BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

マチューがミュール=ド=ブルターニュで祖父にささげる勝利|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスの第2ステージが現地627日に行われ、名所ミュール・ド・ブルターニュを2回のぼる難コースをマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)が征服。後続にタイム差をつけて勝利するとともに、個人総合でも首位に浮上。ツール初出場で初となるマイヨジョーヌを着用することとなった。

マチューが渾身のアタックで2回のミュールを征服

衝撃の大クラッシュや、世界王者ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)の激走に沸いた第1ステージから一夜明け、この日もブルターニュの丘陵地帯を行くステージが設定された。中盤から終盤にかけて3級と4級のカテゴリー山岳が合わせて6つ詰め込まれ、なかでもツールではおなじみの急坂ミュール=ド=ブルターニュは2回の登坂。距離にして2km、平均勾配6.9%の上りは、フィニッシュへ直結する2回目の上りで大きく動くことが想定された。

レースを前に、前日のクラッシュで両手を骨折したマルク・ソレル(モビスター チーム、スペイン)の未出走が発表された。これで、前日のリタイア3選手に続く大会離脱。同様に大きなダメージを負ったクリストファー・フルーム(イスラエル・スタートアップネイション、イギリス)らは精密検査の結果、骨折は見られず、このステージに臨むこととなった。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

リアルスタートからアタックがかかり、10km過ぎに逃げグループが形成される。徐々に人数を増やして、6人がレースをリード。メイン集団に対して最大で4分ほどのタイム差を得て進む。先行する間、山岳賞のマイヨアポワを着るイーデ・スヘリンフ(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)とアントニー・ペレス(コフィディス、フランス)が激しく同賞のポイント争い。それぞれ1回ずつ1位通過を果たした。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

また、85km地点に設定された中間スプリントポイントは、逃げグループからエドワード・トゥーンス(トレック・セガフレード、ベルギー)がトップで通過。メイン集団は2分後に到達し、カレブ・ユアン(ロット・スーダル、オーストラリア)が先頭をとって全体の7位通過。9ポイントを獲得した。

こうしている間に、逃げグループとメイン集団とのタイム差は徐々に縮小。フィニッシュまで残り距離80kmを切ったところで、その差は1分台となる。この状況から、逃げではトゥーンスが3つ目の4級山岳を1位通過したのをきっかけにペースアップ。ここにジェレミー・カボ(チーム トタルエナジーズ、フランス)も続いて、2人逃げの態勢に移る。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

メイン集団は逃げから落ちてきた選手たちを拾いながら、先頭2人との差を一定に保って進行。終盤に向けてペースが上がってくると、その差は縮まる一方に。残り18kmで、最後まで逃げ続けていたトゥーンスを捕まえ、レースはふりだしに戻った。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

そこからは、1回目のミュール=ド=ブルターニュ登坂に向けて集団の緊張感が高まっていく。いよいよ上りに入ると、早々にファンデルプールがアタック。メイン集団はUAEチームエミレーツを中心に一定ペースで上るが、今大会最初のボーナスポイントが頂上に設定されたこともあり、有力選手たちが徐々に加速。ここはファンデルプールが1位通過を果たし8秒のボーナスを獲得するが、すぐにタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)、プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)が2位、3位と続き、それぞれ5秒と2秒のボーナスタイムをゲット。同時に、ファンデルプールは集団へと戻った。

いったん下って迎える2回目へは、イネオス・グレナディアーズが人数をかけて集団をコントロール。そのまま上りに突入すると、一時的に先行する選手が現れたが展開には大きく影響せず。イネオス勢の牽引は上り中腹まで続いた。

集団の活性化は、残り1.3kmでのナイロ・キンタナ(チーム アルケア・サムシック、コロンビア)のアタックから始まった。すかさずファンデルプールがチェックに動くと、集団前方に位置していた選手たちも追随。さらに残り900mでソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)が動くと、またもファンデルプールが対応。この直後、有力選手たちが一瞬見合ったところで、決定的瞬間が訪れた。

わずかにスピードが緩んだタイミングでファンデルプールが渾身のアタック。これには誰も続くことができず、差は広がる一方。完全にファンデルプールの独走となり、あとはフィニッシュへと急ぐだけ。メイン集団は総合系ライダーも含めての小集団スプリントが始まったが、先頭までは届かない。ミュール=ド=ブルターニュの上り2度ともトップで駆け抜けたファンデルプールが、初のツールながら実力通りの走りを披露。ステージ優勝を決めた。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

ファンデルプールといえば、かつてツールで「万年2位」といわれながらフランスのファンに愛されたレイモン・プリドールを祖父に持つサラブレッド。ジュニア時代からその才能をいかんなく発揮し、現在はシクロクロスの世界王者に君臨。今年の東京五輪ではマウンテンバイクで金メダルを狙う万能ライダー。フィニッシュではおととし亡くなった祖父に向けてか、天に向けて人差し指を指して喜びのサインを見せた。

この6秒後に、ポガチャルが2位、ログリッチが3位となってボーナスタイムを獲得。ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)も同タイムで続いた。さらに2秒置いて、アラフィリップらメイン集団がレースを終えた。

これらの結果から、ボーナスタイムも合わせてこの日だけで24秒を稼ぎ出したファンデルプールが個人総合首位に浮上。初のマイヨジョーヌ着用をかなえた。前日勝利のアラフィリップは8秒差の2位。同様にボーナスタイムを獲ったポガチャルが13秒差の3位、ログリッチが14秒差の4位に位置している。

なお、このステージではゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)、ミゲルアンヘル・ロペス(モビスター チーム、コロンビア)、ヤコブ・フルサン(アスタナ・プレミアテック、デンマーク)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード、イタリア)がメイン集団から後退。ファンデルプールから23秒差のパックで終え、総合系ライダーの中では後れを取る格好となっている。

開幕から2日間、丘陵地帯を走り上位陣にタイム差が発生したが、翌28日の第3ステージは今大会初となる平坦区間。182.9kmのレースは、細かな変化こそあるものの、ようやくスプリンターが主役となる日が訪れそうだ。マイヨジョーヌのファンデルプールは、問題なく走ればジャージはキープできるだろう。

ステージ優勝、マイヨジョーヌ マチュー・ファンデルプール コメント

©︎ A.S.O./Charly Lopez

「これこそが私の勝ち方だ。計画していたわけではないが、1回目の(ミュール=ド=ブルターニュの)上りで得たことを最後に生かした。今日がマイヨジョーヌを手に入れる最後のチャンスだと思っていたので、1回目からボーナスタイムを狙っていった。

残り800mで仕掛けたとき、誰も追ってこなかったのであとは踏み続けるだけだった。最後の500mは本当に苦痛だったが、勝つためには全力を尽くすしかないことは分かっていた。マイヨジョーヌを着られると知ったのはフィニッシュから5分ほどしてのこと。本当に最高の瞬間だった。昨日はフラストレーションの溜まるレースだったけど、今日は昨日と比べてはるかに調子が良かった。

祖父はもうこの世にはいないけど、もしここにいたらどれだけ誇りに思ってくれるだろうか。それはいつも母と話していることなんだ」

ツール・ド・フランス2021 第2ステージ 結果

ステージ結果

1 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)4:18’30”
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’06”
3 プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)ST
4 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)ST
5 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)+0’08”
6 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード、オランダ)ST
7 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)ST
8 セルヒオ・イギータ(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)ST
9 ピエール・ラトゥール(チーム トタルエナジーズ、フランス)ST
10 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)ST

マイヨジョーヌ(個人総合成績)

1 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)8:57’25”
2 ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)+0’08”
3 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’13”
4 プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)+0’14”
5 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+0’24”
6 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)+0’26”
7 バウケ・モレマ(トレック・セガフレード、オランダ)ST
8 セルヒオ・イギータ(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)ST
9 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)ST
10 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)ST

マイヨヴェール(ポイント賞)

ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ、フランス)

マイヨアポワ(山岳賞)

マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)

マイヨブラン(ヤングライダー賞)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合成績

チーム ユンボ・ヴィスマ

 

ツール・ド・フランス スタートリスト&コースプレビュー

ダイジェスト動画はこちら

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load