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スペインのステージレースで上りゴールにグラベル登場で賛否! エヴェネプールが批判

2月7日、アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)の総合優勝で幕を閉じたボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)も出場し、今シーズンの開幕レースとして注目を集めた。今年のコースの目玉は、第3ステージに設定された上りゴールのアルト・デ・ラス・アンテナス・デ・マイヒモ。この上りゴールの最後の約3kmには通称” sterrato(ステラット、イタリア語)”とも呼ばれる、未舗装の「グラベル」区間が設定されていた。

第3ステージで区間優勝し、総合優勝を決めたアレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ) PHOTO:Volta a Comunitat Valenciana-CVC

第1ステージで優勝し、リーダージャージを着ることになったレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)の発言により注目度の上がった、この「グラベル」コースについて、実際に走った選手や大会スタッフの意見をスペイン在住のジャーナリスト、對馬由佳理さんがレポートする。

第3ステージ終了後、エヴェネプールがコースデザインを批判

今年のボルタ・コムニタット・バレンシアーナの第1ステージを勝利し、リーダージャージを着たエヴェネプール。写真撮影:對馬由佳理

このボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナで初日のステージを制し、リーダージャージを着ていたエヴェネプールだったが、今年のクイーンステージとなった第3ステージのアルト・デ・ラス・アンテナス・デ・マイヒモの上りゴールで、リーダージャージをこの日ステージ優勝したウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)に明け渡すことになった。

このステージ終了後、エヴェネプールは「今日のような上りゴールで、あのようなグラベルステージは必要ない」と主張。同時に「オーガナーザーは大きな石などは事前に取り除いてあると言っていたが、実際にはたくさんの石があった。今日の上りは道が狭く、かなり難しいものだった。その上グラベル区間を設置するなんて、オーガナイザーは恥ずかしいとは思わないのか(Then it’s a bit of a shame that they put such a gravel strip at the end.)」と批判した。

「普通に舗装されていても、十分にハードな上りゴール」(バルセロ)

話題となった第3ステージのスタート前、カハルラル・セグロスRGAの2人。マトリックス・パワータグ所属時代には日本で活躍したエドゥアルド・プラデス(写真右)の隣で笑顔を見せるフェルナンド・バルセロ(写真左)。写真撮影:對馬由佳理

話題となった第3ステージでスタート直後から逃げ集団を形成し、レース前半をコントロールした選手の一人である、フェルナンド・バルセロ(カハルラル・セグロスRGA、スペイン)に、このゴール地点についての感想を聞くと、こう答えている。

「僕個人としては、あまり好きではない上りゴールでしたね。未舗装区間にはたくさんの石が落ちていましたし、率直に言って『ここをレースコースに入れる必要があるのか』と考えてしまうほどでした。あの第3ステージのゴール地点はかなり斜度もあったので、たとえ普通に舗装されていたとしても、ハードなレースになったでしょうね。多分TVで見ている方には非常に面白いゴール前だったとは思いますが(笑)、走っている側からすると、かなり厳しいコースだったと認めざるを得ませんね」

「直径4cmくらいの石はたくさんあった」
(バイク・カメラマンのルイス・ゴメス)

ブエルタ・ア・エスパーニャなどでオフィシャルフォトグラファーとして活躍するバイク・カメラマンのルイス・ゴメス

スペインの自転車界で数多くのレースの写真をオートバイの上から撮影しているルイス・ゴメス氏は、アルト・デ・ラス・アンテナス・デ・マイヒモの上りゴールに関してこのように語った。

「あの日は僕もオートバイで、同じ場所を上りましたが、未舗装の区間では直径4cmくらいの石がたくさん落ちていました。でも、僕を乗せていた自転車レースの経験豊かなオートバイの運転手は、『これはよいステラット(Buen sterrato)のうちだよ』って言っていましから、プロの選手ならあれより環境の悪いグラベルを走ったことがある人は、かなりいるんでしょうね」

「自転車交換のための待機所を作るなど、対応策が必要」
(シマノ、オフィシャルサポートメカニック)

写真はイメージ。2020年のブエルタ・ブルゴスにて。写真撮影:對馬由佳理

今年のボルタ・コムニタット・バレンシアーナで、どのチームにも対応可能なニュートラルメカニックとして、シマノが参加していた。そのシマノのベテランのスペイン人メカニックの一人は、第3ステージのグラベル区間について、次のように話す。

「レースの目玉を作りたいオーガナイザーにとって、上りゴールのステラットは魅力的なものでしょう。また、今年始めて開催されるハエンでのUCIの1DAYレース(Jaen Paraiso Interior、2月14日開催)でも未舗装の区間があるようなので、これからスペインのレースでもステラットを走ることが増えてくるかもしれないですね。

ただ、もしも今後、今回のような狭い道で斜度がある上りでかつ未舗装の道路をレースで使うときには、コースレイアウトの中に、各チームがスペアの自転車をおいておくことができるスペースを作っておいたほうが安全だと思います。

今回もアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)が、パンクしたままゴールしましたが、そういったことはステラットを走る以上、どの選手にも起こることですから」

レースの魅力と安全性の天秤の上で

近年グラベルの人気も上がってきたこととも相まって、ロードレースの世界にも未舗装の区間を設定する動きが現れ始めている。ワールド・ツアーの世界で戦っているサイクリストの自転車のコントロール技術は本当に一級品であるが、そんな世界のトップクラスの選手でさえ、走ることを尻込みしてしまうような未舗装の道路というのも今後現れてくるのかもしれない。

レースの魅力を上げて多くのファンを獲得したいと考えるレースオーガナイザー側と、安全性を考えたい選手との関係性がどのようになっていくのかが、今後注目していくポイントになる。

 

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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