この夏、山でのサイクリングで気をつけたい! 医師が教えるハチ、毛虫などの害虫対策
Bicycle Club編集部
- 2020年08月15日
先日、群馬CSC(サイクルスポーツセンター)で行われたロードレースで、レースを終えた選手たちが正体不明の湿疹に襲われた。さらに取材していたカメラマンたちは、謎の出血に見舞われるなど、人里離れたサーキットで大自然が人間に猛威を振るった。
山の中に入ることが多い夏は虫の被害にあいやすく、場合によっては命にかかわることもあるという。今回は、Jプロツアーレーサーであり、医師でもある武井裕さんが自然のなかでの害虫との接し方、対処法を紹介する。
レース中の選手たちを襲った小さな針、正体は毛虫だった
7月23日から25日の3日間、群馬CSCにてJBCFロードレースが開幕され、無観客とは言え熱い展開に盛り上がりを見せたが、レースを終えた選手たちの多くが掻痒感を伴う湿疹が出るなどの症状が出現した。3日間走った筆者にもご多分に漏れず出現し、皮膚科を受診したところ毛虫皮膚炎という診断であった。
これは主にチャドクガなどの毛虫の毒針毛が皮膚に刺さることで、掻痒を伴う湿疹や、点状紅斑・小水泡などで発症する。
毒針毛は空中に散布され、衣服の中にまで入り込み気付かぬうちに発症することもある厄介なもので、今回に至っては路上に落ちてた毒針毛が雨により巻き上げた水とともに全身に付着したことが予想される。対策として雨レースではワセリンやオイルを塗っておくことである程度は防ぐことができるだろう。
※以下閲覧注意 出血を伴う症例を紹介しています
死の危険もあるハチ、そしてダニ
山中でのレースではその他にもハチ、アブ、蚊、ダニなど様々な節足動物等による被害が報告されており、多くは吸血時の昆虫由来の毒液などに対するアレルギー反応に近いものが多い。
特に気をつけておきたいのは死亡例もあるハチ刺症によるアナフィラキシーショックやマダニ刺咬症によるライム病、マダニの一種のツツガムシが媒介するツツガムシ病などである。マダニについては気付かないうちに体表に吸着していることも多く、山に行ったのちに発熱や頭痛・関節痛、倦怠感や紅斑などの全身の皮膚症状を呈することがあればすぐに病院を受診していただきたい。
草むらに入るカメラマンを襲った出血の正体はヒル
取材にあたっていた本誌山口がレース後に足元を見ると謎の出血をしていた。これはヒルによる被害。
また、感染症の可能性は低いものの山中ではヤマビルなどの陸生ヒルの被害も多い。唾液に含まれる麻酔成分の影響で吸血時にも痛みを感じにくく、除去後も出血が持続しやすい厄介な連中だ。
いずれも長袖の衣類を身に付けた露出部を減らしたり虫除けスプレーなどで防ぐ効果はあるが、山中には必要以上に留まらないことが一番であるだろう。
VC福岡/整形外科医師 武井裕
多忙ななかトレーニングをこなし、現在JプロツアーチームVC福岡で走る。学生時代はバレーボールに取り組んでいたが、ケガから自転車に転向。スプリントを得意とする。
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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