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3級山岳上りスプリントでワウトが圧倒的スピード 目標のマイヨヴェールへ前進|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは大会前半戦が進行中。現地7月9日には第8ステージが行われ、3級山岳の頂上に設けられたフィニッシュへの集団スプリントをワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)が制した。これで今大会2勝目、ツール通算では8勝目。ポイント賞のマイヨヴェール争いでも独走しており、この勝利で目標へさらに前進した。前日までステージ2連勝でマイヨジョーヌを着るタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)は、このステージも3位とまとめて4秒のボーナスタイムを獲得。総合タイム差を広げることに成功している。

スプリント時に四方をふさがれるも局面を打開して勝利につなげる

このステージでは、今大会の訪問4カ国目としてスイスに入国。フランス西部のドールを出発したプロトンは、ジュラ山脈を通過したのちスイス入り。レマン湖のほとりにある街・ローザンヌにたどり着くと、最後は3級山岳の頂上にフィニッシュラインが敷かれる。レース前の予想では逃げ狙いの選手が主役となるとの見方もあったが、結果的に登坂力とスプリント力を兼ね備えた選手たちの争いとなる。ちなみに、ローザンヌはIOC(国際オリンピック委員会)の本部が置かれ、フィニッシュ地点は関連施設群が立ち並ぶ区域に設けられる。

©A.S.O. / Pauline Ballet

ジョフレ・ブシャール(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、フランス)とヴェガールスターケ・ラエンゲン(UAEチームエミレーツ、ノルウェー)が未出走で、スタートラインについたのは170人。ラエンゲンの離脱により、UAEチームエミレーツとしてはポガチャルを支える一手が失われたことになる。

山岳賞ジャージのマグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト、デンマーク)らがリアルスタート直後から動きを見せるが、簡単には逃げが決まらない。少しの出入りののち、マッティア・カッタネオ(クイックステップ・アルファヴィニル、イタリア)、フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス、イギリス)、フレデリック・フリソン(ロット・スーダル、ベルギー)の飛び出しが決まり、メイン集団からリードを奪った。

©A.S.O. / Pauline Ballet

この3人が先行を開始した直後に、メイン集団では大規模なクラッシュが発生。半数以上の選手が足止めを食い、ポガチャルら総合系ライダーも多くが後方に取り残される。ここはリーダーチームのUAEチームエミレーツが中心に立って、後続の集団復帰を待つよう音頭を取った。なお、この際の落車の影響でジャンニ・モスコン(アスタナ・カザクスタン チーム、イタリア)とケヴィン・ヴェルマーク(チーム ディーエスエム、アメリカ)がレース続行不可能になった。

メイン集団が落ち着きを取り戻そうとする中、先行する3人は最大で3分30秒ほどまでリードを拡大。この間には46.9km地点に置かれた中間スプリントポイントに到達し、ライトが1位通過。少しおいてやってきたメイン集団は、ヤスパー・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)が先着して全体4位。次にファンアールトが通過して、得点を加算した。

©A.S.O. / Pauline Ballet

それからは2分前後の差で行き来していたが、逃げていたうちフリソンが早めに集団へ戻る判断。カッタネオとライトが先導を続けた。この頃メイン集団では、ティボー・ピノ(グルパマ・エフデジ、フランス)が落車。すぐに立ち上がって復帰を図っていたが、今度は選手に補給を渡すためにコース脇に立っていた他チームのスタッフに衝突。顔面を強打し、あまりの痛さにバイクから降りてしまったが、その後気を取り直して再々出発をしている。

距離を追うごとにタイム差は縮まる一方で、残り20kmを切る頃にはその差は1分に。終盤へ向けてペースが上がる集団は、イネオス・グレナディアーズやユンボ・ヴィスマが前方を固め始める。残り10kmでタイム差は35秒。先行ライダーのキャッチは時間の問題になってきた。

©A.S.O. / Pauline Ballet

残り8kmとなったところで、ライトがカッタネオを引き離して単独先頭に立つ。逃げ切りにかけて粘ったが、最後の上りが始まって早々に集団がキャッチ。マチュー・ファンデルプール(オランダ)が牽引役を務めたアルペシン・フェニックス、ユンボ・ヴィスマ、アルケア・サムシックといったチームが前に出て最終局面を目指す。残り2kmを切ったところからはUAEチームエミレーツが主導権を確保。ラファウ・マイカ(ポーランド)が長く先頭に立ち、最終局面に向けてポガチャルが好位置へと引き上げた。

急勾配を抜けて緩斜面に移ったところで集団はスプリントモードへ。バンジャマン・トマ(コフィディス、フランス)が早めに仕掛けるも失速。これに代わるようにしてポガチャルとマイケル・マシューズ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オーストラリア)が腰を上げる。一方で、ポガチャルが見える位置につけていたファンアールトは、スピードが落ちたトマに進路をふさがれる形になり、加速が一歩遅れた。

しかし、今大会開幕から快走を連発してきたマイヨヴェールが自ら局面を打開。スペースが開けたところで一気にスピードを上げると、緩やかな右コーナーでポガチャルとマシューズをパス。別次元のスプリント力を見せつけると、最後は両腕を広げてフィニッシュラインを越えた。

©A.S.O. / Pauline Ballet

ファンアールトはこれで第4ステージに続く今大会2勝目。前回の勝利は終盤で独走に持ち込んだものだったが、今度は集団スプリント。パターンの異なる3つの勝利を挙げた昨年を想起させる快進撃で、今後のステージへの楽しみも膨らんできた。目標であるマイヨヴェール獲得へも視界は良好だ。

©A.S.O. / Pauline Ballet

なお、ステージ2位にはマシューズ、3位にはポガチャルが続いた。これにより、ポガチャルはフィニッシュでのボーナスタイム4秒を獲得。個人総合のライバルに対し、少しばかりリードを広げることに成功している。

最終的に26人がファンアールトと同タイムフィニッシュ。個人総合トップ10の順位は変動していない。

翌10日は、大会第1週の最後となる第9ステージ。UCI(国際自転車競技連合)の本部があるエグルを出発し、いよいよアルプス山脈へ。スイス領土をめぐってエグルを再度通過したのち、このステージ一番の難所である1級山岳パ・ド・モルジャン(登坂距離15.4km、平均勾配6.1%)へ。頂上でフランスとの国境を通過すると、5kmほどのダウンヒルを経て、最後は4kmの上り。勾配はさして厳しくはないが、総合系ライダーにとっては思わぬ形でのタイムロストは避けなければならない。

ステージ優勝、マイヨヴェール ワウト・ファンアールト コメント

©A.S.O. / Pauline Ballet

「今日の結果にはとても満足している。グリーンジャージを自分のものにする意味でも、ポイントが多めに稼げるこのステージは大事だった。レースをコントロールしてくれたチームメートには感謝しないといけないね。

最終局面はとてもハードだった。ポガチャルや他選手を追いかけないといけない状況だった。ただ、フィニッシュ前は比較的フラットで、自分向きだと思えた。オリンピックの街で勝つことは特別ですが、何よりツール・ド・フランスの勝利数を増やせたことが最高にうれしい」

マイヨジョーヌ、マイヨブラン タデイ・ポガチャル コメント

©A.S.O. / Pauline Ballet

「あと少しでステージ優勝だっただけに悔しい。暑さを感じていて、長い1日だった。注意すべきポイントがたくさんあったけど、最後の上りは自分に合っていたと思う。ただ、スプリントでためらってしまった。それが敗因。

ファンアールトがとても強かったけど、私の3位も悪くない。幼い頃は体が小さかったのでスプリントでは負けてばかりだったけど、いまは上り基調のスプリントならうまくこなせる。ファンアールトとマシューズには勝てなかったけど、そもそもステージ優勝を狙ってスタートしたわけではなかった。ユンボ・ヴィスマやチーム バイクエクスチェンジ・ジェイコが逃げていた選手を捕まえたので、私も計画を変えた。

レース序盤のクラッシュには巻き込まれそうになったけど、落車せずに済んだ。止まった影響で集団復帰を急いだけど、特に問題はなかった」

ツール・ド・フランス2022 第8ステージ結果

ステージ結果

1 ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー) 4:13’06”
2 マイケル・マシューズ(チーム バイクエクスチェンジ・ジェイコ、オーストラリア)ST
3 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)
4 アンドレアス・クロン(ロット・スーダル、デンマーク)
5 アルベルト・ベッティオル(EFエデュケーション・イージーポスト、イタリア)
6 アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ・ハンスグローエ)
7 バンジャマン・トマ(コフィディス、フランス)
8 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)
9 ボブ・ユンゲルス(アージェードゥーゼール・シトロエン チーム、ルクセンブルク)
10 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)

個人総合時間賞(マイヨジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 28:56’13”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ、デンマーク)+0’39”
3 ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’14”
4 アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’22”
5 ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)+1’35”
6 ロマン・バルデ(チーム ディーエスエム、フランス)+1’36”
7 トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)+1’39”
8 ニールソン・ポーレス(EFエデュケーション・イージーポスト、アメリカ)+1’41”
9 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+1’47”
10 ダニエル・マルティネス(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)+1’59”

ポイント賞(マイヨヴェール)

ワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ、ベルギー)

山岳賞(マイヨアポワ)

マグナス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト、デンマーク)

ヤングライダー賞(マイヨブラン)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

チーム総合時間賞

イネオス・グレナディアーズ 86:52’43”

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ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

ツール・ド・フランス2022の出場チーム・選手リストとコースプレビュー

2022年07月01日

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福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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