BRAND

  • Lightning
  • 2nd(セカンド)
  • CLUTCH Magazine
  • EVEN
  • BiCYCLE CLUB
  • RUNNING style
  • NALU
  • BLADES(ブレード)
  • RIDERS CLUB
  • CLUB HARLEY
  • DUCATI Magazine
  • flick!
  • じゆけんTV
  • 湘南スタイルmagazine
  • ハワイスタイル
  • buono
  • eBikeLife
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • Kyoto in Tokyo

エアロポジション規制。プロサイクリストの意見とジャッジするコミッセールの思い

国際自転車連合(UCI)が今年4月から適用した規制の一つに、サイクリストのレース中の自転車上のポジションに関する規制がある。前回はボトルの投棄について扱ったが、UCIがジロ・デ・イタリアの途中で、このルールを緩和する提案をしはじめた。例えば山岳ステージのラスト50㎞ではボトルの投棄を認めるなどの緩和策を試し、今後の判断材料とするというものだ。

いっぽう、エアロポジション規制についてUCIは態度を変えていない。これは下りで見られていたような、選手がハンドルバーにもたれて身を乗り出したり、トップチューブの上に座るような極端ないわゆる「スーパタック」と呼ばれるエアロポジションについての禁止だ。この決定に対し、プロサイクリストや実際の現場で働くコミッセールはどのような考えを持っているのだろうか。選手、そしてコミッセールの話を紹介しよう。

レースを走るプロ選手の意見は賛否両論

「安全になるだろうけど、最終判断は選手がすべきだ」バルセロ

フェルナンド・バルセロ選手(コフィディス)。写真撮影: 對馬由佳理

まず、コフィディス所属のフェルナンド・バルセロ選手は今回のUCIの決定について、次のように語る。

「今回のエアロポジション規制で、レース中の事故は減るでしょう。でも、同時にプロの自転車選手である以上、どのように自転車に乗ってレースをするのかということは、UCIが規定するのではなく、選手自身が判断すべきだと僕は考えています。

ただ、今はエアロポジションを本当に若いサイクリストがどんどん取り入れています。僕がエアロポジションをマスターしたのはアンダー23のチームに所属していた時でした。でも、先日UCIが規制する前などは、ジュニア(17歳~18歳)の選手もレース中にエアロポジションで山を下っていたと思うんです。

今回のUCIの規制で、若い世代の選手が安全にレースをすることができるようになればよいですね」

今回の規制について問題点は認めるものの、レース中の事故が減るであろうと考えるバルセロ選手。しかし対照的に「今回のエアロポジション規制で、レース中の事故が減ることはない」と話すのは、モービースター所属のイニーゴ・エロセギ選手である。

「プロレースの事故が減ると思えない」エロセギ

イニーゴ・エロセギ選手(モービースター)写真撮影: 對馬由佳理

「じつは今回禁止されたようなエアロポジションが直接的な引き金になって起こるレース中の事故って、プロの世界ではあまりないんです。確かにレース中には『ちょっと危ないかな』と思う瞬間があったりしますが、まわりにはプロのサイクリストしかいませんからね。どんなときにエアロポジションを使う必要があるかなんてみんなわかっていますし、選手一人一人が自分で判断できますから。

たしかにレース中の安全対策は、僕らにとって重要事項の一つです。でも、プロ選手のエアロポジションを禁止したからといって、レースの安全性が高まるわけではないと、僕は思います。UCIが考えるべき安全対策は、他にもたくさんありますし」

今回のエアロポジション規制がレース中の事故を減らすか否かという点に関しては、バルセロ選手とエロセギ選手との間で相違点が見られる。しかし、「プロサイクリストならば、いつエアロポジションを使うのか自分で判断すべき。」という考えは、両選手の意見に共通しているものである。

レースの現場で働く、コミッセールの意見は

いっぽう、このエアロポジション規制を管理する側である、UCIのコミッセールたちはこの件をどのように捉えているのだろうか。5月上旬にスペイン北部のアストリアスのレースで働いていたUCIのコミッセールの一人は記者の質問に対し、次のように話した。

「基本的には、レース中に選手たちが違反とされているようなポジションをとった場合には、わずか数秒の間であったとしても、ペナルティとなることは事実です。

今回のエアロポジションように、レースに大きな影響を与える要因がUCIによって規制されると、選手の間から反発があることは承知しています。じつは、一昔前にUCIがレース中のヘルメット着用を選手に義務付けたときも、やはり選手側から強い反発がありました。でも、いまでは『自転車に乗るときにはヘルメット着用』というのが当たり前になっていますよね。ですから今回のエアロポジション規制により、レース中の事故が減って選手たちの安全が確保されれば、この規制の意味はあったと考えてもよいのではないでしょうか。

でもレースの実際の現場で仕事をしていると、個人的にはいろいろ考えることはあるんです。例えば、レース中に一人で逃げている選手がエアロポジションをとるのは問題ないのかな、と思いますね。もし転倒しても、他の選手を巻き込む可能性は低いですから。」

「レースの安全性」と「選手の決断の自由」の両立がカギに

今回のUCIのエアロポジション規制は、レースの安全の確保が主要な目的となっている。そうしたUCIの意図は理解しつつも、今回の規制が本当にレースの安全性の向上につながるのが、少々疑問に思っている選手も少なくない。

しかし、何より選手たちには「レースをどのように走るのか、という選択の自由を奪われた」という感覚があるのではないだろうか。

レースの安全性と選手たちの決断の自由を両立させる規定が、今後必要になってくるのかもしれない。

 

著者紹介

對馬由佳理
スペイン在住。当地で10年以上ファンとして自転車レースを追いかけた後、ジャーナリストへ転向。スペインで開催される男子のレースはもちろん、女子のレースやパラサイクリングも取材経験あり。
Twitter: @TsushimaYukari
Instagram:yukaritsushima1

SHARE

PROFILE

BiCYCLE CLUB 編集部

BiCYCLE CLUB 編集部

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

BiCYCLE CLUB 編集部の記事一覧

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

BiCYCLE CLUB 編集部の記事一覧

No more pages to load