日本屈指のグラベル、青森・白神ラインを目指す|筧五郎が青森・白神を往く【前編】
Bicycle Club編集部
- 2021年04月21日
青森、白神山地に40㎞以上続くグラベルロード「白神ライン」がある。日本海と弘前を結ぶ日本有数のグラベルロードだ。酷道の旅をライフワークとする筧五郎さんとフォトグラファー管洋介さんが紹介する。白神山地を2021年10月に走ってきた2人の旅の模様を紹介する。
白神ラインを陽があるうちに攻略するには、スタート地点まで輪行をしなくてはいけない。そこで今回は列車の旅と組み合わせることに。列車の旅では五郎さんも驚く、運命的な出会いがあった。
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筧五郎が青森・白神を往く【後編】
県道28号岩崎西目屋弘前線
青森県西部にそびえる“津軽富士”こと岩木山(標高1625m)。その麓を日本海側の深浦町から弘前市に向けて、「世界遺産 白神山地」を横断するルートは通称「白神ライン」と呼ばれている。
山岳信仰の聖地に囲まれたこの県道はなんと約40kmの未舗装路が続くことで知られている。そしてこの白神ラインが、天狗峠、津軽峠をつなぐグラベルロードであることにカリスマヒルクライマー筧五郎さんの脚がうずいた。
よくよく調べてみると白神ラインを陽があるうちに攻略するには、スタート地点まで輪行をしなくてはいけない行程だとわかった。そこで白神ラインの出発地、深浦町まで弘前市からJR五能線で輪行し、約2時間かけて岩木山をぐるりと回り出発地点をウェスパ椿山駅とした。そして、目的地はグラベル区間を脱出するアクアグリーンビレッジANMON。
旅のお供をするのはカメラマンでかつて2006年に五郎さんとチームメイトとしてレースを走った管洋介さん。紅葉迫る10月に走ってきた「白神ライン」の旅を五郎さんがレポートする。
今回のコース
ウェスパ椿山駅からアクアグリーンビレッジANMONまで3つの峠を越える64km、獲得標高1749mを走った。例年は11月中旬から5月下旬まで冬季閉鎖。2021年は5月30日、12:00開通予定だが、「青森みち情報」などで確認しよう。
まずは弘前から鉄道の旅
AM6:40 弘前駅から 五能線に乗り込むためにホームで待つ
今回の旅はいつもと手法が違う。編集部の山口副編集長からお互いを撮影し合いながらの旅もおもしろいのではないかという提案を受けたのだ。
僕、筧五郎は写真撮影を趣味としている。さらに酷道の旅をはじめてからニコン・D500を新調したほどだ。それなら撮影技術を管さんから教えてもらおうという魂胆だ(笑)。
6時40分、弘前駅からスタート地点のウェスパ椿山駅へ向かう2両編成のJR五能線の快速に乗り込んだ。
列車は独立峰の岩木山をぐるりと一周している。後半は雄大な日本海が広がってくる。2時間半の乗車時間だったが飽きることがなかった。
電車に心地よく揺られながら到着時刻はわかっていても行く先の駅を目で追っていく、僕はとにかく車内の路線図を見るの好きなのだ。小学生の頃は、電車の時刻表クラブの所属していたというのも自慢のひとつ。停車する駅を覗き込んでいるうちに車内で驚きの出会いがあった!
停車する駅をのぞき込んでいるうちに車内で驚きの出会いがあった! どんな驚きかというと、途中駅の五所川原駅を前にドサッと学生たちが乗り込んで来た。賑やかになった車内でたまたま隣に座った女子高校生の背中に「56」の数字、「運命ッ!」と管さんと目を見合わせた! 次の瞬間には思わず話しかけていた……。
その子はマナちゃんといい、部活でバスケットをしているらしく「56」はそのナンバーだということが判明! すかさず僕は持ってきていた56ステッカーをプレゼントし記念撮影!
列車の中で出会った高校生。偶然着ていた「56」ジャージに声をかけ、記念撮影。こうした出会いも旅の楽しさだ
AM9:36 ウェスパ椿山駅へ到着、自転車を組み立ててスタート
こんな出会いもあり、あっという間に到着したウェスパ椿山駅、気分も晴れやかに降りたが空を見上げるなり雨が降ってきた。輪行袋から自転車を取り出し準備をするころにはさらに雨脚が強くなり、スタート時間を30分遅らせた。しかしどうにも、一向に雨が止む気配がないので お互いに顔を見合わせて「出発するか……」と土砂降りのなかをスタートした。
晴れを祈りながら白神ラインの入口、深浦町岩崎まで向かう。
ウェスパ椿山駅で輪行袋から自転車を取り出す。ヴェロトーゼのシューズカバー、カステリ・ガバを着て雨に備える
本州の北端を言うべき壮大な景色、対馬海流が本州に最接近する深浦の日本海を眺めながらのライドはなんだか感慨深い。そして、深浦を起点とする白神ラインの行程は60㎞、世界遺産に指定されている白神山地を通る峠は3つという事以外の事前情報を入れなかった。それは初めて対面する道を心から楽しみたかったからだ。こころなしか山口さんから「グラベルタイヤを履いてきてね」と言われたのが少々気にかかるところだが…。
ウェスパ椿山から国道101号で岡崎海岸へ。県道28号線に入る起点となる岩崎で日本海を眺めに立ち寄った。目まぐるしく変わる天候のなか、偶然晴れ間に恵まれた
岩崎にある白神ラインの入口の碑
プロフィール
筧五郎
全日本マウンテンサイクリングin乗鞍で優勝したほか、シクロクロスマスターズ元日本チャンピオン。酷道の旅をライフワークとする56サイクル店主。名古屋でメンテナンスやトレーニング指導を行う。
www.56cycle.com
管洋介
アヴェントゥーラサイクリングでレースを走りながら、スクールなどで指導を行うプレイングマネージャー。本誌ではインプレライダーとして活躍する。本職はフォトグラファー。
筧五郎が青森・白神を往く「機材編」は4月22日8:00に公開予定です。お楽しみに!
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筧五郎が青森・白神を往く【後編】
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筧五郎が青森・白神を往く【機材編】
青森のサイクリングに関する情報はこちら
青森県サイクル・ツーリズム推進協議会
https://aomori-cycling.com/
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TEXT & PHOTO:筧五郎/管洋介 MAP:オゾングラフィックス
協力:青森県サイクル・ツーリズム推進協議会
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PROFILE
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