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カヴェンディッシュ、サガンも勝利 各国国内選手権一挙まとめ|ロードレースジャーナル

vol.40 2022年国内選手権ウィーク 各国新王者総まとめ

国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。今回は各国で開催された国内選手権の結果と新王者を総まとめ。日本ではロードでの新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)の劇的勝利があったが、他国でも順当またはサプライズと、王者決定はさまざまだったよう。チャンピオンジャージの行方を主要国中心にチェックしていこう。

【速報】新城幸也が全日本チャンピオン! 新城雄大をスプリントで下して勝利

【速報】新城幸也が全日本チャンピオン! 新城雄大をスプリントで下して勝利

2022年06月26日

カヴェンディッシュは9年ぶり、コロナから回復のサガンも快勝

国内選手権は、UCI(国際自転車競技連合)の規則により、6月最終週に実施することが定められている。ここ数年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、やむを得ないケースに限って中止や延期開催などがUCIによって許可されてきたが、今年は実質コロナ前の状況に戻って、大多数の国が本来の形へと戻っている。

©︎ Alex Whitehead/SWpix.com

各国で開催された中でも、ビッグトピックとしてはマーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル)の9年ぶりイギリス選手権制覇だろう。同選手権は逃げ切りでの優勝争いとなり、前線に加わったカヴェンディッシュが少人数でのスプリントを制した。

カヴェンディッシュはツール・ド・フランスの通算ステージ優勝数34とトップに並んでおり、新記録樹立が期待されるところ。ただ、今年はチーム事情もあり、ツールのメンバー入りは厳しい情勢だ。本人は「チームから連絡を受けていないし、まだ何も分からない」としながらも、「メンバー入りできればステージ優勝できる自信がある。何より、今日の優勝が私の力を証明したといえる」ときっぱり。あとは、チームからの吉報を待つのみだ。

©︎ Belgian Cycling

順当路線を挙げていくと、スプリンターによる優勝争いになったベルギーではティム・メルリール(アルペシン・フェニックス)が3年ぶりのチャンピオンジャージ獲得。すでにツールのメンバー選外が決まっており、さらには移籍の噂が絶えない状況とあり、ベルギーチャンピオンの動向は今後注目の話題となるだろう。

ペテル・サガン(トタルエナジーズ)は2大会連続8度目のスロバキアチャンピオンに。先ごろ3度目の新型コロナ感染が明らかになったが、1週間も経たずに回復しレース復帰。すっかり体調も戻って、予定どおりツールのスタートラインに並ぶ。

©︎ Sprintcycling

ボーラ・ハンスグローエやUAEチームエミレーツの活躍も光っており、ボーラ勢ではニルス・ポリッツがドイツ選手権で2位に47秒差をつける圧勝。個人タイムトライアルでもレナード・ケムナが制している。チームメートのフェリックス・グロスチャートナーは、オーストリア選手権でロードと個人タイムトライアルの2冠を達成。UAE勢は総合エースの1人であるジョアン・アルメイダがポルトガルチャンピオンジャージに袖を通した。

ヤングライダーが実力者下して新王者に

新たな力の躍動も目立っている。

©︎ Sprintcycling

イタリアでは、ヤングオールラウンダーとして期待されるフィリッポ・ザナ(バルディアーニCSFファイザネ)が、ロレンツォ・ロータ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)、サムエレ・バティステッラ(アスタナ・カザクスタン チーム)、アンドレア・ピッコロ(ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)との勝負を制し初優勝。現在23歳で、先のジロ・デ・イタリアでは個人総合47位。とはいえ、昨年のツール・ド・ラヴニールでは個人総合3位に入り、直近で出場していたステージレースのアドリカ・イオニカレース(UCI2.1)では個人総合優勝。将来は総合系ライダーとして注目を集める存在となるのは間違いない。

スペインでは21歳のカルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ)が独走勝利。チームの将来を担うとも目されるヤングスターは、この夏ブエルタ・ア・エスパーニャでのグランツールデビューを予定。スパニッシュカラーをまとって自国最大のレースを走ることになりそうだ。また、同国の個人タイムトライアルでは、こちらも21歳のラウル・ガルシア(エキポ・ケルンファルマ)が優勝。初のブエルタ出場が控えているチームに、チャンピオンジャージをもたらした。

4人の優勝争いになったフランスでは、石畳スペシャリストのフロリアン・セネシャル(クイックステップ・アルファヴィニル)が初優勝。4月のリエージュ~バストーニュ~リエージュでの落車負傷で戦線を離れていたジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル)は、このレースが復帰戦。セネシャルの優勝をアシストし、自身は26秒差の13位できっちり走り切っている。

このほか、他国に先だって25日に開催されたオランダ選手権ロードレースは、伸び盛りのパスカル・エーンコーン(ユンボ・ヴィスマ)が優勝。個人タイムトライアルでは、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)が初優勝を果たしている。

各国王者まとめ(ロードレース/個人タイムトライアルの順)

イタリア フィリッポ・ザナ(バルディアーニCSFファイザネ)/フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)

オランダ パスカル・エーンコーン(ユンボ・ヴィスマ)/バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)

ベルギー ティム・メルリール(アルペシン・フェニックス)/レムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル)

スペイン カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ)/ラウル・ガルシア(エキポ・ケルンファルマ)

フランス フロリアン・セネシャル(クイックステップ・アルファヴィニル)/ブルーノ・アルミライル(グルパマ・エフデジ)

イギリス マーク・カヴェンディッシュ(クイックステップ・アルファヴィニル)/イーサン・ハイター(イネオス・グレナディアーズ)

コロンビア(2月決定) セルヒオ・イギータ(EFエデュケーション・イージーポスト)/ダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ)

デンマーク アレクサンダー・カンプ(トレック・セガフレード)/マティアス・ノールゴー(モビスター チーム)

オーストラリア(1月決定) ルーク・プラップ(イネオス・グレナディアーズ)/ローハン・デニス(ユンボ・ヴィスマ)

ドイツ ニルス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ)/レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)

スロベニア クリスティアン・コレン(アドリアモビル)/ヤン・トラトニク(バーレーン・ヴィクトリアス)

ノルウェー ラスムス・ティレル(ウノエックス・プロサイクリングチーム)/トビアス・フォス(ユンボ・ヴィスマ)

ポーランド ノルベルト・バナチェク(HREマロウスツェ・セルシュポルスキ)/マチェイ・ボドナル(トタルエナジーズ)

スロバキア ペテル・サガン(トタルエナジーズ)/ヤンアンドレイ・クリー

アメリカ カイル・マーフィー(ヒューマンパワードヘルス)/ローソン・クラドック(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ)

アイルランド ロリー・タウンゼント(ウィヴ・サンゴッド)/ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト)

スイス ロバン・フロワデヴォー(チューダープロサイクリングチーム)/ジョエル・ズーター(UAEチームエミレーツ)

オーストリア フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグローエ)/フェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグローエ)

ポルトガル ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)/ラファエル・レイス(グラスドライブQ8エニカラー)

チェコ マテイ・ザハルカ(エルコフ・カスパー)/ヤン・バルタ(エルコフ・カスパー)

ニュージーランド(2月決定) ジェームス・フシェ(ボルトンエキティーズ・ブラックスポークプロサイクリング)/リーガン・ゴフ(ボルトンエキティーズ・ブラックスポークプロサイクリング)

ルクセンブルク コリン・ハイダーシャイド(レオパードプロサイクリング)/ボブ・ユンゲルス(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム)

カナダ ピエールアンドレ・コテ(ヒューマンパワードヘルス)/デレク・ギー(イスラエルサイクリングアカデミー)

南アフリカ(3月決定) レイナールト・ヤンセファンレンスブルフ(ロット・スーダル)/バイロン・ムントン(チーム ダウナー)

カザフスタン エフゲニー・ギディッチ(アスタナ・カザクスタン チーム)/ユーリー・ナタロフ(アスタナ・カザクスタン チーム)

エストニア ミヒケル・ライム(ブルゴス・BH)/レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

エクアドル(2月決定) リチャル・フエラ(チーム バンコグアヤキル・エクアドル)/リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)

ラトビア エミルス・リエピンス(トレック・セガフレード)/トムス・スクインシュ(トレック・セガフレード)

エリトリア メルハウィ・クドゥス(EFエデュケーション・イージーポスト)/ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

日本 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)/金子宗平(群馬グリフィンサイクリングチーム)

福光 俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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