自転車×キャンプギア開発スタート! バイクラとレジスタントがコラボ【新連載 BCG vol.1】
木村 信一 a.k.a.キムシン
- 2022年05月22日
INDEX
伝説のメッセンジャーバッグブランド「RESISTANT(レジスタント)」を手掛けるキムシンこと木村信一さんが、自転車雑誌「バイシクルクラブ(バイクラ)」のWEBサイトFUNQで連載コラムをスタートする。コラムから生まれる自転車×キャンプギア「BCG」がついに動き出す!
自転車×キャンプギア「BCG」
これから始まるこの連載は、自転車×キャンプを愛するバイクパッカーによるキャンプギアの開発ストーリーだ。キャンプギアは数多くあれど、バイクパッキングに適している物は少ない。もっとバイクパッカーの意見が反映された「コレだっ!」って物が欲しい。
それにはユーザー声をくみ取ってくれる存在が必要だ。もしWEBメディアがハブになって柔軟に製品化までの道筋を作れたらどうだろう? そんな思いからこの企画は第一歩を踏み出した。
製品開発の工程は旅に例えられるようにアドベンチャー要素を多分に含んでいる。ここから先は、冒険隊の一員のような気分でお付き合いいただけたらと思います。
メッセンジャーバッグブランド「RESISTANT」、キムシン
まずはこの冒険旅行の案内人を務める私、キムシンの自己紹介をさせていただきます。RESISTANTっていうメッセンジャーバッグブランドをご存知だったら光栄だが、アレを作っているのが私だ。
メッセンジャーを25年やっていましたが先頃引退、同時進行でやってきたメッセンジャーバッグ作りは20年近く続けている。
コロナ禍で生活が一変し、先行きの不安を感じながらもグラベルライド&自転車キャンプに没頭していたらあっという間に2年の歳月が過ぎてしまった。
どっぷりやり続けていると、やがて見えてくるモノがある。これまでの自分と、これからの自分が直線的に結び付く道筋が見えてきた。
これまでのバッグ作りは、メッセンジャーとしてのデリバリー業務から得た感覚を具現化してきた。そして今はバイクキャンプやグラベルライドで得た感覚を具現化すべくテストしては作るを繰り返し、独自路線を切り開くべく奮闘している。
バイク&キャンプことはじめ
さて、バイクキャンプやバイクパッキングにはいろいろと道具をそろえなければイケナイと思っている方も多いかもしれない。しかし、想像だけで道具をそろえるとムダな買い物をする羽目になる。まずは始めちゃおう! 行けば分かるさ!
思い起こせば、若かりしころの自転車旅は無計画にただ違う景色が見たいだけの衝動的なものだった。輪行袋を寝袋代わりにしての野宿が普通だったし、装備はちょっと不足気味のほうが生存本能を刺激して醍醐味が増すことをうすうす気付いていたフシもある。
自分はそもそもキャンプへの興味は薄く、キャンプグッズなんて重くてジャマになるだけと思っていた。
変化が訪れたのは、登山にハマっていた友人の誘いで野営した夜。その友人が使っていたチタン製のコンパクトな焚火台を見たときだ。「ヤバイ何コレ!?」と衝撃が走った。
「ULって知ってる? ウルトラライトって?」
「?……知らない、教えてよ」
その焚火台はSOLA TITANIUM GEARという日本のガレージブランドによるものだった。
コンパクトな焚火の炎を眺めながら友人の話に聞き入った。ULはガレージブランドと呼ばれるユーザーに近いポジションに位置する人たちのハンドメイドによって生み出されていることやカルチャー要素を含むことなど。そしてそれはメッセンジャーバッグを作る者たちがたどって来た道のりと酷似していることも。作る物は違えどスピリットは限りなく同じ物だと感じた。
ソラチタのネイチャーストーブの研ぎ澄まされた機能美は静かに私の作り手魂にも火を着けたのだった。
UL×自転車
装備を軽量コンパクトにまとめて機動力を落とさないULのファストハイク方法論は自転車旅にも応用できると思えた。それもそのはず、盛り上がるULシーンの影響を受けて、世界的に軽量バイクパッキングの波はすでに巻き起こっていたのだ。
その方法論はまさにULファストハイクの自転車版だった。ラックレスのフレームバッグやサドルバッグなどが海外のガレージブランドから相次いでリリースされ、軽量バイクパッキングのスタイルが確立され始めていた。2014年、しまなみ海道にキャンプツーリングに行ったのはちょうどその頃。
グラベルという言葉が聞こえ始めたころ、まだグラベルバイクは所有しておらずアラヤ・MUDDY FOXのマウンテンドロップ仕様、テントはUL志向の友人に借りたSIX MOON DESIGNSのポンチョにもなるテント。日東のキャンピーリアキャリアに片パニア、そしてバックパックを背負っていた。当時はまだ私も軽量化やラックレスへの興味も薄かった。
バイクパッキングはラックありへ
軽量バイクパッキングはラックレスが前提であるという概念に変化が見え始めたのは、トリプルアイレットと呼ばれる3連ダボ穴の登場によりカーゴケージ&ストラップで荷物をくくり付ける方法が普及したことが要因だ。もともとはBEERグロウラーをくくり付けるための物だからULとは対極の物。それが新たなエッセンスとして軽量バイクパッキングに取り入れられていったのはなんとも興味深い。
オフロードで少し攻めた走りをするとラックレスでは「バッグが揺れる」ことが気になり、逆にラックドでは「バッグの中の物が揺れる」ことが気になっていた。いずれにせよ軽量バイクパッキングには第3の方法論が必要だったのだと思う。
「バッグサポーターやケージ類を介してストラップでコンプレッションをかけて揺れを抑制する」最低限の重量増で格段にソリッド感を得られるこのスタイルが、今日的なのではないかと思っている。
今ではさまざまなメーカーからリリースされているカーゴケージだが、歴史が浅いせいかどれも改良の余地を残しているように感じる。
自分が最も気になる点は「荷物をくくり付けていないときの緩んだストラップの処理に困る」こと。使わないときのことまで気にしなくてもいいのでは?と思うかもしれないが、スタンバイ状態がだらしないとカッコ悪くて外してしまいたくなるし、ストラップを外してしまうと何の役にもたたなくなってしまうのでそれらしい佇まいと機能をキープしていてほしい。
なぜならツーリングバイクの積載性は日常の脚としても優秀なのでコミューターツアラー的に使いたいから。
そしてBCG始まる!
こうなると、もう理想のカーゴケージを作ってしまうしかない! そう思っていたころに、近所のグラベルでバイシクルクラブ編集部のニッシーこと西山貴之さんに出会い、幾度か野点コーヒーライドをしながらそんな話をしていたら「バイクキャンプについて書いてみない?」と声を掛けられた。
だったら「製品開発ストーリーをドキュメンタリーでやりたい!」ということで、
BICYCLE CLUB GEAR
BIKE CAMP GEAR
のダブルミーニング。
名付けて
BCG
今こうして書いているということは第1弾の製品開発がスタートしたということだ。
その製品とは? カーゴケージです!
この図面を某所に持ち込んで打ち合わせを始めます。
続きは次回に!
PROFILE
BCG道先案内人
木村 信一
a.k.a.キムシン
東京最速メッセンジャーカンパニーCyclexの活動休止に伴い25年間の現役生活から離れ、メッセンジャーバッグRESISTANTの製作に注力。近年はバイクパッカーとしても精力的に活動中。フィールドに根ざした独創的なプロダクト開発には定評がある。
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RESISTANT
k.i.m.t.h.i.n.g
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東京最速メッセンジャーカンパニーCyclexの活動休止に伴い25年間の現役生活から離れ、メッセンジャーバッグRESISTANTの製作に注力。近年はバイクパッカーとしても精力的に活動中。 フィールドに根ざした独創的なプロダクト開発には定評がある。@RESISTANT @k.i.m.t.h.i.n.g
東京最速メッセンジャーカンパニーCyclexの活動休止に伴い25年間の現役生活から離れ、メッセンジャーバッグRESISTANTの製作に注力。近年はバイクパッカーとしても精力的に活動中。 フィールドに根ざした独創的なプロダクト開発には定評がある。@RESISTANT @k.i.m.t.h.i.n.g