ツール・ド・フランス第12ステージ|ヒルシが三度目の正直となる逃げ切りでついにステージ優勝
Bicycle Club編集部
- 2020年09月11日
INDEX
ツール・ド・フランス2020第12ステージが9月10日、ショヴィニーからサランに至る今大会最長の218kmのコースで行われ、ボーナスポイントのかかる2級山岳で独走に持ち込んだマルク・ヒルシ(サンウェブ)が初のステージ優勝を果たした。今大会第2ステージと第9ステージでも果敢に逃げ、あと一歩のところで優勝を逃してきたスイスの有望株は、三度目の正直となる逃げ切りを成功させ、ステージ敢闘賞も獲得している。
4級山岳で6人の逃げグループができるも、後に崩壊
今大会最長の218kmのコースが採用される第12ステージ。スタート地点のショヴィニーからフィニッシュ地点のサランに至るまでアップダウンを繰り返しながら次第に標高を稼ぐ上り基調のコースで、4つのカテゴリー山脈が中盤以降に集中する。最後の2級山岳シュク・オ・メイ(距離3.8km、平均勾配7.7%)にはボーナスポイントも設けられている。逃げでステージ優勝を狙う選手にとってチャンスとなるステージだ。
レースは序盤にイマノル・エルビティ(モビスター)、ルイスレオン・サンチェス(アスタナ)、ニルス・ポリッツ(イスラエル・スタートアップネイション)、マックス・ヴァルシャイド(NTTプロサイクリング)の4選手が飛び出し、これをカスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)とマチュー・ブルゴドー(トタル・ディレクトエネルジー)の2選手が追う展開に。メイン集団はボーラ・ハンスグローエが中心となって逃げグループとの差を2分程度にコントロールしながら追走した。
51km地点のスプリントポイントは、逃げグループからポリッツが先頭で通過。メイン集団ではポイント賞争いでトップに立つサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)が集団のトップで通過し、ポイントを追加した。
最初の4級山岳サンマルタン=テレシュ峠(距離1.5km、平均勾配8.8%)で逃げグループと追走グループは最終的に合流して6人のグループとなった。残り50kmで、アスグリーンとエルビティの2選手が飛び出したことがきっかけとなり、このグループは崩壊してしまった。
プリドールの故郷でヒルシらが新たな逃げグループを形成
じつはこのコース上にあるサン=レオナール=ド=ノブラはフランスの名選手、レイモン・プリドールの故郷。マチュー・ファンデルプールの義父ということでも有名だ。昨年11月に亡くなっており、関係者がそのお墓を訪れるセレモニーが行われた。プリドールはツール・ド・フランスでは総合2位を3回、総合3位を5回という成績を収めながらも、一度もマイヨ・ジョーヌを着たことがない。ただ、その人気は高く、こうして亡くなってからもファンから愛されることが伝わる。選手たちにとってツール・ド・フランスが特別なのはこうした歴史とファンの熱の高さもある。
3級山岳ラ・クロワ・デュ・ペイ峠(距離4.8km、平均勾配6%)にさしかかると、メイン集団からマキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)、セーアン・クラーウアナスン(サンウェブ)、ティシュ・ベノート (サンウェブ)、マルク・ヒルシ(サンウェブ)、カンタン・パシェ(B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)、マルク・ソレル(モビスター)が飛び出し、新たに逃げグループを形成した。
続くボーナスポイントがかかる2級山岳シュク・オ・メイ峠(距離3.8km、平均勾配7.7%)の上りでヒルシが独走に持ち込み、そのまま山頂をトップ通過。これをソレルとシャフマンが18秒差で追う展開となった。
ヒルシがリードを広げて単独逃げ切り
メイン集団からはジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が先頭を追う動きを見せ、新しい逃げグループから崩れた3人に合流。このグループはソレルとシャフマンも飲み込んで10人ほどになるが、単独で逃げるヒルシとの差は思うように縮まらない。
2級山岳を下った後もヒルシのペースは緩まず、最終的には後続に47秒の差を付けてフィニッシュラインを通過。自身のプロ初勝利をツール・ド・フランスのステージ優勝という最高の形で実現した。
マイヨジョーヌを着るログリッチらは2分30秒遅れのメイン集団でフィニッシュ。個人総合やポイント賞、山岳賞、ヤングライダー賞に変動はなかった。
動画 ラスト1㎞
リザルト ツール・ド・フランス第12ステージ
ステージ順位
1 マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)
2 ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)
3 セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、サンウェブ)
4 カンタン・パシェ(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)
5 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
6 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)
2 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)+21秒
3 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)+28秒
4 ロマン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)+30秒
5 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)+32秒
6 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFプロサイクリング)
マイヨヴェール(ポイント賞)
サム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)
マイヨアポワ(山岳賞)
ブノワ・コヌフロワ(フランス、AG2Rラモンディアール)
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアス)
チーム総合順位
モビスター
ステージ敢闘賞
マチュー・ラダニュ(フランス、グルパマFDJ)
動画 ダイジェスト版
第12ステージのルート
ツール・ドフランス出場選手リストはコチラから。
大会WEBサイト
https://www.letour.fr/
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- PHOTO:A.S.O./Alex Broadway,Pauline Ballet,2019 NTT Pro Cycling TEXT:浅野真則
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