地元期待のビッセガーがステージ優勝、逃げ切った3人の勝負を制する|ツール・ド・スイス
Bicycle Club編集部
- 2021年06月10日
ツール・ド・スイスの第4ステージが現地6月9日に行われ、ステージ優勝争いは中盤にメイン集団から飛び出した選手たちの勝負に。最後は3選手による駆け引きを制したシュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・NIPPO、スイス)が勝利。プロ入り後初めてロードレースステージで勝ち星を挙げた。個人総合ではマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)が首位をキープ。引き続きリーダージャージを着用する。
22歳ビッセガーが地元最大のレースでロード初勝利を挙げる
大会は中盤戦へ。この日はザンクト・ウルバンからグシュタードまでの171kmに設定され、レース後半から長く続く上り基調がポイントになった。ステージ唯一のカテゴリー山岳である2級の頂上が残り10kmでやってくる。そこからはフィニッシュめがけての下り。最後の3kmは空港の滑走路を走る。
スタートを前に、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオが大会からの撤退を発表。開幕後のPCR検査にて、チームメンバーの1人に新型コロナウイルスの陽性反応が出たことにより、チーム全体が今大会から引き上げることを決めた。その他未出走の選手も含めて、スタートラインには152選手がついた。
リアルスタート以降逃げ狙いの動きが決まらない時間が長く続いたが、残り100kmを切ってようやくバンジャマン・トマ(グルパマ・エフデジ、フランス)、ジョセフ・ロスコフ(ラリーサイクリング、アメリカ)、ジョエル・スッター(スイスナショナルチーム)の先行が容認される。さらにビッセガーが遅れて合流し、4人の逃げグループが形成された。
その後は着々とリードを広げ、残り50kmではタイム差6分45秒。それからもリードの拡大は続き、残り20kmを目前の7分以上の差を確保。この時点でビッセガーがバーチャルリーダーとなった。
一方、メイン集団はペーシングを図るチームがたびたび現れるも、追撃態勢の構築とはならない。加えて、レース後半に天候が悪化したことでセーフティーを選択するムードへ。一団のままフィニッシュを目指す格好となった。
逃げ切りを濃厚にした先頭では、2級山岳の上りを迎えたところでスッターが遅れ、3人の争いへ。残り13kmからのロスコフのアタックをきっかけに、頂上手前ではトマがカウンターアタックを試みるなど、駆け引きが本格化。ただ、その後の下りや最終盤となる滑走路に入ってからは各選手の仕掛けは決まらず、ステージ優勝争いはスプリントへ。
牽制状態から残り200mでスプリントが始まると、ロスコフの番手につけていたビッセガーが先頭に立ちそのままフィニッシュへ。トマも追い込んだが、それをかわしてビッセガーがステージ優勝。今大会では第1ステージの個人タイムトライアルで2位に入るなど、好調さを示していたビッセガーにとっては、2020年途中のプロ入り後初めてとなるロードレースステージでの優勝を勝ち取った。2位にはトマ、3位にロスコフと続いた。
終盤の下りも安全にクリアしたメイン集団は、先頭3人が牽制に入ったことも関係して、最終的に5分16秒差まで縮めてフィニッシュへと到達。ステージ5位から84位までが同タイムフィニッシュとなり、ファンデルプールら個人総合上位陣はすべてこの中でステージを完了している。
これにより、総合成績での大幅な変動はなく、ファンデルプールが引き続きリーダージャージを着用する。
10日に行われる第5ステージから、本格的な山岳コースへと入っていく。グシュタードからロイカーバートまでの175.2kmは、スタート直後から1級山岳の上りが始まり、上り終えると長く平坦区間を走行。そして残り30kmから再びハードな上りへ。1級山岳を越えて、フィニッシュへと続く平均勾配7%の最終登坂へと向かう。ここまではスプリントや逃げでのステージ決着が多かったが、いよいよ総合系ライダーへ主役が移っていきそうだ。
ステージ優勝 シュテファン・ビッセガー コメント
「目指していたツール・ド・スイスでの勝利をついに達成できた。この結果には本当に満足している。
レーススタート以降望ましくない状況が続いていて、私たち4人の逃げが決まってからようやくプロトンが落ち着いた。そんな難しいレースを勝つことができるなんて予想していなかった。リーダージャージを獲得する可能性はあったのかもしれないが、まったく気にしていない。それよりはステージ優勝することが重要だった。明日からは、チームリーダーのリゴベルト・ウランやヤングライダージャージのニールソン・ポーレスをサポートする」
個人総合首位 マチュー・ファンデルプール コメント
「リーダージャージをもう1日着られてうれしい。第5ステージからは山岳が本格的になるので私には難しいと思うが、できるだけのトライはするつもりだ」
ツール・ド・スイス2021 第4ステージ結果
ステージ結果
1 シュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・NIPPO、スイス)3:46’21”
2 バンジャマン・トマ(グルパマ・エフデジ、フランス)ST
3 ジョセフ・ロスコフ(ラリーサイクリング、アメリカ)ST
4 ジョエル・スッター(スイスナショナルチーム、スイス)+0’23”
5 エドワード・トゥーンス(トレック・セガフレード、ベルギー)+5’16”
6 フアン・モラノ(UAEチームエミレーツ、コロンビア)ST
7 オマール・フライレ(アスタナ・プレミアテック、スペイン)ST
8 マイク・テウニッセン(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)ST
9 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス、イギリス)ST
10 マイケル・マシューズ(チーム バイクエクスチェンジ、オーストラリア)ST
個人総合成績
1 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)12:40’51”
2 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)+0’01”
3 シュテファン・キュング(グルパマ・エフデジ、スイス)+0’04”
4 マキシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)+0’06”
5 マッティア・カッタネオ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イタリア)+0’13”
6 イヴァン・ガルシア(モビスター チーム、スペイン)+0’16”
7 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)+0’17”
8 ニールソン・ポーレス(EFエデュケーション・NIPPO、アメリカ)+0’29”
9 アンドレアス・クロン(ロット・スーダル、デンマーク)+0’37”
10 シュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・NIPPO、スイス)+0’38”
ポイント賞
マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)
山岳賞
ニコラス・ズコウスキー(ラリーサイクリング、カナダ)
ヤングライダー賞
ニールソン・ポーレス(EFエデュケーション・NIPPO、アメリカ)
チーム総合成績
EFエデュケーション・NIPPO
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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