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伝説峠コバドンガでログリッチ圧勝!ベルナルとの一騎打ちを制してマイヨロホも奪還|ブエルタ第17ステージ

熱戦が展開されているブエルタ・ア・エスパーニャは現地91日、第17ステージを実施。山岳2連戦の初日は、残り61kmからエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)とプリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)が抜け出してそのまま一騎打ちに。最後は、伝説の山・コバドンガでログリッチがベルナルを振り切り、後続にも大差をつける圧勝劇。8日ぶりに個人総合首位となり、マイヨロホを奪還した。

ログリッチがコバドンガでベルナルを引き離し、マイヨロホを8日ぶり奪還

大会は残すところ5ステージ。この日から2日間は、カンタブリアの急峻な山々をプロトンが駆け抜けていく。山岳連戦の初日は、ウンケラからラゴス・デ・コバドンガまでの185.8kmに設定。ほぼ等間隔にカテゴリー山岳が控え、上りいずれも登坂距離が長いのが特徴。

まずレース前半に3級の上りで脚の具合を確かめたら、1級山岳ラ・コリャダ・リョメナへ(登坂距離7.6km、平均勾配9.3%)。レース中盤にそびえるこの山を2回上ることになる。ボーナスタイムが設定される2度目の上りを終えると、25kmのダウンヒルを経て、いよいよ超級山岳ラゴス・デ・コバドンガへと向かっていく。

これまでも数々の名勝負が生まれた名峰は、登坂距離12.5km、平均勾配6.9%。ただ、それは点在するわずかな平坦と下りを含んだ数字。上りだけ見れば平均勾配10%を超え、フィニッシュ前2.5kmでは最大勾配20%に及ぶ急斜面も待ち受ける。獲得標高は約3500m。マイヨロホ争いにおいて、大きな局面となる1日であることは間違いない。

そんなレースは、リアルスタートからアタックとキャッチの繰り返し。逃げが決まったと思えば集団に引き戻される流れが続き、上りがありながらも最初の1時間は50.3kmと驚異的なハイペースで進行する。この間、3級山岳を通過しており、集団を引いていたヤン・ポランツ(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が1位通過。山岳賞を争うダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)、ロマン・バルデ(チームDSM、フランス)が2位、3位と続いた。また、今大会でマイヨロホを1日着用したケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード、フランス)が集団のペースについていけず、やがてリタイアしている。

出入りが繰り返される状況に変化が見られたのは、1級のラ・コリャダ・リョメナ登坂1回目。約30人が集団を飛び出したのち、この上りで4人が先行。さらに9人が追走し、中腹で合流。1分前後のタイム差で続くメイン集団からミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス、スペイン)もアタックし、すぐに先頭グループまでブリッジ。こうしている間に頂上へ到達し、今大会好調のマイケル・ストーラー(チームDSM、オーストラリア)が1番に通過。タイミングを同じくして、メイン集団ではマイヨロホを着るオドクリスティアン・エイキング(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ノルウェー)がハードな上りに耐え切れず遅れ気味に。その後の下りで集団へと戻るが、ジャージキープは厳しい情勢となっていく。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

ダウンヒルに入ると同時に雨が降り始め、路面は徐々にウェットに。大多数の選手がセーフティに進む中、先頭グループからオリヴィエ・ルガック(グルパマ・エフデジ、フランス)だけが攻めの下りを見せて独走に持ち込む。他の先行メンバーは下り終えたところですべて集団へと引き戻され、ルガック1人逃げの状態でラ・コリャダ・リョメナ2回目の登坂へと向かった。

ただ、ルガックの逃げも、上り始めてすぐに集団がキャッチ。登坂を2つ残した状態でレースはふりだしへと戻る。集団のペースが緩むことはなく、エイキングが再びドロップ。この直後に、重要局面がやってくる。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

上りの前半、フィニッシュまで61kmを残すところで、ここまで個人総合7位のベルナルが敢然とアタック。これに続いたのは同3位のログリッチだけ。他の個人総合上位陣では同5位のミゲルアンヘル・ロペス(モビスター チーム、コロンビア)が追う姿勢を見せるが、アシスト陣が集団をペーシングするバーレーン・ヴィクトリアスによって引き戻される。その間もベルナルはハイペースで飛ばし、それをログリッチがチェックする構図が続き、約40秒差で頂上を通過。ここにはボーナスタイムも設定され、1位通過のベルナルが3秒、2位通過のログリッチが2秒を手にしている。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

先頭の2人は、強い雨で路面のウェットコンディションが増す中を攻めのダウンヒル。ベルナルが危うくコースアウトする寸前のピンチもありながら、集団との差は広がっていく一方。下り終える頃には2分近くまで拡大した。先頭2人に比べ安全に下った集団の後ろでは、上位戦線に踏みとどまりたいエイキングが追いかけたが、他選手のクラッシュを避けようとした際に自らも落車。足止めを余儀なくされ、集団復帰はかなわなかった。

コバドンガを前にした少しばかりの平坦区間で集団がペースを戻して、先頭2人との差を130秒ほどに縮めたが、上りが始まるとタイムギャップの変化は小さめに。協調体制に入っていたログリッチとベルナルのどちらかがステージ優勝するのは濃厚な情勢となった。

そして、コバドンガの上りに入って残り7.5km、決定的な瞬間がやってきた。ここまで淡々とレースを進めてきたログリッチが、長く攻め続けたベルナルを徐々に引き離していく。これを受けてログリッチはペースを上げて、フィニッシュのある頂上まで突き進んでいく。一方、失速気味のベルナルはメイン集団の標的に。この頃には、集団は個人総合4位でスタートしたエンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)、同5位ロペス、同6位ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)、同8位アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)、同9位セップ・クス(チーム ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)、同12位ジーノ・メーダー(バーレーン・ヴィクトリアス、スイス)に絞られる。ロペスやマスが断続的にアタックし、それに他選手が反応しているうちにベルナルまで目前に迫っていた。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

完全に独走となったログリッチは、頂上前の下りにもしっかり対処して最終局面へ。最後まで踏みやめることなく走り抜け、雄たけびを上げながらフィニッシュラインを通過。エイキングと個人総合2位のギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)が大きく遅れたこともあり、8日ぶりにマイヨロホを取り戻すことに成功。一度手放したときは戦術的にジャージを譲る形だったが、勝負どころで力でもってしっかりとリーダーの座を奪い返した。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

ログリッチ圧勝から135秒後、精鋭グループがフィニッシュへとやってきた。残り2kmでクスが自身の総合ジャンプアップをかけてアタックし、同時にベルナルをパスしたが、ここは他のメンバーも反応。最終的に7人のパックのままフィニッシュへ。2位争いのスプリントはクスが制し、ロペスが3位で続いた。このステージで最大の見せ場を作ったベルナルは7位だった。

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

その後も上位戦線を行く選手たちが続々と頂上に到達。結果的に、個人総合の上位2人が遅れたことで他の有力選手の順位が上へとスライドする格好になった。ログリッチの個人総合首位浮上に続き、マス、ロペス、ヘイグが2ランク上げてそれぞれ2位から4位を占める。マルタンが5位となり、ベルナル、イェーツ、クスが6位から8位に位置。ヘイグを支えたメーダーも10位に浮上した。また、ここまで7日間マイヨロホを着続けたエイキングは9分以上遅れてのフィニッシュとなり、総合では11位へと下げた。

なお、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は108位でステージを完了。上位進出するチームメートをアシストする任務を継続する。

山岳2連戦の2日目、第18ステージはサラスからアルトゥ・デル・ガモニテイルまでの162.6km。レース中盤までに1級山岳サン・リャウリエンス(登坂距離9.9km、平均勾配8.6km)と同じく1級山岳アルトゥ・ラ・コベルトリア(7.9km8.6%)を登坂。いったん下りと平坦路を進んだのち、2級山岳アルトゥ・ラ・セガ・オ・デル・コルダル(12.2km3.8%)を経由して、ブエルタ初登坂の超級山岳アルトゥ・デル・ガモニテイルへ。登坂距離14.6km、平均勾配9.8%の上りは、前半が11%を超える急勾配区間。中腹の緩斜面を抜けて、後半も急勾配が待ち受ける。そしてフィニッシュ前で最大勾配17%に。マイヨロホをかけた我慢比べは、決定的なシチュエーションを迎えることになる。

ステージ優勝、マイヨロホ プリモシュ・ログリッチ コメント

©︎ Luis Angel Gomez / Photo Gomez Sport

「常にリスクがあり、どんなことでも起こりうるのがサイクリングだ。そんな中で今日はとてもうまくいったし楽しかった。私にとっても、チームにとっても素晴らしい1日になった。何も考えずエガン(ベルナル)と進んでいくことを決めたが、我に返った時に先は長いと感じてしまった……。ただ、順調にレースを進めることができた。最後の上りでギヤをあげたが、エガンがついてきていなかったのでそのまま1人で行くことにした。今大会一番の走りができたと思う。応援の声もうれしかったし、天気は悪かったけど気にならなかった。総合タイム差は決して大きいとは言えないが、まずは十分な走りだ。明日がクイーンステージだと思うので、ライバルとの差を確かめながら走りたい」

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第17ステージ 結果

ステージ結果

1 プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)4:34’45”
2 セップ・クス(チーム ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+1’35”
3 ミゲルアンヘル・ロペス(モビスター チーム、コロンビア)ST
4 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)ST
5 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)ST
6 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)ST
7 エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)ST
8 ジーノ・マーダー(バーレーン・ヴィクトリアス、スイス)ST
9 ルイス・メインチェス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、南アフリカ)+2’29”
10 クレモン・シャンプッサン(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)+2’44”
108 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+38’38”

個人総合(マイヨロホ)

1 プリモシュ・ログリッチ(チーム ユンボ・ヴィスマ、スロベニア) 68:42’56”
2 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+2’22”
3 ミゲルアンヘル・ロペス(モビスター チーム、コロンビア)+3’11”
4 ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス、オーストラリア)+3’46”
5 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+4’16”
6 エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)+4’29”
7 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+4’45”
8 セップ・クス(チーム ユンボ・ヴィスマ、アメリカ)+5’04”
9 フェリックス・グロスシャートナー(ボーラ・ハンスグローエ、オーストリア)+6’54”
10 ジーノ・マーダー(バーレーン・ヴィクトリアス、スイス)+6’58”
120 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス、日本)+3:20’45”

ポイント賞(プントス)

ファビオ・ヤコブセン(ドゥクーニンク・クイックステップ、オランダ)

山岳賞(モンターニャ)

ロマン・バルデ(チームDSM、フランス)

新人賞(マイヨブランコ)

エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)

チーム総合成績

バーレーン・ヴィクトリアス

ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビューはこちら↓
【保存版】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビュー

【保存版】ブエルタ・ア・エスパーニャ2021スタートリスト&コースプレビュー

2021年08月13日

 

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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