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トーマスがラスト1kmで奇襲攻撃、集団の猛追かわして勝利_|クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ

フランスで開催されているステージレース、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネは現地63日に第5ステージを行った。175.4kmのレースはめまぐるしく展開が動いたが、勝負が決したのはゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)による残り1kmからのアタック。集団の追い上げをかわしてステージ優勝を挙げた。また、個人総合首位のルーカス・ペストルベルガー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストリア)は集団内でフィニッシュし、マイヨジョーヌを守っている。

残り1kmのヘアピンカーブでトーマスがアタックを成功させる

大会は後半戦を迎えている。前日の個人タイムトライアルで総合順位がシャッフルし、ここからはリーダージャージを賭けた戦いがより激しさを増していくことになる。

本格的な山岳入りを前に、この日は平坦ステージが設けられた。とはいっても、中盤以降に4つのカテゴリー山岳が集中し、そのいずれも登坂距離こそ短いものの勾配が厳しい。とりわけ、フィニッシュ前約12kmで頂上を通過する2級山岳コート・ドゥ・モンルビュは、平均勾配12%・最大勾配15%。瞬間的に20%を超える場所もあり、終盤の争いに変化をもたらす可能性があった。

最大8人でレースをリードした逃げグループには、個人総合3位のカスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ、デンマーク)がジョイン。中間スプリントポイントでは1位通過し、3秒のボーナスタイムを獲得。総合タイムの縮小に成功する。

©︎ A.S.O./ Fabien Boukla

ただ、やはり総合上位の選手が先行することはメイン集団が許さない。逃げからヨセフ・チェルニー(ドゥクーニンク・クイックステップ、チェコ)とライアン・ミューレン(トレック・セガフレード、アイルランド)が抜け出すと、残りの5人はフィニッシュ前50kmまでに集団が吸収。アスグリーンも戻っている。

その後の上りでチェルニーが単独先頭に立つが、これも長くは続かず。代わって、集団から飛び出したスヴェンエリック・ビストラム(UAEチームエミレーツ、ノルウェー)が先頭に立ち、集団に対して1分を超えるリードを得た。

©︎ A.S.O./ Fabien Boukla

メイン集団はイネオス・グレナディアーズとバーレーン・ヴィクトリアスがコントロール。コースの変化や強風を利用して人数の絞り込みを図る場面も見られる。着々とビストラムとのタイム差を縮めると、最後の上りを前に集団へと引き戻す。迎えた2級山岳コート・ドゥ・モンルビュでは、ローソン・クラドック(EFエデュケーション・NIPPO、アメリカ)がアタックするが、完全に抜け出すまではいかず集団へと戻される。この局面では抜け出す選手が現れなかったが、メイン集団が45人程度にまで絞られ、そのままフィニッシュへと急ぐこととなった。

©︎ A.S.O./ Fabien Boukla

残り5kmを切るとテクニカルなコーナーが随所に現れる。こうした中、主導権をとったのはバーレーン・ヴィクトリアス。ジャック・ヘイグ(オーストラリア)が牽引し、ソンニ・コルブレッリ(イタリア)でのスプリント態勢を整える。

しかし、この状況を打ち破ったのはトーマスだった。残り1kmで一気に先頭まで出ると、直後のヘアピンコーナーを抜けて猛然とアタック。番手に入ったチームメートのミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)が意識的に間を開けると、その差はみるみる広がっていく。虚を突かれた集団ではヘイグやミケル・ヴァルグレン(EFエデュケーション・NIPPO、デンマーク)らが追撃。そして残り200mを切ってコルブレッリが前線へ躍り出てトーマスを追いかける。

コーナーを抜けて最後の直線に入ると、トーマスと後続との差が一気に縮まる。そしてフィニッシュラインでは、トーマスとコルブレッリが並ぶようにして通過。結果は写真判定までもつれ込み、ほんのわずかの差でトーマスが先着。奇襲攻撃を成功させ、ステージ優勝を挙げた。

前日の個人タイムトライアルではタイムを伸ばせなかったトーマスだが、これで10秒のボーナスタイムを獲得し、総合タイム差14秒で6位に浮上。山岳ステージを前に好位置につけている。

©︎ A.S.O./ Fabien Boukla

マイヨジョーヌのペストルベルガーは、終始集団前方でレースを展開。ステージ17位で終えて、ジャージは堅実に守っている。

途中トレイン牽引で好アシストの中根英登(EFエデュケーション・NIPPO)は、102位でステージを完了。レース後のツイートでは、ペースの速い1日だったことを振り返っている。

4日に行われる第6ステージから、プロトンはアルプス山脈へと入っていく。167.5kmのコースは、後半に上りが集中。3級山岳のル・サペ=アン=シャルトルーズが今大会最初の山頂フィニッシュとなり、1つ手前の3級山岳コート・ド・ラ・フレットと合わせると、最後の約10kmはひたすら上り続ける格好となる。

ステージ優勝 ゲラント・トーマス コメント

©︎ A.S.O./ Fabien Boukla

「特に計画していたわけではなかった。バーレーン・ヴィクトリアスが長時間の牽引でアシストの人数を減らしていることは分かっていたので、残り1kmでトライしてみることにした。コーナーが変則的であることも把握していて、無線からはタイム差がついたことも伝えられていた。

正直、こんなフィニッシュになるとは思っていなかった。コルブレッリがあまりに速く、追い抜かれたと思ったが結果的に勝てたと分かって安心している。昨日のタイムトライアルにはガッカリしたけど、今日の勝利で立ち直れる。この先の山岳ステージがとても楽しみで、良いテストの場になりそうだ」

個人総合首位 ルーカス・ペストルベルガー コメント

©︎ A.S.O./ Fabien Boukla

「予想通りハードなステージだった。序盤から逃げ狙いのアタックには注意していたが、アスグリーンが先行したことでチームは集団のコントロールを余儀なくされた。それでもチームメートの素晴らしい仕事によって、大きな問題にはならなかった。フィニッシュは狙い通りにはいかなかったが、マイヨジョーヌをもう1日着られるので満足している。明日からは総合系ライダーが活躍する日なので、ウィルコ(ケルデルマン)とパトリック(コンラッド)のために仕事をする。私自身がポディウムに上がることはないと思う」

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2021 第5ステージ 結果

ステージ結果

1 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)4:02’15”
2 ソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)ST
3 アレックス・アランブル(アスタナ・プレミアテック、スペイン)ST
4 カルロス・バルベロ(チーム クベカ・アソス、スペイン)ST
5 マッズ・ウルスシュミット(イスラエル・スタートアップネイション、デンマーク)ST
6 ミケル・ヴァルグレン(EFエデュケーション・NIPPO、デンマーク)ST
7 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグローエ、オーストリア)ST
8 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター チーム、スペイン)ST
9 ハリー・スウェニー(ロット・スーダル、オーストラリア)ST
10 フランク・ボナムール(B&Bホテルズ KTM、フランス)ST
102 中根英登(EFエデュケーション・NIPPO、日本)+6’31”

個人総合成績

1 ルーカス・ペストルベルガー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストリア)16:59’22”
2 アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・プレミアテック、カザフスタン)+0’01”
3 カスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ、デンマーク)+0’06”
4 ヨン・イサギレ(アスタナ・プレミアテック、スペイン)+0’09”
5 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+0’13”
6 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+0’14”
7 イラン・ファンワイルダー(チームDSM、ベルギー)ST
8 リッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ、オーストラリア)+0’16”
9 パトリック・コンラッド(ボーラ・ハンスグローエ、オーストリア)+0’32”
10 ベン・オコーナー(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、オーストラリア)+0’34”
120 中根英登(EFエデュケーション・NIPPO、日本)+30’13”

ポイント賞

ソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)

山岳賞

マシュー・ホームズ(ロット・スーダル、イギリス)

ヤングライダー賞

イラン・ファンワイルダー(チームDSM、ベルギー)

チーム総合成績

ボーラ・ハンスグローエ

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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