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ポガチャル猛攻でマイヨジョーヌ! アルプス初日はトゥーンス勝利|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス2021はアルプス山脈での本格山岳ステージへ。2連戦の初日は、レース後半に3連続の1級山岳登坂。ここを最後まで1人逃げ切ったディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス、ベルギー)が勝利。2年ぶりのステージ優勝を果たした。そして、マイヨジョーヌ争いにも大きな変化。王者タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が山岳で猛攻撃。ライバルを完全にふるい落とし、逃げていた選手たちに合流してフィニッシュへ。ライバルを引き離してのステージ4位で、個人総合でも首位に浮上した。

ポガチャルが1級山岳でアタック、ライバルを圧倒

大会第1週も残り2日となり、総合争いにかかわってくる重要なステージがやってきた。オヨナからル・グラン=ボルナンまでの第8ステージは、150.8kmのレース距離に5つのカテゴリー山岳が含まれた。とりわけ、最後の5kmはコート・ド・モン・サクソネ(登坂距離5.7km、平均勾配8.3%)、コル・ド・ロム(8.8km8.9%)、コル・ド・ラ・コロンビエール(7.5km8.5%)と、1級山岳が3連続。タフな上りが続くことはもとより、コロンビエール頂上からフィニッシュまでの約15kmのダウンヒルも攻撃ポイントの1つ。過去8回ル・グラン=ボルナンでフィニッシュしているが、この街への下りで思わぬ大差がついたこともある。

迎えたレースは、リアルスタート直後の無印の上りから動いた。プロトンはリアルスタート直後から激しいアタックの打ち合いとなり、繰り返される出入りで逃げが決まらないだけでなく、早々に遅れる選手も続出。早い段階で後方でレースを進めることにしたマーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イギリス)に限らず、前日のステージで遅れたプリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)、さらには総合を争う1人と目されていたゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)、個人総合9位でスタートしたピエール・ラトゥール(チーム トタルエナジーズ、フランス)も脱落。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

この間もメイン集団はハイペースで進行し、そのまま44.8km地点に設定された中間スプリントポイントへ。マイケル・マシューズ(オーストラリア)擁するチーム バイクエクスチェンジが主導権を握ったが、その後ろからタイミングを計ったソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)がマシューズをかわしてトップ通過。ポイント賞争いでの追撃意思を示す。

この直後に20人ほどがペースアップを試み、そこにポガチャルもジョイン。再び全体の活性化を呼び、個人総合2位でスタートしたワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)もメイン集団から飛び出すなど、慌ただしい時間が続いた。

その後ポガチャルらはメイン集団に戻り、前を行く選手たちはシャッフルの末に18人で落ち着く。総合に関係しない選手たちだけで構成されたこともあり、集団はUAEチームエミレーツのコントロールで進むこととなった。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

レースはあっという間に後半へ。本格的な山岳区間へと突入すると、1つ目の1級山岳コート・ド・モン・サクソネで逃げるメンバーの脚の差が徐々にはっきりとしてくる。頂上を目前にケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード、フランス)がアタックするも、これは失敗。代わってワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)が先頭に立って1位通過。この前の3級と4級の上りでも1位で通過しており、快調に山岳ポイントを稼ぎ出す。

この後の下りではセーアン・クラーウアナスン(デンマーク)とティシュ・ベノート(ベルギー)のチームDSM勢が加速。一緒に逃げてきた選手たちを引き離して、次の登坂区間へと向かう。続く1級山岳コル・ド・ロムに入ったところでベノートが役目を終えて、クラーウアナスンが独走に。しかし、これは長くは続かず、単独で追ってきたマイケル・ウッズ(イスラエル・スタートアップネイション、カナダ)がパス。このままクラーウアナスンは遅れ、ウッズから1分ほどの差で追走グループが続く形となる。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

ときを同じくして、メイン集団でも情勢は変わりつつあった。UAEチームエミレーツ勢がペースを上げると、徐々に人数が絞られていく。特にダヴィデ・フォルモロ(UAEチームエミレーツ、イタリア)の牽引は強力で、ここまで耐えてきたマイヨジョーヌのマチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス、オランダ)や個人総合6位につけるヴィンチェンツォ・ニバリ(トレック・セガフレード、イタリア)らが後退。さらにはファンアールトも遅れ始める。

そして大きな局面は残り38kmで訪れた。メイン集団が数える程度になったところでついにポガチャルがアタック。一度はリチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)が反応したが、数キロ進んだところで再アタックするとカラパスはたまらず遅れだす。総合争いのライバルたちを後ろに置き去りにして、ポガチャルは先を急いだ。

先頭ではウッズがコル・ド・ロムを1位通過し、その後の下りもこなして最後の上りとなるコロンビエールへ。しばらくは1人で上っていたウッズだったが、追走グループから抜け出していたトゥーンスが中腹で合流。このまま2人逃げで行くかと思われたが、頂上まで1kmを切ったところでトゥーンスがウッズを引き離すと、そのまま逃げ切りをかけて独走態勢に入った。

©︎ A.S.O./Pauline Ballet

後方では、ポガチャルが猛攻を続けていた。逃げからこぼれた選手たちを次々とかわし、さらには2番手を走っていたウッズもパス。トゥーンスから20秒ほどの差で頂上に到達。この頃には、カラパスやその後ろを走るメイン集団との差は大きくなっており、あとはどの程度のタイム差でフィニッシュするかがポイントになっていた。

ポガチャルに迫られていたトゥーンスだったが、降り続く雨の中で下りも攻めて、再びタイム差拡大に成功。一方でポガチャルはセーフティを選択するとともに、再合流してきたウッズやヨン・イサギレ(アスタナ・プレミアテック、スペイン)とのパックを形成し終盤を走行。リスクを回避しながら残り距離を減らした。

後半にかけて独走に成功したトゥーンス。一番にフィニッシュへとやってくると、天に指を掲げて勝利の瞬間を迎える。バーレーン・ヴィクトリアスは、総合エースのジャック・ヘイグ(オーストラリア)を第3ステージでの大クラッシュで失ったが、目標を切り替えて前日のマテイ・モホリッチ(スロベニア)に続く逃げ切り勝利。この日トゥーンスと一緒に逃げでレースを進めたプールスが山岳賞争いで首位に立ち、さらにはコルブレッリがポイント賞を狙う構えとあり、多くのターゲットをもって戦いを続けていく。

そして2位争い。最後はポガチャルをかわしたイサギレが2位、ウッズが3位をそれぞれ確保。ポガチャルはスプリントに絡めなかったものの十二分にタイムを稼ぎ出すことに成功。

©︎ A.S.O./Charly Lopez

その後逃げていた選手たちがレースを完了させ、メイン集団はトゥーンスから49秒差、ポガチャルからは320秒差でフィニッシュへ。ポガチャルを追ったカラパスは最終局面を前にこのグループに引き戻される形になっている。このグループから136秒遅れてファンアールトが走り終えている。

これらの結果に加えて、この日までマイヨジョーヌを着続けたファンデルプールが20分以上遅れてレースを終えたこともあり、ポガチャルが一気に個人総合首位へ浮上。スタート時は343秒あった総合タイム差を、このステージだけで完全にひっくり返した。何とか持ちこたえた形のファンアールトが148秒差の2位。さらに、メイン集団でレースを終えた選手たちが続くが、3位のアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・プレミアテック、カザフスタン)で438秒差。早くもポガチャルが大きなリードを得つつある。

また、序盤に後方へと下がったログリッチとトーマスは実質最終グルペットとなる35分差の大集団でステージを完了。総合争いからは完全に退いている。

1週の最後となる第9ステージは、クリューズからティニュまでの144.9km。こちらもアルプスの山々をめぐるコースが用意され、中盤には今大会最初の超級山岳であるコル・デュ・プレ(登坂距離12.6km、平均勾配7.7%)へ。その後2級山岳コルメ・ド・ロズランを挟み、いったん下ってティニュを目指す21kmの長距離登坂にトライする。1級山岳ポイントを通過後に1.9km走ってフィニッシュラインを迎える。

ティニュといえば、2019年大会の第19ステージで降雹によってレース打ち切りとなり選手たちがたどり着けなかった街。2年越しのライダー到達の日を迎えることとなる。

ステージ優勝 ディラン・トゥーンス コメント

©︎ A.S.O./Charly Lopez

「素晴らしいレースになった。今年はここまで目標が思うように達成できずにいたが、ようやく祝えるような結果が出た。この勝利は、先日亡くなった祖父にささげたい。彼の葬儀はツール開幕の1週間前の出来事で、今日の最後10kmはそのことばかり考えていた。とても感情が揺さぶられた。

レースそのものは難しいものだった。序盤はストレスのたまる流れだったし、60人近い選手が一気に前へ出たタイミングもあったので、逃げるのは厳しいかとも思っていた。チームとしては、プールスでの山岳賞ジャージを意識していたので、私ができるだけ彼のフォローをしたいと思っていた。最後から2つ目の上り(コル・ド・ロム)で周りが急激にペースを上げたのでついていくことができなかったが、自分に合ったペースを維持しているうちに状況が良いものとなった。正直、最後はポガチャルに追いつかれるのではないかと不安だったが、逃げ切ることができて良かった」

マイヨジョーヌ、マイヨブラン タデイ・ポガチャル コメント

©︎ A.S.O./Charly Lopez

「ここまでのレース展開は予定していなかった。まずはレースの流れを見ながら、そのときどきで判断するつもりだった。スタート直後からハードで、とても慌ただしかった。ただ、雨の天候が自分に合っていたし、3つの1級山岳を前に周りが苦しんでいるような様子だったので、チームメートにレースを崩そうと話した。フォルモロ、ルイ・コスタ(ポルトガル)、ブランドン・マクナルティ(アメリカ)がペースを上げて、あとは自分が攻めるだけだった。狙った通りになって今は満足している。

ライバルチームはわれわれを崩せると思っていたかもしれないが、私はチームメートがそれ以上の働きをしてくれると信じていた。それは昨日のレースで実感していた。これからは誰が最大のライバルになるか、日々チェックしていきながら走る。マイヨジョーヌを獲って、チームととしても力をあることが今日は証明できた」

ツール・ド・フランス2021 第8ステージ 結果

ステージ結果

1 ディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス、ベルギー)3:54’41”
2 ヨン・イサギレ(アスタナ・プレミアテック、スペイン)+0’44”
3 マイケル・ウッズ(イスラエル・スタートアップネイション、カナダ)+0’47”
4 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)+0’49”
5 ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)+2’33”
6 サイモン・イェーツ(チーム バイクエクスチェンジ、イギリス)+2’43”
7 オレリアン・パレパントル(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)+3’03”
8 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)ST
9 マティア・カッタネオ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イタリア)+4’07”
10 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+4’09”

マイヨジョーヌ(個人総合成績)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 29:38’25”
2 ワウト・ファンアールト(チーム ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)+1’48”
3 アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・プレミアテック、カザフスタン)+4’38”
4 リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)+4’46”
5 ヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+5’00”
6 リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ、エクアドル)+5’01”
7 ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)+5’13”
8 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+5’15”
9 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+5’52”
10 ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)+6’41”

マイヨヴェール(ポイント賞)

マーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ、イギリス)

マイヨアポワ(山岳賞)

ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)

マイヨブラン(ヤングライダー賞)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合成績

バーレーン・ヴィクトリアス

 

ツール・ド・フランス スタートリスト&コースプレビュー

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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