BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

ニッツォーロ加入のイスラエル&アンテルマルシェ2022年体制|ロードレースジャーナル

vol.27 ワールドチームにすっかり定着
シーズンイン早々から好成績をマーク

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。着々と進行中の2022年トップチームの展望は今回、イスラエル・プレミアテックとアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオの2チームにフォーカス。両チームの共通項を挙げるなら、派手さこそないものの地道なチーム強化でUCIワールドチームに定着している点だろうか。ともに今季は有力タレントを迎え、これまで以上に勝ち星を挙げられる体制を整えた。実際に、シーズンイン早々から好成績をマーク。今後の戦いぶり次第では、ビッグレースでもダークホース的存在となるはずだ。

気鋭のスプリンター、ギルマイがチームに今季初勝利もたらす アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ

アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ
2021UCIチームランキング:14

昨年のアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオは、ワールドチーム昇格1年目とあり苦戦が予想されていた。ただ、いざふたを開けてみると、タコ・ファンデルホールン(オランダ)がジロ第3ステージで見せた劇的な逃げ切りや、ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージでのレイン・タラマエ(エストニア)に勝利、オドクリスティアン・エイキン(ノルウェー、EFエデュケーション・イジーポストへ移籍)のマイヨロホ7日間着用と、大一番でインパクトを残して見せた。チームとしてはシーズン9勝、UCIチームランキング14位も、昇格初年度のチームとしては合格点といえるだろう。

そんなベルギー第3のチームだが、今季の活躍を予感させるシーズンインを果たしている。ワンデーレース連戦でレースシーズンの到来を告げる、恒例のチャレンジ・マヨルカで早くも躍動。127日に行われたトロフェオ・アルクディア(UCIヨーロッパツアー1.1)でビニヤム・ギルマイ(エリトリア)がスプリント勝利。有力スプリンターに対して後方からの加速だったにもかかわらず、この日は馬力の違いを見せつけたのだった。

1月27日のトロフェオ・アルクディアでビニヤム・ギルマイが優勝 ©︎ PHOTO NEWS

レース後には「個人的にも、チームにとってもこの先につながる勝利になった」と喜んだギルマイ。昨年途中に移籍加入した21歳のスプリンターで、ロード世界選手権ではアンダー23部門で銀メダルを獲得した注目株。シーズン終了後にはアフリカ大陸最優秀選手にも選ばれている。そんな東アフリカの新星は、すでにジロでグランツールデビューも内定している。まずは経験を積むことを重視するが、状況次第ではポイント賞のマリアチクラミーノ争いに加わってくるかもしれない。

最高のスタートを切ったチームだが、このオフにはさらなるジャンプアップを図るべく血の入れ替えを断行した。エイキンやダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエへ移籍)らがビッグチームに引き抜かれ、同時に昨季限りで引退を決意した選手も数人現れた。それもあって、新戦力を積極的に獲得できるチーム状態となったこともプラスに働いている。

その筆頭が、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)だ。ツールのステージ優勝4度、ミラノ~サンレモ(2014年)、ロンド・ファン・フラーンデレン(2015)、ヘント~ウェヴェルヘム(2019年)など、数多くのタイトルを獲ってきた34歳は、再び大きな成果を上げるために環境を一新。ここ数年は、持ち前のスプリント力に陰りが見られつつあるが、ツール20201ステージを制したように大混戦での勝負強さはまだまだ一級品。昨年まで所属したUAEチームエミレーツがグランツールの総合狙いへとシフトしていたこともあり、アシストに回る機会も多くなっていたが、移籍を機に再び自らの勝利のために走ることとなった。

アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ加入のアレクサンダー・クリストフ(右)。すでにチームにも溶け込んでいる ©︎ Intermarché – Wanty – Gobert Matériaux

まずは、ギルマイとクリストフを軸に据えるが、過去にツールで2度の個人総合トップ10を経験しているルイス・メインティス(南アフリカ)や、昨季終盤のワンデーレースで上位入りを重ねたロレンツォ・ロータ(イタリア)にも重要な任務が与えられるはず。勝負勘がさえわたったファンデルホールンやタラマエの勢いが今年も続くようだと、“ビッグチーム食い”の機会が増えることだろう。

昨年までは戦力的に、逃げからチャンスを探るようなレースの組み立てに終始したが、スプリントという明確な目的が出てきたことで彼らの戦い方にどんな変化が見られるだろうか。下部カテゴリー時代から数えて15年目となるシーズンは、このチームにとって分岐点となる1年になりそうだ。

アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ 2022年シーズン 所属選手

●継続
ヤン・バークランツ(ベルギー)
アイメ・デヘント(ベルギー)
テオ・ドラクロワ(フランス)
トム・デヴリーント(ベルギー)
ビニヤム・ギルマイ(エリトリア)
クイントン・ヘルマンス(ベルギー)
ヤン・ヒルト(チェコ)
ルイス・メインチェス(南アフリカ)
アンドレア・パスクアロン(イタリア)
シモーネ・ペティッリ(イタリア)
バティスト・プランカールト(ベルギー)
ロレンツォ・ロータ(イタリア)
レイン・タラマエ(エストニア)
タコ・ファンデルホールン(オランダ)
コルネ・ファンケッセル(オランダ)
ケヴィン・ファンメルゼン(ベルギー)
ボーイ・ファンポッペル(オランダ)
ロイック・ヴリーヘン(ベルギー)
ゲオルク・ツィマーマン(ドイツ)

●加入
スヴェンエリック・ビーストルム(ノルウェー) UAEチームエミレーツより移籍
ディミトリ・クレイス(ベルギー) チーム クベカ・ネクストハッシュより移籍
コービー・ホーセンス(ベルギー) ロット・スーダルより移籍
ローレンス・ハイス(ベルギー) ビンゴール・パウェルスソースWBより移籍
ユリウス・ヨハンセン(デンマーク) ウーノエックスプロサイクリングチームより移籍
アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー) UAEチームエミレーツより移籍
ユーゴ・パージュ(フランス) グルパマ・エフデジコンチネンタルチームより移籍
バルナバーシュ・ペアーク(ハンガリー) チーム バイクエクスチェンジより移籍
アドリアン・プティ(フランス) トタルエナジーズより移籍
ヘルベン・タイッセン(ベルギー) ロット・スーダルより移籍

ニッツォーロ、フルサンらの加入で大幅レベルアップ、イスラエル・プレミアテック

イスラエル・プレミアテック
2021UCIチームランキング:10

イスラエル系カナダ人の資産家シルヴァン・アダムス氏による出資を基盤とするチームは、UCIワールドチームとして3年目を迎える。これまでの2年間はイスラエル・スタートアップネイション、経済成長が進む同国のプロジェクト名をそのままチームに冠していたが、今季からはカナダ企業のプレミアテック社がタイトルスポンサーに仲間入り。昨年までは現在のアスタナ・カザクスタンを支えたが、今度はいわゆる「同胞」であるカナダ人が支えるチームに加わることとなった。

チームは昨年17勝。スプリントではアンドレ・グライペル、山岳ではダン・マーティンというリーダーが新興勢力を引っ張ったが、そろって昨季で引退。新たなチームリーダーを擁立する必要性に迫られている。

イスラエル・プレミアテック入りしたジャコモ・ニッツォーロ。スプリント戦線を強化する © Israel – Premier Tech

とはいえ、その点においては全く心配はいらないだろう。昨年のジロ・デ・イタリアでマリアローザを着用したアレッサンドロ・デマルキ(イタリア)や、クラシックや短いステージレースでは常に優勝争いへ加わるマイケル・ウッズ(カナダ)が今シーズンも経験に裏打ちされた確かな走りを見せるに違いない。また、大ケガからの完全復活に執念を燃やすクリストファー・フルーム(イギリス)だってまだまだやる気十分。昨年のツールでは持病の寄生虫ビルハルジアの再発で持っている力の少しも発揮できずに終わってしまったが、今年もツールに戻るべく3月のパリ~ニースから戦線に姿を見せる予定だ。

そして何より、新加入選手がこのチームの浮沈を決めるといえそうだ。チーム クベカ・ネクストハッシュの事実上の解散によって移籍したジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)は、春のクラシックからジロ、ツールとフル回転する見込み。クラシックはセップ・ファンマルク(ベルギー)との共闘でパヴェへ、グランツールはギヨーム・ボワヴァン(カナダ)やアレックス・ドーセット(イギリス)、リック・ツァベル(ドイツ)といったリードアウトマンを従えてスプリント勝利を目指す。

これまでチームとしてなかなか縁がなかったグランツールの総合成績も、ヤコブ・フルサン(デンマーク)の加入でメドが立った。2019年のリエージュ~バストーニュ~リエージュや2020年のイル・ロンバルディアでの勝利が印象的なベテランだが、今年はそれらに加えて自国開幕のツールにフォーカス。過去にはクラッシュで上位入りのチャンスを逃すこともあったが、順当にいけばトップ10入りは固い。

エースクラスが多数そろい、ビッグレースでの活躍が期待されるが、一方で彼らを支えるアシスト陣との力の差が大きいことは否めない。レベル的に中間層の選手たちが奮起し底上げを図ることで、ニッツォーロやウッズ、フルサンといった選手たちだけに頼るような状況からは打開したい。

2022年に入って移籍が決まったサイモン・クラーク。チャレンジ・マヨルカでの好走で早くも戦力に © Israel – Premier Tech

なお、参戦中のチャレンジ・マヨルカでは、126日のトロフェオ・カルヴィア(UCIヨーロッパツアー1.1)で、こちらも移籍加入組のサイモン・クラーク(オーストラリア)が5位。27日のトロフェオ・アルクディアではニッツォーロが3位と、個人・チーム双方でまずまずの出足を見せている。

イスラエル・プレミアテック 2022年シーズン 所属選手

●継続
ルディ・バルビエ(フランス)
セバスチャン・バーウィック(オーストラリア)
パトリック・ベヴィン(ニュージーランド)
イエンセ・ビエルマンス(ベルギー)
ギヨーム・ボワヴァン(カナダ)
マティアス・ブレンドレ(オーストリア)
アレクサンダー・カタフォード(カナダ)
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア)
アレックス・ドーセット(イギリス)
イタマル・アインホルン(イスラエル)
クリストファー・フルーム(イギリス)
オマール・ゴールドスタイン(イスラエル)
カールフレドリク・ハーゲン(ノルウェー)
ベン・ヘルマンス(ベルギー)
レト・ホレンシュタイン(スイス)
ダリル・インピー(南アフリカ)
タージ・ジョーンズ(オーストラリア)
クリスツ・ニーランズ(ラトビア)
ガイ・ニーブ(イスラエル)
ジェームス・ピッコリ(カナダ)
ガイ・サジフ(イスラエル)
トム・ファンアスブロック(ベルギー)
セップ・ファンマルク(ベルギー)
マイケル・ウッズ(カナダ)
マッズ・ウルスシュミット(デンマーク)
リック・ツァベル(ドイツ)

●加入
サイモン・クラーク(オーストラリア) チーム クベカ・ネクストハッシュより移籍
ヤコブ・フルサン(デンマーク) アスタナ・プレミアテックより移籍
ユーゴ・ウル(カナダ) アスタナ・プレミアテックより移籍
ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア) チーム クベカ・ネクストハッシュより移籍
コービン・ストロング(ニュージーランド) SEGレーシングアカデミーより移籍

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load