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ロード勢が上位を席巻。アルペシンのフェルメールスが100km超の大逃げで初代王者に|UCIグラベル世界選手権

グラベル種目としては初開催となった「UCIグラベル世界選手権」が、1089日にかけてイタリア・ヴェネト州で行われた。大会2日目の男子レースでは、普段ロードレースで活躍する選手たちが多く参戦し、上位を席巻。優勝争いは、前半から逃げを打ったジャンニ・フェルメールス(ベルギー)とダニエル・オス(イタリア)の一騎打ちに。フィニッシュ前数キロで独走に持ち込んだフェルメールスが、そのまま一番にフィニッシュ地点を通過し、初代王者に輝いた。

人気の高まりを受けて開催が実現したグラベル世界選手権

自転車競技におけるグラベルレースは、この数年でアメリカやヨーロッパで活性化し、一気に人気種目に成長。特徴として、目まぐるしく変化する路面をコースに走ることが挙げられ、ロードレースのような舗装路ばかりでなく、砂利道や緩いダート、シングルトラックまでさまざま。世界的な流れに合わせるように、自転車メーカーも各社がこの種目に適したバイク「グラベルロード」の種類を増やした。長い時間のハードなライドに耐えられるよう、衝撃吸収性能を持ったモデルが大半である。

高まる一方のグラベル人気に、UCI(国際自転車競技連合)もついに動き出した。初めてとなる同種目の世界選手権開催を決定。優勝者にはもちろん、世界王者の証であるアルカンシェルが授与され、次回大会までの間のレース着用が許される。

©️ Pocispix

男子は独走に持ち込んだフェルメールスが勝利

イタリア北東部・ヴィチェンツァをスタートし、チッタデッラにフィニッシュした男子レースは、レース距離194km・獲得標高800mのコースが設定された。

今大会には、ロードからグラベルに転向したラクラン・モートンやネイサン・ハース(ともにオーストラリア)のほか、先のロード世界選手権を走ったばかりのマチュー・ファンデルプール(オランダ)も参戦。ペテル・サガン(スロバキア)の出場もヨーロッパのサイクルメディアを中心に大々的に報じられたほか、シクロクロスで培った走力をロードで生かすゼネク・スティバル(チェコ)、現役を引退しているニコラス・ロッシュ(アイルランド)やポール・ヴォス(ドイツ)といった選手たちもエントリーした。

©️ Sprint Cycling

ロード組のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)らのアタックで始まったレースは、フィニッシュまで100km以上残したところでフェルメールスとオスが集団から抜け出すことに成功。集団のペースが緩んだこともあり、タイム差は530秒ほどまで広がった。

残り50kmを前に本格的にスピードアップを図ったメイン集団だが、ときおり追走パックが形成されるも前の2人に迫る気配はない。マチューも自らの力で追撃を狙ったが、前線にオスを送り込むイタリア勢がアレッサンドロ・デマルキを抑え役としてチェックに動くなど、後半に入ってロードさながらの戦術も見られ始める。

©️ Sprint Cycling

十分なリードをもって、先頭2人はフィニッシュ地・チッタデッラの周回コースへ。迎えた最終周回、フェルメールスがオスを引き離すことに成功すると、その後のテクニカルな区間も無難にクリアして、単独で最後の直線へ。

フィニッシュ地点に駆け付けた大観衆を前に、高らかに勝利をアピールしたフェルメールス。左拳を掲げると大歓声が沸き、それに酔いしれるように初代王者の座を手にした。

©️ Sprint Cycling

フェルメールスはロードとシクロクロスを兼任する29歳。ロードレースでは今季数回の上位進出を経験し、ブエルタ・ア・エスパーニャでは第19ステージで3位(個人総合82位)。スプリント力も高いが、今大会では逃げからの独走劇。また、このレースにはロードバイクにグラベルタイヤを装着したセッティングで挑んだ点でも、注目を集めている。

フェルメールスから後れを取ったものの、43秒差の2位でフィニッシュしたオス。そこから45秒後に3位争いの選手たちがなだれ込み、マチューが銅メダルを獲得。最後に競ったグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)が4位、ロードU23世界王者のイェフゲニー・フェドロフ(カザフスタン)が5位となった。以降もロード選手が上位を占める結果だった。

また、男子45-49歳のカテゴリーには高岡亮寛(RoppongiExpress)が出走し、トップから22秒差の6位で走り切っている。

UCIグラベル世界選手権 男子(194km)結果

1 ジャンニ・フェルメールス(ベルギー) 5:10’40”

2 ダニエル・オス(イタリア)+0’43”

3 マチュー・ファンデルプール(オランダ)+1’28”

4 グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー)+1’29”

5 イェフゲニー・フェドロフ(カザフスタン)+1’39”

6 マグナス・コルト(デンマーク)

7 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア)+1’40”

8 ゼネク・スティバル(チェコ)+1’46”

9 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)+1’53”

10 アンドレアス・ストクブロ(デンマーク)+2’43”

現役MTB世界王者のフェランプレヴォが女子レースを制する

大会初日の8日に行われた女子は、元ロード世界女王で、現在はマウンテンバイク種目でアルカンシエルを持つポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)が優勝。初代女王に就いた。

140kmで争われたレースは、早々に人数が絞られ、終盤にかけて先頭グループは4人となる。さらに、グラベル区間でフェランプレヴォとシーナ・フライ(スイス)が抜け出すと、そのまま一騎打ちの様相に。最後はマッチスプリントになり、百戦錬磨のフェランプレヴォに軍配が上がった。

©️ Sprint Cycling

男子とは対照的に、マウンテンバイクやシクロクロスといったオフロード系のライダーが上位を占めたレースだった。

UCIグラベル世界選手権 女子(140km)結果

1 ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス) 4:09’07”

2 シーナ・フライ(スイス)+0’00”

3 キアラ・テオッキ(イタリア)+0’11”

4 ジェイド・トレッフェイセン(ドイツ)

5 バーバラ・グアリシ(イタリア)+0’27”

6 ティファニー・クロムウェル(オーストラリア)+0’40”

7 イラリア・サングイネーティ(イタリア)+1’02”

8 レティツィア・ボルゲージ(イタリア)+3’08”

9 ラサ・レレイヴィテ(リトアニア)+3’11”

10 リアンヌ・マルクス(デンマーク)+3’14”

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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