ケイデンスを上げ、パワーアップできるペダルクリートSkopre/ZEN System CLEAT【TEST ME】
管洋介
- 2020年12月02日
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編集部が気になるパーツやアクセサリーをインプレッション! 今回は斜め後方へ蹴りだすペダリングを実現するロードシューズ用クリート「Skopre/ZEN Systemクリート」をベテランライダーの管洋介がテスト!
下死点の流れをスムーズにして、ケイデンスをアップできるクリート
「Skopre(スコプレ)」から出たロードシューズ用クリート「ZEN System CLEAT(ゼン システム クリート」をWEBページで紹介したところ注目を集め、一時は手に入れることが困難なほど人気となったという。そこで今回は実物を手に入れて、その実力を試してみた。同社では以前かクリートを斜めに取り付けるシムタイプも発売しているが、今回紹介するルックKEO互換クリートのほうが、ずれが少なくより実用的だ。
イタリアのMauro Testa博士による商品テストで、ZEN Slip使用時は非使用時と比べ、ケイデンス80を維持した状態での11分のライダー平均パワーが5%向上し、ペダル下死点でのトルクが20%向上しているという。
一般的なクリートに比べ、ペダル接地面の傾きが8°上向きになるのが特徴。下死点付近のペダリングトルクが最も弱くなる150°~210°にかけて斜め後方へ蹴りだせるようになる。ペダル下死点の入力ベクトル方向を変えることで、ペダリング効率の改善が期待でき、ケイデンスを5~7RPM速くでき、結果パワーが4%上がるとメーカーは謳っている。このためケイデンスの下がりやすいヒルクライムでの使用がより有効だとされている。
ZEN Systemクリート
価格:5180円(税抜)
カラー:オレンジ
対応ペダル:LOOK KEO/Blade
対応シューズ:3ホール
ペダル先が下がるので高ケイデンスを維持できる
高ケイデンスにするにはペダル先を下げるようにペダリングするのが一般的だ。ところがこの場合、加速はよくなるが、膝関節の伸展を中心としたペダリングになるので前モモへの疲労は大きくなってしまう。
逆に背屈、つまりかかとを落として踏むとハムストリングスや殿筋群など持久的な筋を使った走りができるが、クランク位置1時でかかとが下がるためにペダリングがワンテンポ遅れてしまう。
クリートに角度をつけるゼン システムクリートを使えば、ペダルのつま先を下向きにでき、この後者の「かかとを落とすことで、ケイデンスが下がるデメリット」を解決してくれる。つまり、高ケイデンスが可能になる。
パワーはケイデンスとトルクに比例するので、トルクを落とさず、ケイデンスを上げられればパワーも上がることになる。
下死点でもペダル先が下がり、抜けが良くなる
つぎに下死点を見ていこう。ノーマルクリートで高ケイデンスを維持するために、下死点でペダル先を下げようとするとふくらはぎ(腓腹筋)への負担が増えてしまう。しかし、このゼン システムクリートを使うと下死点で意識的にかかとを上げなくてもペダル先が下がり、高ケイデンスペダリングが可能になるのだ。
ヒルクライムではペダリングのスムーズさを実感できる
長距離ライドや大きなトルクがかかるヒルクライムでこのクリートを使うと、本来かかとが下がるシーンでスムーズなペダリングができる。上死点付近から踏み込みが速く、下死点の抜けがスムーズになるので、ペダル1回転ごとの筋への負担があきらかに軽くなった印象だ。
また、ダンシング時の踏み抜けや1回転ごとのつなぎがスムーズになるのも大きな変化だ。
やや厚めのクリートとなるため、サドル高は3~5mm高くする調整と従来と同じフィーリングに近くなる。さらにクリートが厚底になるためトルクキャッチのダイレクト感は少しソフトになり、長距離のライドや高トルク踏み続けるシーンではライダーへの負担を和らげてくれるだろう。手軽に効率の良いペダリングを実現することができる非常に価値のある逸品だ。ただし、クリートのはまりが純正のKEOクリートに比べて緩いので、もがく際には限界を知っておくとよいだろう。
TESTER/管洋介
競技歴24年のベテランライダーでフォトグラファー。普段はルック・KEOペダルとグレークリートを使っていたが、今回ゼン・システムクリートを試し、しっくりきたので普段も使っている。
問:ライトウェイプロダクツジャパン
https://www.riteway-jp.com/
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