エヴェネプールが勝ったのはレースだけじゃない、ケガや新型コロナに揺れたブエルタ
Bicycle Club編集部
- 2022年09月12日
9月11日、ブエルタ・ア・エスパ―ニャ(以下略ブエルタ)の第21ステージが行われ、マドリード市内の周回コースをフアン・モラノ(チームUAE、コロンビア)が制した。総合優勝は第6ステージからリーダージャージを守り続けたレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル、ベルギー)が、最後までリーダージャージを守り切り、22歳でのブエルタ王者となった。この3週間のブエルタの様子をスペイン在住の對馬由佳理が現地からの情報も交えてお送りする。
2人の名選手バルベルデとニバリのための引退セレモニー
ブエルタ最終日の12日、スタート前に、今年限りでプロの自転車選手を引退するアレハンドロ・バルベルデ(モ、ースター)とヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナカザクスタン チーム、イタリア)のために、とあるセレモニーが開かれた。
といっても、それは決して大げさのものではなく、この2選手のために、他の出走選手たちが2つに分かれて「花道」を作る、というもの。花道の中央を通ったバルベルデとニバリはほか選手はもちろん、スタートに駆け付けた観客からも盛大な拍手を受け、この日のステージをスタートすることになった。
マドリードの周回コースに一番最初に飛び込んできたのは、なんとバルベルデ。マドリードの1周目をひとり先頭で走り、観客に手を振りながら、選手として最後のブエルタを楽しんでいた。
有力選手もリタイア、ケガ、コロナでリタイヤ率は25%以上
今年のブエルタでレース途中でリタイアをしたのは49人。23チームが出走し、各チーム8人の選手で構成されていおり、さらにアルケア・サムシックはスタートから7人での出走となったため合計183人の選手が、第1ステージのレース前のスターティングリストに名前を連ねていたことになる。つまり、今年のブエルタではリタイア率は26.7%の選手が、最終日のマドリードのゴールにたどり着くことができなかったのである。
リタイアした選手の中には、第11ステージで落車したジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ・アルファヴィニル、フランス)や、第16ステージでの大ケガのためにリタイアしたプリモッシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)のような、今回のブエルタで総合上位を狙う有力選手の名前もあった。
当初、今回のブエルタは最初の3ステージがオランダでの開催となったため、早い段階での有力選手が落車の影響でリタイアするのではないか、ということが危惧されていた。しかし、有力選手が巻き込まれるような落車はスペインでのステージで発生しており、その意味では「オーガナイザーの心配は間違っていた」ということになる。
しかし、今年のブエルタでは、ブエルタ開催中に何回か実施された新型コロナウイルス検査の結果が「陽性」だったため、レースを去ることになった選手が数多くいた。そうした新型コロナの「陽性」とさまざまな不運が重なり、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオやロット・スーダルはなんと8人中5人の選手を失うことになった。
しかし、新型コロナの陽性反応が出ても、その選手がレースを続けることを選んだチームも複数存在する。ちなみに、こうした判断をしたチームはすべてワールド・ツアーレベルのチームであった。
また、ブエルタ開催中のプロトン内での感染者増加を受け、急遽メディア側も選手にインタビューにするときにはセルフィ棒の使用が義務化されるなどの動きがあったのも事実である。
2年ほど前と比べるとかなり落ち着いてきたはいえ、それほど強力ではないが感染力の強い種類の新型コロナウイルスがいまだに存在しており、どのような対策をどこまで取るのかということが、チームにとっても、オーガナイザーにとっても未だに大きな問題であることが明らかになった今年のブエルタとなった。
女子のレースのチャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ、来年は7日間&別日開催を予定
今年も男子のレースと並行開催された女子の5日間のステージレースである、チャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ。今年は與那嶺恵理(ヒューマン・パワード・ヘルス)が総合19位に入る活躍を見せた。
来年はこの女子のレースの日程が増えて、7日間ほどになる予定である。また、男子のブエルタのレース日程とは別枠でこのチャレンジ・バイ・ラ・ブエルタが開催される可能性が高いと言われている。
女子レースへの関心と人気の高まりを受け、ブエルタがどのようにチャレンジ・バイ・ラ・ブエルタを取り上げていくのか、来年以降の開催方法が注目されている。
▼セラティジット チャレンジ by ブエルタについてはこちら
ブエルタ・ア・エスパーニャ公式WEBサイト
https://www.lavuelta.es/
SHARE
PROFILE
Bicycle Club編集部
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。