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東京五輪のレガシーサイクリングに橋本聖子元会長も参加、本格イベントへ向け始動

7月30日(土)に東京2020オリンピック・パラリンピック1周年記念 自転車ロードレース レガシーサイクリング(以下略レガシーサイクリング)」が開催され、武蔵野の森公園(東京都・府中市)から富士スピードウェイ(静岡県・小山町)までの114.6㎞のオリンピック自転車競技の女子ロードレースコースを走った。

五輪にゆかりのある豪華メンバーが参加

府中市にある武蔵野の森に集まった参加者

このレガシーサイクリングは橋本聖子さん(東京2020オリンピック・パラリンピック大会組織委員会元会長)の声を受け、片山右京さん(一般社団法人ジャパンサイクルリーグチェアマン)が実行委員長として開催したイベント。橋本さん、片山さん自身のほか、東京オリンピック日本代表メンバーの増田成幸さん、石井雅史さん(自転車名人、北京パラリンピック日本代表 金メダリスト)、鈴木光広さん(ソウルオリンピック日本代表)、今中大介さん(ツール・ド・フランス 出場)、渡辺 航さん(漫画家、弱虫ペダル作者)、白戸太朗さん(トライアスリート、東京都議会議員)などオリンピック・パラリンピックに縁のあるライダーをはじめ、本誌編集長山口も含む有志のサイクリスト約30人が参加した。

さらにMCとして登場した団長安田さんも一部区間を走ったほか、沿道の自治体により設置されたエイドステーションではイベントが開催されるなどの盛り上がりをみせた。ここではライド、各エイドでのイベントの様子をお伝えする。

今後の本格イベントへ向けたキックオフイベント

第2ウェーブのメンバーは増田成幸さん(宇都宮ブリッツェン、東京オリンピック代表)、石井雅史さん(北京パラリンピック日本代表 金メダリスト)、鈴木光広さん(ソウルオリンピック日本代表)、今中大介さん(ツール・ド・フランス 出場)、白戸太朗さん(トライアスリート、東京都議会議員)

五輪と同じくスタート地点となった武蔵野の森公園。朝8時と早いスタート時間にも関わらずオリンピック本大会で集まったボランティアをはじめ、イベントの様子を見に来た自転車ファンが詰めかけた。今回のイベントはレースではなく、一般公道を交通規制なしで走るサイクリングとして行われたため、参加者は少人数のグループに分かれてスタートしていった。

スタートして、まず立ち寄ったのは府中にある大國魂神社。オリンピック本番では乗車したまま選手たちがパレード走行したことで名所となった場所だ。今回、参加者は境内を歩いて参拝し記念撮影をおこなった

多摩川を渡り、尾根幹の稲城中央公園へ

本大会でパレード走行をしたエリアは信号も多く、参加者はゆっくり走っていく。リアルスタートとなった是政橋で多摩川を渡り、尾根幹にある稲城中央公園へ向かうと第1エイドステーションとなる。稲城中央公園では大勢のサイクリスト、弱虫ペダルの作者渡辺先生のファンが集まる中ペダリオンの前で記念撮影が行われた。

ファンに向けサインをする渡辺さん

巨大バナーの小倉橋、さがみはらサイクルフェスティバルも開催

尾根幹から多摩ニュータウンを抜け町田市を抜けると、東京オリンピックでは象徴となった相模原市にある小倉橋へ向かう。小倉橋はオリンピック期間中に自転車競技のピクトグラムが設置されて話題となった場所で、このイベントの直前7月25日に1周年記念巨大バナーが再掲出された。その先の串川の串川地域センターに第2エイドステーションが設置され、栗村 修さんやサッシャさんらによるトークショーが開催されたほか、マウンテンバイクの体験が行われた。

左から片山さん、樋口建史元警視総監、本村賢太郎相模原市長、大川亜沙奈副市長、橋本さん、小泉昭男さん(自転車名人、元参議院議員)
串川地域センター裏の神社境内にはパンプトラックが設置されマウンテンバイク体験コースが設置されたほか、小田島 梨絵さん、大池水杜さんによるトークショーも開催された
串川地域センターでは栗村さん(左)、団長さん(左から2番目)、サッシャさん(右)によるトークショーが行われ、参加者の紹介をおこなった

猛暑のなか恵みの雨でクールダウン、道の駅どうしへ

ソウルオリンピックではトラック競技に出場した橋本さん(先頭)。ビンディングペダルの扱いをはじめ自転車にも慣れている

櫛川からスタートし、国道413号(道志みち)を進むとコースはアップダウンが続く。この日猛暑の中35℃を超える気温なか参加者のペースも上がらない。途中給水サポートをうけながら道の駅どうしを目指した。もう暑くてダメかと思ったところでスコールが通過し、参加者にとって恵みの雨となった。クールダウンした参加者は第3エイドステーションの道の駅どうしへ無事到着、名物のちまきをいただいた。

MCの合間、第2エイドから第4エイドまで走った団長さん
道の駅どうしでは道志村の関係者と記念撮影が行われた

最高標高地点山伏峠を越えて山中湖へ

山伏峠を進む先頭グループ。前から白戸さん、増田選手、小石選手、渡辺先生、石井さんといったメンバー

道の駅どうしを抜けるといよいよ今回のルート上の最高地点山伏峠へ向かう。暑いなか無理をせず個々のペースで上っていく。今回、現役ライダーは宇都宮ブリッツェンからは増田選手のほか堀 孝之選手、チーム右京相模原からは小石悠馬選手、宇賀隆貴選手、レバンテフジ静岡からは海野晋作選手、村山浩司選手が参加。ほかの参加者が汗をかきながら苦しむなか涼しい顔をして上っていた。

「オリンピックのときに各国のジャージを準備していたが、応援が自粛となり飾れなかった。今回はそのジャージを飾ることができ、来てよかったです」と山伏峠で応援していた下村敏隆さん

山伏峠を下り、一行は山中湖を反時計回りに半周して山中湖村役場を目指す。残念ながら雲がかかっており山中湖越しに富士山を見ることはできなかったが、山中湖畔にできた自転車モニュメントで参加者たちはフォトセッションを楽しんだ。そして第4エイドステーション山中湖村役場で最後の補給をいただく。

勝者のポーズをとった渡辺先生とスーパーマンスタイルと決める小石選手と石井さんというレアな写真
山中湖村役場では高村正一郎村長をはじめ、役場に大弾幕を掲げての出迎えがあった

最後の山場、篭坂峠を越えて御殿場、小山富士スピードウェイへ

今回、各エイドステーションでのセレモニーの時間調整のため一部区間をクルマで移動せざる終えなかった片山さん。篭坂峠ではその鬱憤を晴らすべく増田選手に続く快走を披露した
篭坂峠で参加者をリードする堀選手

山中湖をあとにして、最後の山場となるか篭坂峠を越えたあとはオリンピック記念碑のあるオカムラ御殿場工場前で、御殿場市市長をはじめ、市役所やボランティア活動の歓迎を受けた。御殿場市ではオリンピックのモニュメントのほか、オリンピックにかかわったボランティアの写真とコメントを横断幕にしたものを制作し、参加者を出迎えた。

モニュメントで記念撮影、自転車選手が走る様子を描いた横断幕には、五輪に参加したボランティアのコメントと顔写真が印刷されている。今回さらに橋本さんと片山さんもコメントを記入した
ボードを手に橋本さんと勝又正美市長

御殿場を通過するとあと小山町にあるフィニッシュ地点、富士スピードウエイ西ゲートを目指すだけ。ここでも盛大な出迎えがあり、参加者一行は事故なく無事走りきることができた。

富士スピードウェイに到着した参加者。前から橋本さん、樋口さん、白戸さん

今年はみんなの力で小さく開催、来年は一般参加イベントを計画

今回は実際にイベントとして参加したが、東京の多摩地区から相模原まで都会を抜るルートを使い、道志みち、山中湖から富士スピードウェイまでをつなぐライドイベントが、交通規制をしない小人数イベントとはいえ無事にできたことは大きな一歩だと感じた。

実際に走ってみると各自治体が道路設備やエイドステーションも充実させはじめ、さらにモニュメントなども設置れているので五輪コースとして使われたことを走りながら体験することができる。さらに高低差もほどよくあり走りごたえのあるコースなので、ぜひ一度走ってみることをお勧めする。今後、自転車利用者が安全に走ることで、世界に誇れるルートに育てていきたいと思う。(編集長山口)

橋本聖子さんがコメント

「昨年の東京大会では開催されるかどうか心配をおかけしましたが、みなさんのお力があってこそゴールを迎えました。世界に向けて発信することができたロードサイクリング、自転車コース。これは観光資源であり、健康寿命延伸ですとか、共生社会、可能性と調和といった東京大会のテーマにふさわしいものです。このロードコースをかわいがっていただく、育てていただくそういったものにしていただかないといけないと思いました。私、言い出しっぺなんですけれども、片山右京さんにお願いしまして、白戸太朗先生はじめみなさまの協力をいただきまして今日は一都三県を走らせていただきました。本当に素晴らしいコースだと思っております。これからインバウンドのみなさまに、あの東京大会のロードコースを走りたいと整備もしっかりとしていかないと思います」

片山右京さんコメント

「橋本会長から『オリンピックが終わって関係する自治体すべてにご挨拶に回ったとき、とにかく自分たちの母国で開催されるオリンピック、パラリンピックを一過性のものに終わらせることなく、何か続けていきたいというみなさんの声をいただいた』ということをお話いただきました。それから時間のないなか、無事にイベントがスタートできたことは、みなさんの情熱や気持ちによるものだと思っています。来年東京や日本中で国際レースが増え、自転車がすごく注目をされることになります。こうした新しいことをするときに国や自治体がすごいエネルギーとお金をかける大会が増えていきますが、そのなかで僕たちが自分たちの手でレガシーを作っていかないといけないと思っています」

白戸太朗さんコメント

「みんなオリンピックに向かって走ってきたんだけど、じつはオリンピックというのは終わってからがスタートなんだと思いました。今日走れた僕たちはラッキーだと思います。この体験をみんなに広めていければと思います」

 

今回のイベントは、各自治体の協力を得ながらもオリンピック・パラリンピックで活躍したボランティア、自転車で走ることが好きなグッドチャリズムなどの有志が集まって実施された。来年は橋本さん、片山さんのコメントにあるように本格的なイベントにしていく予定だというから期待したい。

イベントに関する問い合わせ:ジャパンサイクルリーグ
http://jcleague.jp/

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PROFILE

山口

Bicycle Club / 編集長

山口

バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

山口の記事一覧

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