UAEがオイルマネーで爆買い、ポガチャルと共闘へ!ストーブリーグ続報|ロードレースジャーナル
福光俊介
- 2021年08月14日
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vol.12
UAEが即戦力を次々獲得
充実補強のボーラもウラソフ加入を決める
国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。前回に引き続いて、8月に解禁された移籍市場をチェックしていこう。8月第2週は「UAEウィーク」とばかりに、UAEチームエミレーツのビッグネーム獲得が次々と発表された。その他チームの有力選手加入も含めて、幅広く押さえていく。
UAEは大型補強でスーパーチームの階段駆け上がる
ツール・ド・フランス2連覇のタデイ・ポガチャル(スロベニア)を擁し、すっかりビッグチームとしての軌道に乗った感のあるUAEチームエミレーツ。その勢いは、来季加入が決定した選手たちの実力からもうかがえる。
移籍市場解禁直後はジョアン・アルメイダ(ドゥクーニンク・クイックステップ、ポルトガル)の獲得と、7月下旬に明らかになっていた新人のフィン・フィッシャー=ブラック(ニュージーランド、ユンボ・ヴィスマデヴェロップメントチーム)の来季加入発表にとどまっていたが、8月第2週に前後して次々と獲得選手を発表。
まず、8月7日にパスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグローエ、ドイツ)が来季から加入すると発表。スプリント戦線にメドが立つと、翌日には1週間程度のステージレースに強いマルク・ソレル(モビスター チーム、スペイン)の獲得も明らかにした。
週が変わって、アルメイダのチームメートでもあるアルバロホセ・ホッジ(コロンビア)も加わることが明らかに。来季からはアッカーマンとの双頭態勢でスプリント勝利量産を狙っていく。
そして、8月10日にはグランツールでの上位進出経験のあるジョージ・ベネット(ニュージーランド)をチーム ユンボ・ヴィスマから獲得することも発表。自身が総合エースとして走るレースはもとより、ポガチャルを支える山岳アシストとして、さらには先に入団が決まった同国のフィッシャー=ブラックの成長を後押しするとの意欲も見せている。
これだけのメンバーをそろえられるあたりは、産油国UAE(アラブ首長国連邦)による豊富な資金あってのもの。加えて、2027年までの契約延長を決めたポガチャルを軸にチームを構築していこうという本気度を感じさせる。
戦力の充実は、右肩上がりのチームにどんな効果をもたらすか。いまから楽しみが膨らむ。
ウラソフの加入でボーラはグランツールのタイトル視野に
スプリンターから総合系ライダーまで、どこからでも勝てる態勢を整えている点で、UAEチームエミレーツと共通しているのがボーラ・ハンスグローエ。
前回のこのページでサム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ、アイルランド)やジャイ・ヒンドレー(チームDSM、オーストラリア)、セルヒオ・イギータ(EFエデュケーション・NIPPO、コロンビア)らが加わることをお伝えしたが、8月9日にはアレクサンドル・ウラソフ(アスタナ・プレミアテック、ロシア)の獲得も発表。
今年のツール・ド・フランスではウィルコ・ケルデルマン(ドイツ)が個人総合5位と、総合エースの責務を果たしたが、ジロ総合表彰台経験者のヒンドレー、そして今年のブエルタ・ア・エスパーニャで個人総合優勝候補にも挙がっているウラソフと、来年はすべてのグランツールを席巻できるだけのオールラウンダーをそろえられることになった。こちらも、ベネットらスプリンター陣とどのようにチーム構築を図るのか注目。
そのほかでは、エステバン・チャベス(チーム バイクエクスチェンジ、コロンビア)がオリカ・グリーンエッジ時代から8年間歩んだ現チームに別れを告げ、来年からはEFエデュケーション・NIPPOへ。同国の先輩であるリゴベルト・ウランとともに、グランツール戦線で上位進出を目指すと宣言。
経験・実績申し分なしのトニー・ガロパン(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)はトレック・セガフレードへ。チームがレイディオシャック・レオパードとして活動していた時期に所属しており、9年ぶりの古巣へ。移籍後はチームキャプテンとしての期待もかけられている。また、スプリントから上りまでこなせる若手のステファノ・オルダーニ(ロット・スーダル、イタリア)は、スプリント王国のアルペシン・フェニックスへ。マチュー・ファンデルプール(オランダ)らとともに、一大勢力となりつつあるチームをさらに押し上げる構えだ。
ビッグトピック必至のストーブリーグに引き続き注目を
ロードレースシーンにおける移籍のシステムや、決定までの経緯は前回の記事を参照されたい。今年はビッグネームの移籍または現チームとの契約延長が続々決まることが予想されている。今後も大きなトピックがあり次第、随時お届けしていきたい。
福光 俊介
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。
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- Bicycle Club
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- TEXT:福光俊介 PHOTO:BORA - hansgrohe / Bettiniphoto UAE Team Emirates RCS SPORT A.S.O./Charly Lopez
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PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。