自転車専用レーンに駐車で罰金200ユーロ、スペインで導入へ
Bicycle Club編集部
- 2021年12月03日
サイクリストを交通事故から守るため、さまざまな規定を定めているスペイン。2021年1月にはクルマがサイクリストを追い抜く際、その道路の制限速度から20km/h減速したスピードで走ることを義務化している。スペインの道路交通ネットワークを管轄する政府機関であるディレクション・へネラル・デ・トラフィコ (Dirección General de Tráfico: 以下DGTと略) が、サイクリストを交通事故から守るための新たな規定を加える方針であることが、12月に入って明らかになった。
自転車専用レーンへの駐車違反や
1.5mの車間距離違反などの罰則規定が追加
今回DGTが新たに決めた規定は、以下のとおり。
- 自転車専用レーンに自動車を駐車した場合、そのクルマの運転手には200ユーロの罰金が課される。
- 自動車がサイクリストを追い越す際、サイクリストが危険を感じるような追い越し方をした場合、そのクルマの運転手の免許証から6ポイント減点される。
1番目の規定により、スペイン国内の自転車レーン内での駐車が違法行為となることが明示された。じつは以前からスペインでは自転車専用レーンでの駐車は禁止されていたが、違反した場合の罰則規定が存在していなかったという実情があった。
また、2021年初頭に「1.5mの車間距離と20km/hの減速」が正式に規定された際には、違反者には200ユーロの罰金及び3ポイントの運転免許の減点が定められていた。しかし、2番目の規定により違反時の減点ポイントが倍の6ポイントとなり、クルマの運転手に対してサイクリストへの注意をより強く促す内容になっている(ちなみにスペインでは、初めて運転免許を取得する人には12ポイントが与えられる)。
政府機関DGTはサイクリストが守るべきことも公表
また、今回の新規定の発表に先立ち、10月末にDGTは「サイクリストが守るべき20の規定」を公表していた。そのいくつかをここで見てみよう。
- 自転車に乗るときには、携帯電話やイヤホンを使用しないこと。違反した場合は200ユーロの罰金。
- 自転車に乗るときには、アルコールを飲まないこと。違反した場合は500~1000ユーロの罰金。
- 7歳までの子どもは大人と一緒に自転車に乗ることができるが、その場合は自転車に適切なシートを装着すること。違反した場合は100ユーロの罰金。
- 夜間及びトンネル内での走行には、必ずライトを点けること。違反した場合は200ユーロの罰金。
- 歩行者用の横断歩道を自転車で横切るときには、歩行者を優先させること。違反した場合は200ユーロの罰金。
- 曲がったり方向を変えるときは、ハンドサインを出すこと。違反した場合は200ユーロの罰金。
- 町中では16歳以下のサイクリストはヘルメットを着用すること。また、17歳以上のサイクリストにはヘルメットの着用が推奨される。
- 郊外の道路を自転車で乗るときには、すべてのサイクリストにヘルメット着用が義務付けられる。違反した場合は200ユーロの罰金。
以上から、スペインはサイクリストの安全を守るためにさまざまな規定を設けていると同時に、サイクリストに対してもさまざまな安全対策を義務付けていることもわかる。
2020年には36人のサイクリストが事故で命を落とす
このようにサイクリストを守るための法律がいろいろ制定されているスペインではあるが、2020年には36人のサイクリストが事故で命を落としており、そのうち13人はヘルメットを着用していなかったと報道されている。また、大きなケガにはならなくても、危険な思いをしたことのあるサイクリストの話を聞くことは珍しくない。サイクリストが安全に楽しむことができる国になるために、スペインでは法律面での整備が続いている。
スペイン ディレクション・へネラル・デ・トラフィコ (Dirección General de Tráfico)WEBサイト
http://www.dgt.es/es/
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