自転車で出かけたい東京のピラミッド!? 稲城に「死の山」モン・バントゥーも登場
山口
- 2022年02月06日
編集部がおすすめする自転車旅。編集長・山口が行く「東京・稲城に現れたピラミッド」を紹介する。トンネルを抜けるとそこには砂漠が広がり、その奥にはピラミッドがそびえたっていた。さらに進むと南フランスのツール・ド・フランスでも通ることで有名な「死の山」を彷彿する風景が広がっていたのだ。
ランド坂に現れた「稲城よみうりランド坂トンネル」
東京近郊の自転車ルートで有名な南多摩尾根幹線、通称尾根幹の起点矢野口からほど近いところにあるよみうりランド。京王よみうりランド駅から「ランド坂」、または「V坂」でよみうりランドまで上ることができ、ヒルクライムを楽しめることから多くのサイクリストが訪れる。
2021年9月にこのランド坂の道路が大きく変わり、新たに「稲城よみうりランド坂トンネル」が開通、都会には珍しいループ状の道路ができ上がった。今回はこの新ルートを走ってみた。
稲城よみうりランド坂トンネルの車道は軽車両通行禁止なので、自転車は自転車通行可の歩道部分を走ることになる。いままで通っていたランド坂部分は通行止めになっている。
トンネルを抜けるとそこにピラミッド登場!
ループ状になっているトンネルを抜けると、そこにはピラミッドが登場する!
とまあ大げさに表現してみたが、いわゆる造成地だ。正式には「南山」で、造成工事により山の一部が取り残され、たまたま残っているのがこのピラミッドだ。近くには「ありがた山」とも呼ばれる聖地があり、自分たちの学生時代にはマウンテンバイカーからも信仰を集めていた場所だった。
写真のトリックをばらすとまわりの風景はこんな感じ。ただの造成地といえばそこまでだが、大規模な造成計画なのでなかなか壮大な風景が広がる。ちなみに、自分が自撮りしている脇を親子連れが自転車で通過したが、「ピラミッドみたいだね」と子どもがお父さんに話しかけていたので、ピラミッドに見えるのは自分だけの妄想ではないようだ。
ただし、このピラミッドも造成工事が進めば消えてなくなる可能性が高いので、ここで紹介した風景を見たいならば、早めに訪れることをおススメする。
ネタばらしするとこんな風景
このまわりには、砂漠のような荒野が広がっているが、ここまでしっかりと地層が見える場所はなかなかない。伊豆大島の地層切断面並み。ブラタモリではないが、地学ファンにはたまらない光景が広がる。
日向涼子さんが紹介する大島の地層切断面はこちら
南フランスのモン・バントゥーにそっくり⁉ フォトジェニックな風景
さらにループを抜けて先に進むと、荒野の中の一本道が続く。この場所を少し離れたよみうりランド側から見る下の写真のような感じだ。
ちなみに勝手に妄想してしまったのがフランス南部、モン・ヴァントゥー、通称「死の山」と呼ばれる風景だ。
モン・ヴァントゥーはツール・ド・フランスでもマルコ・パンター二とランス・アームストロングが死闘を繰り広げた名勝負の場所としても有名な山だ。モンバントゥーは標高1912mとアルプスやピレネーのような高山ではないが、石灰岩地質のため植物が生えない独特な風景から「死の山」と呼ばれている。
稲城のモンバントゥーともいえるこのエリアだが「TOKYO GIANTS TOWN(仮称)」が作られる計画になっており。造成が進めば巨人軍のスタジアムが完成する。この冬がこの風景を楽しむ最後のチャンスかもしれない。
稲城・南山
左奥がピラミッド。そして右側の木が残るエリアがありがた山の頂上。このエリアはTOKYO GIANTS TOWN(仮称)が作られる計画になっている。右側の谷は旧ランド坂が通っていたところで、その下には京王線の京王よみうりランド駅がある
南フランス・モンバントゥー
こちらがフランスの本家モン・バントゥー。「どうです、同じでしょう!」というには苦しいが、フォトジェニックな場所としてお楽しみください。
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PROFILE
バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。