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プロロード選手が選ぶシューズ、シマノ・エスファイアRC9×宇都宮ブリッツェン

ロードレーサーのパワーをバイクに伝えるうえで大切なギア「シューズ」。そのなかでも多くのプロ選手たちが使うシマノのシューズ、エスファイアの最上位モデルRC9。ここでは歴代のエスファイアRC9を使ってきた宇都宮ブリッツェンの3選手、阿部嵩之、小坂光、小野寺玲の3選手にビンディングシューズとの出会い、そしてシューズ選びに関するポイントを聞いてみた。

レーサーにとって足は大切、だからシューズ選びも慎重になる

編集部●初めてのビンディングシューズはいつでしたか?

阿部崇之選手(以下、阿部)●2005年の秋かな、当時は情報がなくてランニングシューズと同じサイズ感、カカトに指が入る感じで選んだのでぶかぶかでした。その翌年にツール・ド・北海道に出たんですが、そのとき履いたのがシマノの3本ベルクロシューズ。それから所属チームによって違う時期もありましたが、シマノシューズ歴は長いですね。

小坂光選手(以下、小坂)●僕は小学生のとき使ったMTB用のビンディングシューズですね。

小野寺玲選手(以下、小野寺)●最初はトークリップを使っていました。高校生のときに競技会に出るためにビンディングシューズを親に買ってもらいました。アベタカさんみたいに、初めて選んだシューズはサイズが大きくて、いまでは41サイズなんですけど、当時は42サイズを選んでいました。

編集部●いまならショップでブランノックデバイスなどを使って簡単にフィッティングもできますが、みなさんシューズのサイズってどうやって選んでいますか?

阿部●シューズを選ぶときには立った状態で、つま先が当たるか当たらないかぐらいのぎりぎりのサイズを選びます。ランと違って靴の中で足は動かないですから。

小坂●自分も同じで、シクロクロスでも基本は同じですね。

小野寺●つま先の当たり具合も大切なんですが、体重をかけたときに横に圧迫感がないかも見てほしいですね。これは日本人の場合大切だと思います。

編集部●小野寺さんにお伺いですが、レース前の準備運動として足先についてやっていることってありますか?

小野寺●最近、足指の運動を習って導入し始めたんです。足の指を動かすのって、人には難しいじゃないですか。足の親指と小指とを別に動かしたり、グーと伸ばす動き、意識付けとしてやるようにしています。将来的には独立して動かせるようになりたいんですけど。

阿部●ロードレースでは硬いソールを使ってパワーを伝える必要があるから、そのためにより気を使う必要がありますね。自分とかケガが多いからシューズ選びには慎重になります。

小野寺選手のルーティーンにある足指を動かすエクササイズ。

歴代RC9の特徴、その進化を聞いてみた

(左)最新のRC902、(右)一世代前のRC901。

編集部●RC9は歴代RC900、RC901、そして最新のRC902へと進化してきましたが、その特徴はどこにありますか?

小野寺●RC9の初代のRC900を使っていて、1世代飛ばしてRC902を今使っています。僕の場合、シューズを選ぶときはスプリントのためにかかとのホールド感を大切にしていますが、RC9は歴代ヒールのホールド感がいいですね。

外付けのヒールカッ プを採用することで、ねじれを最小限に抑えている。小野寺選手はこのヒールのホールド感のよさがポイントだという。

小坂●確かに小野寺さんが言うように、ヒールのホール感がいいですよね。僕はRC901、RC902とRC9を使ってきましたが、基本的な作りは変わっていないと思います。それはMTB用も同じです。ただ、RC902になってサラウンドアッパーがよくなっています。新たに設けられた溝によって、締め付けたときにアッパーがずれなくなっているのがいいんです。

RC901(青)に対し、RC902(白)ではアッパー部分の溝が追加された。この改良により締め付けたときに上下にずれにくくなっている。

小野寺●これいいですね。それからRC902になって若干アウターソールのカーブがハイヒールになった印象ですね。

阿部●それは反りが強くなったってこと?

小野寺●はい、若干かかと上がりになった印象です。

ソールからアッパーまで包み込む「360°サラウンドラップ構造」を採用しているのがエスファイアRC9の特徴。疎水性のマイクロファイバ ー合成皮革を使用している。

阿部●RC9といえばソールからアッパーまで包み込むような作りも特徴かな。

小野寺●カーボンソールの上から包み込むようにアッパーを一体成型しているのでホールド感がいいですよね。RC902ではボアのタイヤル位置も変更されていますね。

エスファイアRC9
(SH-RC902)

重量:235.5 g(サイズ42)
サイズ:スタンダード/36~48(39~43ハーフサイズあり)“国内展開サイズ”
ワイド/36~48(39~43ハーフサイズあり)“国内展開サイズ”
カラー:ブラック、ホワイト、ブルー
クリートタイプ:SPD-SL
ラストタイプ:シマノダイナラスト
剛性指数:12

問い合わせ先:シマノ バイシクルコンポーネンツ 製品サイト
https://bike.shimano.com/

新しくなったボアのダイヤルLi2について

編集部●RC902ではボアのダイヤルが最新式のLi2となりますが、使ってみての印象はいかがですか。

小野寺●Li2になり、薄く小さくなっているのがいいですね。あとベースがナイロン製となり足へのあたりがソフトになっています。

ボアのタイヤルがLi2となったことで、ベースから簡単に着脱できる。このため衝撃を逃がす構造となり、より壊れにくくなった。

編集部●締め具合ってどう調節していますか?

阿部●僕の場合はいつもボアのダイヤルはマックスで締めています。

小坂●僕もしっかり締めるほうで、レース中にボアのダイヤルを調節しますね。シクロクロスでもレース中でも調整しますね。

阿部●あの短い間に調節するんだ。

小野寺●僕も臨機応変に微調節しています。長時間走っているうちに足が痩せることもあるので。

より自由にフィットできるパワーゾーンシューレースガイド

編集部●足の大きさが走っている間に小さくなることが、一般には知られていないかもしれませんね。

小野寺●そう、自然にシステムが緩むことはないですね。あと、RC9はシューレースの通し方を変えることでつま先の締め付けを調整できるのがいいですね。スプリントではつま先が締まっていたほうがいいので、よりしっかり締まるように通し方を変えています。

レースガイドの通し方を変えることで、レースとの摩擦を増やし、ホールド感を高めることができる。

編集部●これはパワーゾーンガイドというシマノのシューズに独自に採用されたシステムで、あえてボアのレースガイドのルートを変えることで摩擦を生じさせ、締め付け具合を調整できるようにしたものですよね。

小坂●さらにレースの通し方を変えるとひっかかりが大きくなり、ホールド感がさらによくなります。

阿部●なるほど、これを使わない手はないね。ぎゅっと締まっている感じがする。

編集部●お話を聞くと、シューズの細部が進化していますね。お話、ありがとうございます。

話を聞いた宇都宮ブリッツェンの3選手

小野寺玲(左)

オノデライダーという名称で呼ばれ、ゴールでの決めポーズが人気のスプリンター。おおいたいこいの道クリテリウム優勝

小坂 光(中)

公務員として働きながら、レース活動を続ける。JCL山口ながとクリテリウムで優勝。シクロクロス元日本チャンピオン

阿部嵩之(右)

つねに積極的に逃げに乗るスタイルを貫くベテラン。2020年Jプロツアー広島森林公園ロードレース優勝

交換が簡単になったボアフィットシステム

最新のLi2はカートリッジ式となり、コインやドライバーなどを使えば簡単に外すことができる。取り付けも簡単だ。

RC902ではボアフィットシステムのダイヤルがIP1からLi2へ変更された。Li2はカートリッジ式で、専用工具を使わずに簡単に交換できるのが特徴だ。

RC901まで使われていたダイヤルはIP1。こちらは交換の際に専用の工具が必要。

ボア保証制度を利用すれば不具合が生じた場合にダイヤルやレースを無料で交換できる。不具合だけでなく長期使用による、ダイヤルやギヤの摩耗、シューレースの折れ曲がりなどによるトラブルも起きた場合でも無料の修理キットを請求し自分で修理できる。

BOAテクノロジージャパンでは、リペア用に交換キットを用意している。

取材協力:ボアテクノロジージャパン
https://www.boafit.com/

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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