロードバイク|ニューモデルインプレッション
鈴木雷太
- 2020年08月03日
注目の最新モデルを徹底インプレッション! 今回は新潟県上越市で100年以上にわたり繊維製品の卸売りを行う越後繊維から誕生した日本ブランド、BISYA・FULL CARBON ROADBIKE(ビシャ・フルカーボンロードバイク)を鈴木雷太がチェック。果たしてその乗り心地は?
高品質&低価格を目指した
毘沙(ビシャ)のスタンダードロードバイク
毘沙(ビシャ)は高品質なフルカーボンフレームを低価格で届けることを目指して誕生した日本のブランドだ。運営を手がける越後繊維は新潟県上越市で100年以上にわたり繊維製品の卸売りを行う会社で、新たな事業としてロードバイクに参入した。毘沙のブランドの名は越後の戦国武将、上杉謙信が信仰していたという軍神毘沙門天に由来したものだ。
毘沙のファーストモデルとなるフルカーボンロードバイクは、東レのT700カーボン素材を使用し、105コンポーネントで組み上げた初級者から中級者までを対象とするモデルだ。
エントリーバイクとして充実の内容ながらも税抜で17万円を下まわる価格を実現できたのは、中間コストのカットにあるという。自社で企画したフレームは、欧米の有名ブランドと同じ中国の協力工場で生産される。
規格から生産管理、ユーザーや販売店に届けるまでの手配をすべて自社で行っている。販売はアマゾンを利用したネット通販に加えて、プロショップでの販売もされており取扱店も増えている。
また、いたずらにコストカットのみを追求するのではなく、組み立て作業を日本のベテラン整備士の手によって行うなど、性能を最大限に発揮する努力を惜しまない姿勢も垣間見える。整備ではブレーキやシフトのケーブルの長さまで調整するなど品質にもこだわっている。
ネット通販で購入した場合は前輪とハンドル、シートポストとペダルの取り付け作業こそ必要にはなるが、変速やブレーキなどは調整済みで安心感がある。
販売形態も多様化するなかで、これからロードバイクに入門するユーザーにとって、低価格かつ品質が確保されたバイクの存在は大きく、その楽しさを広げてくれるものになるだろう。
すでに第2弾となるバイクの企画も進んでいるということで、この先の展開も楽しみなブランドといえる。
BBは幅広でパワー伝達に優れたプレスフィットを採用。コンポーネントは最新のR7000ではなく、あえて5800シリーズの105を採用するが、将来的なパーツのアップグレードも考慮して、シートチューブ下部には電動コンポーネント用のケーブル穴が設けられる。
チェーンステーは動力伝達性能を高める複雑な形状が採用される。
低価格ながらもケーブルは内装式を採用する。フリクションロスを低減する長さに調整したうえで出荷されるため、取りまわしもスムーズだ。フレーム素材にT700を使用することで、軽さと剛性を両立した。
シートステーは上下に薄い形状で振動吸収性を高め、横方向のボリュームを確保して、レスポンスのいいペダリングフィールを実現した。
ビシャ
フルカーボンロードバイク
16万8000円(完成車/税抜)、7万8000万円(フレームセット/税抜)
■フレーム:東レ・T700カーボン ■フォーク:東レ・T700カーボン ■コンポーネント:シマノ・105 5800シリーズ ■ハンドル:アルミ ■ステム:カロイ・ウノ ■シートポスト:アルミ ■サドル:ヴェロ ■ホイール:ブエルタ・スピードワンXLR33 ■タイヤ:ケンダ・700×23C ■サイズ:XS、S、M、L ■カラー:マットブラックレッド ■試乗車重量:8.3kg(S /ペダルレス)
クセのない乗り味でエントリーユーザーに最適
鈴木雷太がインプレッション
20万を下回る価格帯のエントリーカーボンロードバイク。エントリーモデルで少しでもハイスペックなバイクを探しているユーザーとしては気になるところだろう。
走ってみて新興ブランドながらマスプロメーカーのエントリーモデルと比較してもまったく引けを取らない性能が確認できた。粘りを感じるペダリングフィールに加えて、クライミングやスピードの出る下り、さらにワインディングでもフレームのブレやクセがなく、スムーズに走ることができた。
クライミングや平坦路でのダッシュになると多少の物足りなさというか、剛性がもう少しあるといいなといった感じだ。乗り心地は完成車のスペックで突き上げを感じてしまうものの、これはホイールが縦に硬いのと、タイヤもエントリーモデルであることの影響が大きい。フレーム自体の性能というよりも、足まわりからの影響がもろに出てしまっている。ただし価格を考えれば致し方ないことのように思う。乗り心地を考えるのであれば購入後のアップグレードを検討したいところだ。
ハンドリングはニュートラル系であり、どの速度域でもクセなく扱いやすい部類だと思う。これからスポーツバイクを始める人には検討してもらいたいバイクだ。
インプレッションライダー
鈴木雷太
MTBクロスカントリーでは2回の全日本タイトルを獲得しシドニー五輪にも出場した元プロライダー。ロードバイクの経験も豊富で、さまざまな目線からバイクをテストしている。身長168cm。
ニューモデルインプレッション
一覧はこちらから
鈴木雷太のその他の記事は
こちらから
問:越後繊維
https://bisya.jp
SHARE