TREK(トレック)・マドン SLR9|ニューモデルインプレッション
管洋介
- 2020年11月02日
注目の最新モデルを徹底インプレッション! 今回は今年フルモデルチェンジした軽量ロードのエモンダで初採用された素材、800シリーズOCLVカーボンを採用しさらなる軽量化を達成したトレック最強のエアロレーシングバイク、TREK・MADONE SLR 9(トレック・マドン SLR9)をベテランライダーの管洋介がチェック!
800シリーズOCLVカーボンを採用!
卓越したエアロ性能に軽さをプラスした軽量マドン
トレックが最強のエアロレーシングバイクを目指すマドン。第6世代となる現行は2019年モデルで登場。ロードレース世界選手権でマッズ・ピーダスンが世界王者に輝くなどプロ選手の活躍を支えた。翌年にはセカンドグレードのSLにも同等のテクノロジーを採用し、あらゆるライダーへと門戸を広げた。そして2021年モデルでトップモデルのSLRに素材変更というマイナーチェンジを施し、さらなる軽量化を達成。
新生SLRに採用された素材こそが800シリーズOCLVカーボンだ。今年フルモデルチェンジした軽量ロードのエモンダで初採用された素材だ。これによりマドン史上最軽量としながら強度を30%向上、剛性も従来と同等とした。さらにエモンダ並の軽さを維持しながら、体積が増加するエアロ形状を与えることを可能とした。
より空力性能を追求するマドンへのOCLV800採用は自然な流れであり、大きく応力のかかる部分の使用量を減らし、フレーム単体で80gもの軽量化を達成した。
CFD解析、風洞実験、実走によるテストから導き出されたにKVFエアロチューブ形状によるエアロ性能と、優れた振動吸収性を生み出すアイソスピードは健在。さらに超軽量のアイオロスホイールを搭載するなど、レーシングバイクに求められるすべての要素を兼ね備えた。
フレーム素材を800シリーズOCLVカーボンに一新。700シリーズより30%もの強度向上を果たし、応力のかかる部分の積層を減らすことが可能に。軽量化にも大きく貢献している。
トップチューブに配置される調整式アイソスピードはマドンに最適化されたもの。振動を減衰させるためのダンパーも備えており、ライダーの疲労を効果的に軽減する。
ステム一体式のハンドルバーは、ケーブル類をほぼ完全に内装することが可能。
ジャンクションや機械式コンポーネントのアジャスターを設置できるコントロールセンター。
トレック
マドン SLR9
129万7000円(デュラエースDI2完成車/税抜)
※プロジェクトワン参考価格
■フレーム:800シリーズOCLVカーボン ■フォーク:フルカーボン ■コンポーネント:シマノ・デュラエースDI2 ■ハンドル/ステム:アイオロスRSL VR-Cハンドルバーステム ■シートポスト:マドンエアロカーボン ■サドル:ボントレガー・アイオロスプロ ■ホイール:ボントレガー・アイオロスRSL37 TLRディスク ■タイヤ:ボントレガー・R4 320 クリンチャー ■サイズ:47、50、52、54、56、58、60 ■カラー:マットオニキスカーボン ■試乗車重量:7.0kg(編集部実測54サイズ/ペダルレス)
さらなる軽さを手に入れてレースからロングライドまで対応
管洋介がインプレッション
ダイナミックなエアロボディをもちながらOCLV800カーボンの採用などにより完成車で450gの重量を削ぎ落とすことに成功したSLR9。踏み味のよさが際立ち、ペダル位置で1時あたりの掛かりが穏やかで2時~4時の注力ポイントへスッと押し流してくれ、ハイトルクの巡航でも疲労を感じずに長時間走れる印象だ。
滑らかな加速で作り出したスピードは想像以上に高い推進力に包まれ、高速域でのライディングにかなり余裕をもたせられる。低重心設計とマッチした超軽量OCLV800カーボンの剛性バランスが優れた巡航力を生み出している。また風の流れをさえぎらない流線形状が高い空力性能を発揮していることも体感できる。
ハンドリングはどちらかといえば安定志向だが、ラインを狙いやすく8の字を少し切って探ってみるとバイクがきれいにまわり込んでくれる。巡航力に優れた平地に対して、上りでは軽量なボディを生かし、シッティングに構えて落ち着いたトルクで回し続けるのがいいだろう。レースからロングライドまでハイパフォーマンスな走りができる。
インプレッションライダー
管洋介
競技歴24年のベテランライダーで自身のチーム、アヴェントゥーラサイクリングの代表も務める。長年の経験を生かした的確なインプレッションが持ち味。身長168cm。
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