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カヴェンディッシュが逆風切り裂きロングスプリント制する|UAEツアー第2ステージ

UCIワールドツアー第1戦、UAEツアーは221日に第2ステージを行った。前日に続いて平坦コースが舞台となり、勝負はスプリントへ。テクニカルなレイアウトを攻略して勝ったのは、マーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル、イギリス)。今季の好調をアピールする鮮やかな勝利となった。ギリギリまでカヴェンディッシュを追い込んだヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)は、第1ステージからの個人総合首位を守っている。

強風も集団分断は起こらず、スプリント勝負へ

20日に華々しく開幕した大会は、スプリンターが主役の平坦コースを進行中。第2ステージは、フダイリヤット・アイランドからアブダビ・ブレイクウォーターまでの176km。第1ステージに続き、上下の変化が少ないスピードコースが設定された。

ただ、この日は強い風が砂漠で吹き荒れるコンディション。これを利用して集団の分断を図った動きも見られたが決定打には至らず、ステージ優勝はセオリーどおりスプリントで争われるムードとなっていった。

レース前半にガズプロム・ルスヴェロから3選手が集団を飛び出してリードを得たが、これもフィニッシュまで36kmとなったところで全員を吸収。その後はスプリント態勢を前にプロトンがサイクリングペースまでスピードを落とすなど、リラックスした雰囲気が漂った。

残り15kmを切って再びスピードが上がると、各チームが隊列を組んでポジショニング。やがてイスラエル・プレミアテック、チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、ボーラ・ハンスグローエが前方を固めていき、そのまま最終局面へ。残り1kmのフラムルージュを通過してからは、グルパマ・エフデジも主導権争いに加わった。

緩いコーナーが連続する最終局面。混戦の中を一番に加速したのはカヴェンディッシュ。グルパマ・エフデジ、ボーラ・ハンスグローエのトレインに動きを合わせると、残り250mからスプリントを開始。早めの仕掛けだったが、うまくスピードに乗せるとフィニッシュへとまっしぐら。リーダージャージのフィリプセンが追い込んだものの、車輪半分ほどの差で届かなかった。

カヴェンディッシュはツアー・オブ・オマーン第2ステージに続く、今季2勝目。昨年は2シーズンぶりに勝利を挙げ、ツール・ド・フランスでも4勝して通算ステージ優勝記録(34勝)に並ぶなど完全復活を遂げたが、今年もシーズン序盤から絶好調。冬場にはトラックレースでの落車で負傷したほか、自宅が強盗に襲われるといった苦難もあったが、それを乗り越えて持ち味のスピードと勝負強さを披露している。レース後には「今年も勝利を量産する」と、コメントも絶“口”調。今大会の残りステージへの期待も高まっている。

1ステージで勝ったフィリプセンは、この日も2位とまとめて個人総合首位の座はキープ。翌日もリーダーの証であるレッドジャージで出走する。

開幕から平坦ステージが続いたが、22日に行う第3ステージは9kmの個人タイムトライアル。コース的には、おおよそ中間のポイントで折り返すだけの往復ルート。上下の変化がほとんどなく、TTスペシャリストを中心に好タイムが次々と出ることが予想される。個人総合を狙う有力選手にとっても、取りこぼしなくこのステージを乗り切りたいところ。大会中盤から後半に向けて、各選手間にどれだけのタイム差がつくかが焦点となるステージといえる。

ステージ優勝 マーク・カヴェンディッシュ コメント

「アブダビはいつも特別な気分にしてくれる場所だ。ここでステージ優勝できれば、なおさらそんな思いが強くなる。今年は勝利量産ができると思うし、今年最初のUCIワールドツアーであるUAEツアーで勝てたことは大きな自信になった。

チームみんなの働きに感謝している。今大会には2人のネオプロがメンバー入りしているが、彼らの働きも信じているし、実際に私のスプリントのために素晴らしい仕事をしてくれた。レース中は非常に慌ただしかったが、私自身は落ち着いて走ることができた。最終局面は逆風だったが、残り250mからの早めのスプリントがうまくいった。スプリントラインも見えていて、とても満足できる走りだった」

個人総合時間賞 ヤスパー・フィリプセン コメント

「難しいスプリントで、あれ以上の走りはできなかった。後方からの加速を余儀なくされ、最後は脚の力が残っていなかった。カヴェンディッシュは偉大なスプリンターであり、レジェンドと勝負できることはとても光栄なことだ」

UAEツアー2022 第2ステージ結果

ステージ結果

1 マーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル、イギリス) 4:20’45”
2 ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)ST
3 パスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ、ドイツ)
4 オラフ・コーイ(ユンボ・ヴィスマ、オランダ)
5 アルノー・デマール(グルパマ・エフデジ、フランス)
6 マッテオ・マルチェッリ(ガズプロム・ルスヴェロ、イタリア)
7 エミルス・リーピンス(トレック・セガフレード、ラトビア)
8 トム・デヴリーント(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、ベルギー)
9 ミヒャエル・シュヴァルツマン(ロット・スーダル、ドイツ)
10 マルティン・ファンデンベルフ(EFエデュケーション・イージーポスト、オランダ)

個人総合時間賞

1 ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー) 9:03’03”
2 ドミトリー・ストラコフ(ガズプロム・ルスヴェロ、ロシア)+0’04”
3 マーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル、イギリス)+0’06”
4 サム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ、アイルランド)+0’10”
5 パスカル・アッカーマン(UAEチームエミレーツ、ドイツ)+0’12”
6 エリア・ヴィヴィアーニ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)ST
7 ミハエル・ククルレ(ガズプロム・ルスヴェロ、チェコ)
8 アレッサンドロ・トネッリ(バルディアーニCSFファイザネ、イタリア)
9 クサンドレス・フェルフローゼム(ロット・スーダル、ベルギー)+0’14”
10 アルノー・デマール(グルパマ・エフデジ、フランス)+0’16”

ポイント賞

ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)

ヤングライダー賞

ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス、ベルギー)

中間スプリント賞

ドミトリー・ストラコフ(ガズプロム・ルスヴェロ、ロシア)

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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