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スペイン一周レース、ブエルタ、日本で活躍したパブロ・ウルタスン監督に聞く

8月19日からスタートした2022年のブエルタ・ア・エスパ―ニャ。今年は最初の3ステージをオランダからスタートし、一日休養日(移動日)をとった後に北スペインのバスク地方からレースを再開した。

総合首位の証、赤いウエアのマイヨ・ロホの行方はまだまだ分からないところ。第4ステージでは昨年の覇者プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア)がリーダーとなったが、第5ステージではルディ・モラール(グルパマ・エフデジ、フランス)、第6ステージではレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)へと変わり、8月26日、第7ステージ終了時点で現在総合首位を維持している。

ここでは1週間目のブエルタの様子をスペイン在住の對馬由佳理がレポート。さらに日本で選手として活躍していたパブロ・ウルタスンが現在エキーポ・ケルン・ファルマで監督を務めている。ここではブエルタ初出場となるエキーポ・ケルン・ファルマを率いるパブロ監督のコメントを紹介する。

オランダでの3ステージ、落車は2009年のオランダ開催時より少なめ。

ブエルタ・ア・エスパ―ニャの歴代優勝者が6人も今年は出走。写真撮影 Sprint Cycling Agency

今年のブエルタ・ア・エスパ―ニャ(以下略ブエルタ)はオランダのユトレヒトでのチームタイムトライアルで幕開けした。その後2ステージはオランダ国内でのレースとなったわけであるが、わずか3日間だけとはいえ、オランダから3週間のレースのスタートは、選手たちに相当な緊張感を与えていた。

とはいえ、オランダからブエルタが始まるのは、今回が初めてではない。当時マイヨ・オロ(黄金ジャージ)と呼ばれたリーダージャージを着たアレハンドロ・バルベルデが総合優勝した2009年のブエルタも、やはりオランダからのスタートであった。しかし、このときオランダ国内でレース中に落車が多数発生し、表彰台を狙うはずだったの有力選手が次々と脱落した。

そんな2009年と比べると、今年のブエルタでは最初の3日間で2選手がレースを棄権することにはなったが、今年のオランダでの3日間は予想されたよりも落車は少なかったという印象がある。

すべてのチームをレース中にサポートするニュートラルサポートをするシマノのメカニックも「今年のオランダのステージは、落車の数自体は非常に少なかった。ただ、コース自体は狭くて曲がりくねった道が多かったし、風も強かった。落車が少なかったが、そのことはオランダでの3日間が簡単なコースだったことを意味するわけではない。レースの最中、選手たちは非常に神経質になっていたし、イライラしていた選手も多かった」と話す。

実際にオランダのステージを走っていたウルコ・ベラーデ(スペイン、エキーポ・ケルン・ファルマ)も次のように話した。

無事スペインに戻ってきて笑顔の ベラーデ。写真撮影 對馬由佳理

「オランダの3日間はほんとうにきつかったですね。僕もチームもうまく対応できたとは言えない日々でしたが、なんとかほとんどのチームメートは無事に走り切ったので、その意味では合格点のレースができたと思います。第3ステージの終盤、僕は集団の後方で走っていたのですが、そのときはメイン集団の中の緊張感がものすごくて『もしかしたら大きな落車があるんじゃないか』って僕自身が感じてしまったんです。ちょっと怖かったので、少し落ち着いて走りたくて、集団の後ろの方に移動しました」

TV中継などではなかなか伝えられない集団の緊張感であるが、今回のオランダの3日間は特にその緊張感が強いものであったことがわかる。

ブエルタ初出場のパブロ・ウルタスン監督に聞く

地元バスクのラジオ局のインタビューに応えるウルタスン監督。 写真撮影 對馬由佳理

今年のブエルタで、初出走を果たした エキーポ・ケルン・ファルマ。チーム創立4年目で初めて3週間のステージレースに挑んでいる。このチームを率いる監督の一人が、かつて選手そして監督として日本のチーム右京で活動していた経験のある パブロ・ウルタスン監督だ。

第6ステージのスタート前、ビルバオでウルタスン監督にエキーポ・ケルン・ファルマが現在どのようにブエルタを戦っているのか質問してみた。

 

ブエルタ初日から昨日(第5)ステージまで、エキーポ・ケルン・ファルマの働きをどのように評価していますか?

チームとして十分機能していると評価してもいいんじゃないかと思います。昨日と一昨日と逃げ集団に選手を送りこむことができましたし、みんな一日一日しっかり楽しんでレースに望むことができているので、十分だと思っています。

 

エキーポ・ケルン・ファルマのすべての選手にとって、今回のブエルタが初めての3週間のレースになります。また、彼らを支えるマッサージャーやメカニックにも若い人が多いので、おそらくそうした方々にとっても、今回のブエルタは初めての初めての3週間のレースになるでしょう。もしかするとチームで3週間のレースの経験があるのは、ウルタスン監督とオロス監督のお2人だけかもしれません。そうした経験を踏まえて、選手にはこのブエルタの期間中にどのようなことを話しているのでしょうか。

確かに、ブエルタ・エスパ―ニャは5日間や10日間のレースとはまったく違います。選手たちには、レース中は動く必要があるときに動いても、必要のないときは無駄な動きをせず体力を温存して、次のチャンスを待つようにいつも話しています。そして、レース後はとにかく体力回復を優先すること。ブエルタのような長いレースの場合は、一日一日、ステージごとに乗り切っていくことが大事になってきますから。

 

チームカーを運転しながら選手たちを見ていて、自分が現役だった頃に走ったブエルタを思いだすことはありますか?

確かにあります。といっても、僕自身が現役を引退して長いので、当時僕がブエルタで経験したような体のしんどさや足の痛みなんかは、幸いもうほとんど忘れてますね(笑)。ただ、集団の中で感じるプレッシャーや緊張感なんかはいまだに憶えていたりするので、そうしたことは選手たちに伝えようとはしていますが、僕の現役時代と今とでは時代や環境が違うので、僕の経験をそのまま伝えるのはちょっと難しいことなのかな、と思っています。

 

チームとして、今週の北スペインでのステージで何か作戦はありますか。

「全ステージというわけではないのですが、いくつかステージを選んだうえで、そのステージに適した選手がレース展開に応じて動くということになるでしょうね。そしてそれ以外の選手はひたすら体力温存。一日一日、ステージを乗り切っていくことが、3週間のレースを乗り切るカギになりますので。いまはチームの雰囲気もよいし、みんな元気なので、この状態でレースを続けていければよいなと思っています。

エンリク・マス、野次に怒る、現地SNSでは話題に

第4ステージ終了後、思わぬ形で話題となったマス。写真撮影 對馬由佳理

 オランダからスペインに戻ってきた最初のレースとなった第4ステージ、ゴール地点のラグアルダで、思わぬ形で話題となってしまったのがエンリック・マス(モビスター、スペイン)だった。

ことの起こりは、ツイッターに挙げられた、一本の動画だった。それは第4ステージにゴールした直後のマスに向かって、観客の一人がビデオを録画しながら「この役立たず(Eres un paquete)」と野次をとばすと、それを聞いたマスが録画を続ける野次を飛ばした本人に近づき「お前アホか?  そのあほ面に一発お見舞いするぞ」と強い口調で言ったあと自転車で去っていく、というものである。この録画は瞬く間にSNSを通じてスペインをはじめ世界中に広がった。

もちろん、マスの言動を批判する声もないわけではない。しかし、批判の多くは最初に「この役立たず」と野次を飛ばし一連を録画していた人物に向けられており、また、現在このもともとのビデオはすでに削除されている(とは言え、さまざまなところで拡散されてはいる)。

選手との距離が比較的近いブエルタだからこそ起こった事件とも言えるし、SNSで目立つことが最優先される現代社会によって引き起こされた事件と言えることができるかもしれない。

ちなみに、この一連の「事件」にも関わらず、マスは翌々日の第6ステージ終了後に総合3位に浮上している。

第1週では、総合上位を狙う選手が日替わりでリーダージャージを獲得

第4ステージでリーダージャージを獲得したログリッチ。写真撮影 對馬由佳理

第4ステージからスペインにブエルタが戻ってくると、総合首位が日替わりで変わることになった。

まず、第4ステージのステージ優勝とリーダージャージを獲得したのは、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)。しかし、その翌日の第5ステージ、ではこの日終始逃げ集団にいたルディ・モラール(グルパマ・エフデジ)が総合首位に躍り出る。

そして、今年のブエルタで最初の本格山岳となった第6ステージのピコ・ハノでリーダージャージを手にしたのは、この日のステージ2位でゴールしたレムコ。総合2位には エヴェネプールから21秒遅れてモラール、第3位にはエンリック・マスが28秒差につけている。

この後第1週目の週末に、選手たちはスペインのカンタブリア・アストリアスの山岳地帯を通ることになる。すでに第6ステージで見たように、天候が悪いとこの地域の上りは一気に難所に変わる。

また、第2周目以降はスペイン南部や内陸部がレースの舞台となることから、気温もかなり高くなることが予想される。この数日、バスク地方は気温が高めの日が続いていたが、アストリアスやカンタブリア地方の気温が下がった場合、第2週目以降に体調に変化をきたす可能性も否定できない。

第2週目の最初のステージとなるエルチェ・アリカンテの個人タイムトライアル(30㎞)は、ほぼ平坦。深刻なトラブルがない限り、総合上位を狙う選手の間でここで大きなタイム差が付く可能性は低いだろう。その後も第13ステージまでは目立った上りも出てこないため、この2週目の前半にどれだけ体力を温存できるかが、総合順位を上げるためのカギになるものと思われる。

▼ブエルタ・ア・エスパーニャコース、出場チームについてはこちら
ブエルタ直前情報、4連覇かかるログリッチら大物選手参戦!|ロードレースジャーナル

ブエルタ直前情報、4連覇かかるログリッチら大物選手参戦!|ロードレースジャーナル

2022年08月18日

ブエルタ・ア・エスパーニャ公式WEBサイト
https://www.lavuelta.es/

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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