国立競技場前で大学クリテリウム開催! 男子は中大・中村龍吉、女子は日体大・川口うららが勝利
Bicycle Club編集部
- 2022年02月28日
2月27日(日)、神宮球場や絵画館などが並ぶ明治神宮外苑で、日本学生自転車競技連盟主催の第16回明治神宮外苑大学クリテリウム(以下、神宮外苑クリテ)が開催。
昨年は新型コロナウイルスの影響でマスターズカテゴリーのレースが中止となった同大会だが、今年は2年ぶりに開催されるマスターズカテゴリー含めて例年どおりのレースプログラムでの開催となった。
男子では最上位カテゴリーとなるグループ1では、終始レースをリードした中央大学の中村龍吉がゴールスプリントを制し、中央大学として初めて神宮外苑クリテを制すこととなった。
女子では昨年の全日本選手権でMTB、ロードレースで合わせて4冠を達成している日本体育大学の川口うららが最終周回に入るタイミングで飛び出し、1周逃げ切りでレースを制した。
快晴のなか開催された神宮外苑クリテ
雪で中止となった大会を含めると16回目の開催となった神宮外苑クリテは都心で行われる数少ないレースであり、日本学生自転車競技連盟(以下、学連)主催のレースとしては唯一マスターズカテゴリーのレースも開催される大会となっている。
また、昨年は例年4月~5月に開催されているクリテリウムの学生選手権が新型コロナウイルスの影響で延期となっていた関係で、全日本学生選手権クリテリウムとしての開催となった神宮外苑クリテだが、今年はこちらも例年どおり全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ(以下、RCS)の最終戦としての開催となった。
RCSでの男子レースはクラス1、2、3と3つのカテゴリーに分かれてレースが開催されるが、神宮外苑クリテではクラス1、2の選手の中から各大学3名までが出場できるグループ1と、グループ1に出場する選手以外のクラス1、2の選手が出場可能なグループ2、クラス3の選手が出場可能なグループ3に分かれてレースが開催される。
グループ1については個人の順位だけでなく、各大学上位2名の合計順位で争われる大学対抗も見どころの一つとなっている。
時折強い風が吹き付け、コース隣にある軟式野球場から土埃が舞うようなシーンも見られたが、この時期としては気温も高く、当日は終始快晴の中でのレースとなり、小・中学生、マスターズ、ハンドサイクルのタイムトライアルから競技が開始された。
男子グループ1では中村龍吉が中央大学として初めて神宮外苑 クリテを制す
注目の男子グループ1には、昨年のU23全日本ロード覇者である兒島直樹や、昨年のインカレロード覇者である谷内健太(京都産業大学)、昨年の同大会覇者であり、那須ブラーゼンにも所属する川野碧己(慶應義塾大学)らがエントリー。
また、弱虫ペダルサイクリングチームからJプロツアーやシクロクロス、MTBに参戦する中島 渉(立教大学)は、RCSランキングトップの証であるリーダージャージを着用してレースに臨む。
男子グループ1は1周1.5kmのコースを20周、合計30kmで争われ、62名の選手がスタートラインに並んだ。
14時20分にスタートが切られると、1周目から集団分裂するようなハイペースでレースが進む。
3周目にはRCSリーダージャージを着る中島が自らアタックを仕掛け、中島と川野が集団から抜け出すが、集団は容認せず、すぐに2名を捕まえる。
その後も中央大学の選手たちや川野、中島、兒島らが積極的にアタックをかけるものの、集団と大きな差をつけるには至らず、どちらかというと集団のペースが上がったことで集団の人数が減っていくような展開が続く。
残り5周を切るとスプリントを意識してか、集団のペースが落ち、選手たちが横に広がる場面が増える。
残り3周を切ると岩田聖矢(中央大学)が集団先頭を引っ張り、二番手に中村龍吉(中央大学)と、中央大学がトレインを組んでスプリントに備える。
最終周回に入るタイミングで佐藤大志(明星大学)が一気に飛び出すも、最終コーナーで捕まり、集団スプリントに。
中村、川野、兒島、谷内の順でメインストレートに姿を見せると、そのまま先頭を譲らず、中村がスプリントで神宮外苑クリテを制した。
中村のこの勝利で中央大学は16回目にして初めて神宮外苑クリテを制すこととなった。
各大学上位2名の選手の合計順位で争われる大学対抗は2位(川野碧己)と6位(山田壮太郎)を獲得した慶應義塾大学が制し、RCSランキングは中島渉がトップを維持する形で年間総合1位を決めた。
男子グループ1を制した中村龍吉(中央大学)のコメント
「ラスト6周ぐらいから今日は僕の日だなと思っていました」とレース終盤には勝つ自信があった中村。
「ラスト5周までは各々でレースを展開し、ラスト5周からはトレインを組む、トレインを組んだら最後のスプリントは僕がいくと決めていました」と、レース前に立てた作戦が見事に決まった中央大学。
「リザルトを見ると、中央大学が神宮外苑クリテを勝ったことが今まで一度もなかったので、今回初優勝することができ良かったです」と、神宮外苑クリテのグループ1で中央大学に初めて優勝をもたらした中村は、「オフシーズンにやってきた練習が間違っていなかったことを確認することができたので、インカレに向けてこのまま練習量や強度を上げていきたいと思います」と昨年惜しくも総合優勝を逃してしまったインカレをすでに見据えていた。
RCS年間ランキングトップを確定させた中島 渉(立教大学)のコメント
「(当初は)RCSリーダージャージを狙って走っていたわけではなかったんですが、シーズンが進むごとにランキングトップが見えてきて、最後は狙ってリーダージャージを獲得しました。まだ1年生なので、来年、再来年もこのジャージを獲得できればと思います」とRCS年間ランキングトップとなったシーズンを振り返る中島。
一方で「10月に行われた霊峰木祖おんたけTT&ヒルクライムでリーダージャージを獲得することができたんですが、その時はまさかリーダージャージを獲得できるとは思っていませんでした。11月のMTB全日本選手権で手首を骨折してしまい、一度リーダージャージを手放すことになってしまったんですが、2週間前の川島町小見野クリテリウムで取り戻すことができ、神宮外苑クリテでジャージを確定させることができたので、自分としては完璧な運び方ができたんじゃないかなと思います」と、リーダージャージを確定させるまでには苦労があったことを明かす。
ロードレース、MTB、シクロクロスと三足の草鞋を履く中島は「ロードレース、MTB、シクロクロス、U23カテゴリすべでの全日本選手権を制覇したいと思います」と今シーズンの目標を語ってくれた。
女子は日本体育大学の川口うららが1周逃げ切りの圧勝を見せる
女子は昨年MTBやロードレースの全日本選手権で4冠を達成した川口うらら(日本体育大学)や、昨年の同大会覇者である岩元杏奈(日本体育大学)、昨年のシクロクロス全日本選手権を制した渡部春雅(明治大学)、昨年のインカレロード覇者である石上夢乃(鹿屋体育大学)らがエントリー。
学連の選手以外に、シクロクロスやMTBでは弱虫ペダルサイクリングチームに所属する中島瞳(川越工業高校)といった高校生や、 滝川陽希(Live GARDEN Bici Stelle)らJBCFのレースで走る選手たちが参加し、1周1.5kmのコースを8周する合計12kmのレースに17名の選手がスタートラインへ並んだ。
13時50分にスタートが切られると、序盤から川口や渡部が積極的にレースをコントロールする。
さらに中間スプリントのタイミングで石田 唯(早稲田大学)や成海綾香(鹿屋体育大学)が抜け出すも、集団は容認せず、レースは振り出しに。
ラスト1周に入ったタイミングで川口がアタックを仕掛けると、後続との差を一気に広げ、後続は2番手争いのスプリントに備えて牽制するような動きに。
ホームストレートに川口が姿を見せても後続の姿は見えず、川口が独走で神宮外苑クリテを制した。
2番手には集団スプリントを制した岩元が入り、日本体育大学としてワンツーフィニッシュを決めた。
独走で神宮クリテを制した川口うらら(日本体育大学)のコメント
「積極的な走りができ、自分のリズムでレースを展開することができました」とレース全体を振り返る川口。
川口はラスト1周でのアタックを「ずっとアタックしていたので、スプリントでは難しいかなと思っていました。一方で、集団には岩元選手もいたので、自分がダメでも岩元選手のスプリントでいけると思っていました。また、集団で展開するというよりは、自分の精一杯を出して勝ちたいと思っていたので、そういう走りができて良かったです」と振り返り、全日本選手権4冠の力をしっかりと発揮していた。
「MTBのW杯を転戦する予定なので、海外レースで上位に入ることを目標にしています」と今シーズンの目標を最後に語ってくれた。
リザルト
男子大学生決勝(1.5km/Lap×20Laps)
1位:中村龍吉(中央大学) 48分44秒
2位:川野碧己(慶應義塾大学) +0秒
3位:兒島直樹(日本大学) +2秒
4位:園田大智(順天堂大学) +2秒
5位:谷内健太(京都産業大学) +2秒
6位:山田壮太郎(慶應義塾大学) +2秒
大学対抗
1位:慶應義塾大学 8点
2位:日本大学 13点
3位:順天堂大学 15点
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